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翌朝
「ちょっと待ってハル、忘れもの!」
玄関先で小学1年生の息子に体操服を手渡していると
「俺もそろそろ行くよ。今夜は遅くなるから先に休んでてくれ、晩飯もいらない」
「いってらっしゃい、気をつけてね」
いつもより早く、彼も所属しているボクシングジムへと出かけてしまった
「さて、と…えっ!?」
リビングに戻ると悪戯盛りの娘が牛乳の入ったコップをひっくり返してびしょ濡れになっていて
「なにやってるのサラ、お着替えしたばっかりでしょう?」
思わず大きな声を出してしまった
今日はハルが帰って来るまでに、街に出かけて済ませておかなければならない買い物があって
車の運転が出来ないわたしは幼児を連れて電車と徒歩で外出をして、帰宅すると同時に洗濯物を取り込んで夕食の準備に取り掛かかることになる
たぶん
ううんきっと
疲れてるんだよ、ね
家にいる時は100点満点と言っても過言ではないくらい子育てや家事をやってくれていている彼も
去年の暮れに世界チャンピオンになって以来、取材やスポンサーとのお付き合いで帰りが遅くなることが増えてきたから甘えてばかりいられない気がして
たくましくて安心できる腕に抱かれていてもつい、家事や育児のことが頭に浮かんで行為に没頭出来なくなっている
そんな答えにたどりついた
※次回に続きます
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