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しおりを挟む☆side-he☆
なにかがおかしい
彼女のしっとりとした唇が首筋に触れ、熱い舌先が鎖骨の上を濡らしていく感覚にゾクリとしたが
いつもなら躊躇いがちに下腹部に触れてくる細い指先は、形を成し始めた俺自身を激しく上下させながら時折敏感な先端を締めつけるような動きを見せ
「…っ」
およそ彼女のものとは思えない、甘ったるい香水の香りをさせた唇を重ねられた瞬間
「えっ!?」
ハッとして目を覚ますと
「おまえ…」
リビングのソファの上で、桜井が俺に覆い被さるようにして乗っていた
「残念、起きちゃいました?」
「なにやってんだよ!さっさと離れろ」
慌てて体を起こし、ブラウスの胸元をはだけさせている女を引き離す
どうやら、彼女の容態が落ち着いたため着替えを取りに戻った自宅のソファでいつの間にか眠り込んでいたらしい
「ダメじゃないですか、玄関の鍵が開いてましたよ。それにしてもあそこまでやっても起きないなんて、かなり疲れてるんじゃありません?あっ、もしかして夢の中で奥様と勘違いされてました?」
胸元のボタンをはめながら意味あり気な笑みを浮かべている桜井に腹が立って仕方ないが
「…なにか、わかったのか?」
彼女の件について調べて来ると言われていたのを思い出して、ひとまず怒りは納めることにした
「もちろんです、と言いたいところなんですが残念ながら詳しいことはなにも」
桜井の話によると
あの日、彼女が庭先で倒れているのを見つけたのは隣家の老婦人で
遠目にもひどい出血を見て頭に怪我をしていると思いこみ、救急車を呼ぶ際も転んで頭を打ったようだと伝えたらしい
犯人はサイレンサーをつけた銃を使用していたのだろう、付近で銃声らしき音を聞いた者は誰もいなかった
そして
彼女を搬送した救急隊員と病院関係者に何者かが口止めをして、警察に通報しないように仕向けた…ということなのだろう
「当然、報道機関にも情報はまったく入っていません」
「間違いないのか?」
「銃撃事件を表に出さずに揉み消せるるのなんて、相当の権力がなければ難しいはずなんですが…」
理解の範疇を遥かに超える話に頭を抱えるしかなかったが
ともかく
「さっき病室で話していたボディーガードの男は信用できるんだろうな?」
彼女をこれ以上危険な目に合わせるわけにはいかない
「ええ、それは大丈夫。大手製薬会社の御曹司なのにホストや探偵の真似事をして遊んでるクズですが、私の気を引きたくて父のやってるボクシングジムに通っていたので小柄だけど腕はたしかです」
そうだ、桜井の父親も元プロボクサーだった
「ちょっと待て、おまえの気を引くって…そいつとはつき合ってたのか?」
「まさか!ずっと言い寄られてはいましたがタイプじゃなくて。私が好きなのは…」
桜井は妖しい笑みを浮かべながら、俺の肩に手を置き耳元で囁きかけた
「さっきの続き、しなくても大丈夫ですか?だいぶ溜まってるみたいでしたけど」
ただでさえ身も心も疲れ切っているのに、面倒な状況に陥いるのはごめんだ
「さっさと帰れ、俺はこれから子どもたちの様子を見に行って病院に戻る」
突き放すような言い方をしたにも関わらず、桜井はなぜか嬉しそうに笑った
「そういうところが好きなんですよ」
※次回に続きます
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