天使がねたあとで

marble 9

                 
☆side -she⭐︎




彼の提案で急遽決行された温泉旅行


予約してくれていた宿は、小さいけれど高級感が漂う素敵なところで


なんと言っても、すべての客室に露天風呂があるというのがすっごく嬉しくて


夕方お部屋に戻るとすぐに彼がハルとサラをお風呂に入れてくれたから、わたしはひとりで檜の良い香りがする湯船に浸かってゆっくりできた



なのに



食事を終えて子どもたちが寝静まったとたんに、またお風呂に入ろうって…どういうことなんだろう？


「ちょっ、ちょっと待って」


半ば強引に室内にある脱衣室に連れて行かれ、わたしの浴衣の帯を解こうとする大きな手を押し留めようとしたら


「んっ！」


いきなり深いキスで唇を塞がれ、足元に落ちた浴衣の上で力いっぱい抱きしめられた


「ふっ…う、あ」


舌が触れ合う甘い刺激に頭が真っ白になりながらも


「あっ、あの…」


「なんだよ？」


「だから、その…お風呂じゃなくてお布団で」


「は？」


だって、彼はそういうことをしたいんだよね？


だったら、さっきすでにお風呂は入ったんだからお部屋ですればいいと思うんだけど


「頼むから、もう黙ってろ」


眉間にシワを寄せて大きなため息をついた彼の手によって生まれたままの姿にされてしまったわたしは、ひんやりとした夜風が吹く屋外のお風呂場に連れ出され


腕を優しく掴まれたまま、背中から抱きかかえられるようにして熱いお湯の中に身体を沈めた







※次回に続きます