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「あっ…んっ、ダメ」
「ちょっとだけ我慢して、すぐに気持ち良くなるから」
「いたっ、痛い」
「もう!じっとしててってば、お姉さん」
「無理、足のマッサージなんてしなくていいから離して…」
「え~、これでも本格的なリフレクソロジーのお店でバイトしてたことがあるんだけどなぁ、3か月だけど」
今日も昼食後に彼と入れ替わりで来てくれたうみくんは、あれやこれやとわたしの世話を焼きたがり
「気持ちは嬉しいけど、何もしなくて大丈夫だから」
知り合ったばかりの男の子と長時間一緒にいるのはなんだか気が休まらなくって
「そもそも、病院の中でボディーガードなんていらないと思うんだけど」
「チッチッ!犯人が看護師や医者に変装してたらどうするのさ?」
「刑事ドラマの見過ぎじゃない?」
「お姉さんの身に何かあったらナナちゃんに顔向けできないからね」
幼馴染って言ってだけど、桜井さんに弱味でも握られてるのかな?
「ところで、うみくんっていったいいくつなの?」
「年?ナナちゃんのひとつ下だよ、26!」
「えっ…」
ということはわたしと3つしか違わないってこと?
「うそっ、20歳くらいだと思ってた」
なんなら高校生って言われても信じちゃうくらい若く見える
「良く言われる。実はね親父の会社からこっそり持ち出した開発途中の不老薬を飲んでるんだ、ボク」
「…ほんとに?」
「冗談に決まってるでしょ、お姉さんだって2人も子どもがいるようには見えないくらい可愛いんだけど」
「かっ、可愛いって」
うみくんは
いつだってこの調子で、笑顔を絶やさずに喋り続けていて
桜井さんに聞いていた通り、とにかく明るい人ではあるんだけど
さっきうたた寝から目覚めたわたしに気づかずに、椅子に座って本を読んでいた真剣な横顔が
一瞬、びっくりするくらい彼に似ていてドキッとしてしまった
うみくんの身長を少し高くしてストレートの金髪を少しクセのある黒髪にしたら、たぶんもっと似ているかもしれない
そんなことをぼんやり考えていると
「お姉さんの旦那さん、ナナちゃんに迫られたって言ってなかった?」
突然、わたしの顔をのぞき込むようにしてうみくんが聞いてきた
「なんで、知ってるの?」
「そりゃあね、ナナちゃんの男の好みってわっかりやすいから。たとえて言うならクールでツンデレっぽい黒髪男子」
うーん、合ってるような合ってないような
「昔からそういう男には相手にされないのに、懲りずに好きになっては振られての繰り返し。わかってないんだよな、ナナちゃんにはボクみたいなタイプがピッタリだってこと」
「もしかして…好きなの?桜井さんのこと」
「さすがにもう諦めたけどね。だってかれこれ20年も拒否られ続けてるんだから、可能性なんてゼロに決まってるもん」
他人事ながら、なんだか可哀想になってきちゃった
「まぁでも、言ってみればお姉さんもナナちゃんと男の好みは一緒ってことだよね」
えっ?
ええっと
「わたしは…好みとかタイプとかは全然なくって、ただ彼が好きなだけだから」
初めて出会った時から15年経った今でも、彼以外の人に恋をするなんて考えられないくらいに
「ふーん、言ってくれるねぇ。でもさ」
突然、うみくんの指先がわたしの頬に触れたかと思うと
「他の男も試してみたら?案外ボクなんかと合うかもよ、体の相性」
避ける間もなく深い口づけで唇を塞がれてしまった
※次回に続きます
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