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瑠色と寝た男4

修也・22歳*3

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 切なすぎる言葉だ。求められていることに優越感を感じていた少し前のボクを、ぶん殴られたような気持になった。

 こんなに苦しいものを、胸の中に抱えている人に、好かれていることへの優越感を感じていた、人の心のわからない自分。

「…修也…」

 申し訳なくて、ボクは修也の頬にキスをする。すこし涙の味がした。

「ごめん…、こんな事言って…」

「謝らないで…。ボクこそ、修也の気持ちを解ってなくて、ゴメン…ゴメンね…」

 修也の首筋に唇を寄せる。柔らかく吸うようについばんで、肌を舌でなぞる。

「…っ」

 修也が身じろいだ。

「るい…、痕、つけてくれ…」

「ん…」

 柔らかい肌を、ぺろりと舐めてから強く吸いあげた。痛みを伴うくらいの強さに、修也は身じろぐ。

 ちゅっと音を立てて離れると、くっきりとした痕が残った。

「ごめん、ちょっと強くつけすぎた…」

 痣と呼んでもいいくらいのそれは、ボクの目には衝撃が強い。

「…いいよ…。その方が、長く…、るいに付けて貰った事を思い出せる…」

 修也はボクがつけた痕を、愛おしそうな表情で何度も撫でている。

 胸が痛い。

「もっと、触っていい?」

「あぁ…」

 首筋から鎖骨へキスをして、手は胸元を撫でる。ちらりと様子を伺うと、修也は嬉しそうにしていた。

 愛撫に慣れない身体は、ボクの手がくすぐったいようで、撫でる度に逃げるように動く。

 乳首に吸い付くと、

「ふふ…っ」

 と、修也から笑いがこぼれ落ちた。

「くすぐったい…?」

「うん…、少し…」

 まだ感じるように出来ていない修也のそこを、執拗に舐める。そうしたのは、薄い肌はきっと、指では感じる前に痛くなると思ったから。

「るい、だめだ、くすぐったい…」

「んー…じゃあ…」

 舐めるのがくすぐったいのなら…と、ボクは修也の乳首を吸った。

「…っう…」

 びく、と修也の身体がはねる。あぁ、正解はこっちか。ボクは内心ほくそ笑んだ。

 しつこいくらいに繰り返す。左右交互に吸ったり舐めたりを繰り返して、修也の反応をみた。

 呼吸が少し浅くなっているのは、ちゃんと気持ちいいからなのだろうか。

 そんなことを考えていたら、不意に頭を撫でられた。

「ん…?」

 みあげれば、修也のほんのりと上気した頬と、潤んだ瞳が目に入る。

「修也…かわいいね」

 ふふ、と笑えばとたんに眉間にシワが寄る。

「ばか、可愛いもんか」

 拗ねたような口ぶりがかわいい。

 否定されたので反論しようとしたら、修也の手がボクの耳をすりすりと撫でた。

「んは…っ」

 突然弱点を撫でられて、思わず声が出てしまった。

「ここ…弱いんだ…」

 修也が興奮にかすれた声で言う。

「恥ずかしい…」

「可愛い…るい…」

 唇が重なる。そのまま、すりすりと耳を撫でられて、身体が震えてしまった。

 弱点が知られてしまうとこうなるのか、とボクは修也の手から猛然と逃れようとした。

「なんだよ…」

「くすぐったいからやめてよ…!」

「かわいいな…」

 立場逆転って感じで悔しいけど、修也がすごく嬉しそうな顔をしているから、突っ込めない。

 こんな、『愛しい』が溢れだした顔されたら…絆されもするってもんだよね…。

「修也…、先進めるよ…?」

 いつまでも形勢逆転のままではいられないボクは、キスを中断して、身体を下げた。

 胸を通り越して、肋骨の終わりあたりを、形を確認するようにゆっくりと舐めて、甘く噛みつく。

 くすぐったそうにする修也にはお構いなしに、ボクは愛撫を続ける。

 修也の半身は、すでに確かめなくても形が変わっていることが解るほどに充実していた。

 ボクが触れていることで、修也は期待をしているのだとわからせてくれる。

 布越しに、指先でそっとなでる。修也はそのかすかな刺激に身体を震わせた。

「もう…こんな風になってるんだ…」

 ボクの声に、修也は顔を覆った。

「…恥ずかしがること無いよ、こうなるような事、してるんだから」

 脇腹に柔らかくかじりつきながら、下着越しに形を確かめるように撫でる。

 攻められた経験の無いだろう修也の身体は、未知の刺激にびくびくと反応を示してくれて、それがすごく嬉しい。

「修也の…おっきいね…」

 下着の中で形を変えた修也の半身を確かめながら言うと、その言葉に反応するようにびくんと揺れる。

「すごい…」

 さっきから、ボクばかりが喋っているのは、修也が必死に声を堪えているからだ。

「修也…?」

 顔をあげて確認してみれば、修也は壁の方を向いて顔を覆ったままだった。

「息できてる? ずっと触ってるの苦しい?」

 更に確認すると、修也は首を振った。どう見ても大丈夫なようには見えないので、心配になってしまう。

「平気そうに見えない…」

 ボクが顔を覗き込もうとすると、修也は突然ボクの腕を引っ張ってきた。

「うわっ…!」

 修也の上に倒れこんでしまう恰好になって慌てたけれど、修也はお構いなしにボクの身体をかかえるようにして抱きしめた。

「修也…?」

「キャパ―オーバーだよっ…、好きな人に触られてるだけで頭が真っ白なんだよ…」

 涙で濡れた声だ。辛くて泣いているんじゃないとわかっていても、やっぱり泣かれると辛い。

 ボクの表情が落ち込んだのを見たのか、修也がボクの頭を撫でた。

「あのね、からかってるとかじゃないんだよ…。純粋に、修也がボクのしていることで感じてくれてるのが嬉しいっていうだけなんだ…」

「ちゃんと、解ってる。るいはこの状況でオレの事をからかうような人間じゃないって」

「嫌な気持ち、してない?」

 心配でそう聞いたのに、修也はとたんに真顔になった。

「ひたすらに恥ずかしいのと…、るいが手馴れている感じに…ものすごく嫉妬している」

 修也は、少し自嘲気味に笑った。

「触れられれば触れられるほど、るいがどういう風に抱くのか知ってる男が他にもたくさんいるんだな…って。うらやましくて、悲しくて、…腹が立って仕方ないよ…」
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