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第四章 異世界生活

二十五話 科学はなくとも魔法があるさ

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この世界には科学技術は発達していない。

発達させずとも沢山の便利魔法が存在している。明かりを灯す電気は知らなくても明かりの魔道具があればその代用いや、それは代用ではなくて魔法文化と呼ぶべきものである。


今、おっさんの興味の中心は、隣でジョッキを傾ける爺さんの腰に下がった小さなポーチにある。

ギルド内の喧騒も時間とともに落ち着きを取り戻し、おっさん二人と爺さんとの軽快なトークも聞き逃してしまう障害は少ない。


「これは、わしが若い頃使っていた物じゃ」


爺さんは、義弘に向かって腰のポーチからショートソードを取り出した。


【ショートソード】

ミスリル合金の短剣
ミスリル含有量が多く魔法の親和性が高い
レア度  3

爺さんがおっさんの目の前に差し出した短剣は、魔法銀、ラノベでお馴染みのミスリルを多く含んでおり、かなりの業物だと覗えた。

しかし、おっさんの興味は、そんなショートソードよりもそれが引っ張りだされた腰に下がる袋にあった。


【マジックバック】

古代遺跡からの出土品
見かけ内容体積より大きな容量を収納出来る
レア度  8


「ふう、お前さんの興味は、マジックバックに在るようじゃが、これだけはやるわけにはいかん。‥今回は、こちらのショートソードで勘弁してくれ」


差し出されたショートソード。それはギルドマスターとしてのゲン爺さんからの報償。

要救助者の無事の救出に、廃坑の再生の可能性。それがどれだけのギルドへの貢献、いや最果ての街エンドへの貢献となるか、それは誰にも測りきることの出来ないそれほどの貢献である。


「いやいやいや、わたくし、そんなに欲しそうな顔してましたか?」


頭を二回ぼどゆっくりと左右に振って爺さんは、苦笑いをおっさんに向ける。


「まあな‥」


「これは、失礼いたしました。他人様の物をそのように…」


「ヨッシよ、気にするな♪そのバックは爺さん自慢のお宝だ。欲しいと考えるのはお前だけじゃないぞ♪ガハハハハ♪」


爺さんとおっさんの様子を見ていたゴルドは、豪快な笑い声をあげた。


「その、‥失礼ついでに、お願いなのですが、そのバック、見せていただけないでしょうか?」


「ふっ、しかたない奴じゃ。今回は、特別じゃぞ‥」


腰から外したマジックバックを名残惜しそうに、おっさんへゆっくりゆっくりと、躊躇いながら差し出そうとするゲン爺さん。


「何やってんだ、ゲン爺。やるわけじゃないんだから、さっさと渡さんか!」


「………」


ゴルドを睨むとゲン爺さんは仕方なしと、おっさんの前に置いたマジックバックから放し難しと手を離したのである。


カウンターに置かれたマジックバック。おっさんは顔を近づけ再度の鑑定をマジックバックに掛け直した。


【マジックバック】

古代遺跡からの発掘品
見かけ内容体積より大きな容量を収納出来る
時空魔法を付加安定定着させた袋
レア度  8


それまでは、まるで知り得なかったもの。

今では誰もが欲しいが誰もが手に入れられない。
世界各地な遺された古代遺跡から出土する以外、手にする方法はないという。
そんな幻のマジックバックの製作の手がかりが、過去の遺物が現代に蘇るかもしれない。この時、たまたま行ったおっさんの鑑定は、そんな分岐点の一つであったのかも知られない。
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