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第四章 異世界生活
二十二話 耐性は神級?!
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おっさんの考えは、廃坑ではなく休抗。
再度起こるであろう落盤をやり過ごし、改めて坑道を再開発するというものである。
おっさんの探査魔法の結果では、今回の崩落箇所以外の危険は皆無。次に起こる崩落以降、問題となる可能性は限りなく低かったのである。
おっさんは、坑道に関することを精一杯理解出来るようにアトリへと説明した。
「なるほど、よく理解出来たよ。もしかすると、ヨッシーがいれば今まで廃坑になった鉱山も再び採掘出来る場所が見つかるかもしれないなぁ」
「はあ、わたくしでよければ、協力は吝かではありませんが…」
幾つかの質問を受け答えするうち時間は深夜へと差し掛かり、それまで、おっさんとアトリの会話を聞いていたシンディーや毛むじゃ、ローリーまでもが、うつらうつらと舟を漕ぎ出していた。
「すまないね、ヨッシー。これでお開きにしよう。左のテントが男性用に開けてある。朝まで余り時間はないかもしれないが、ゆっくりと寝てくれ」
「ご配慮、感謝します」
深夜の見張りを山茶花メンバーに任せたおっさんズは眠りについた。
『チ、チチ、チ、チチチ』
岩盤地帯の林に満たない木々にも小鳥は住み着く。
そんな小鳥の朝のさえずりが、時計の概念のないこの世界での間違いのないモーニングコールだ。
「フフフン♪フフフフンフ♪フフフン♪」
「ずいぶん、早起きね?」
「おはようニャ♪シンディー♪」
「朝からご機嫌ね?」
ニコニコと笑み溢すリルアは、寸胴の中をぐるぐるとリズムよくかき回す。
「フフフン♪おっちゃん♪美味しいって言ってくれるかニャ♪フフフン♪」
『これは何を言ってもダメだ』そう考えたシンディーは、いずれ迎えに来るであろう仲間(山茶花メンバー)のために、キャンプベースの撤収をするべく呼称を掛けた。
「朝だよ!みんな起きて!!」
冒険者擬きのおっさんを除けば、全ての面子が本物の冒険者。目覚めてからの行動には、まるで無駄がない。
ボーとしながら欠伸をするおっさんを端へと追いやり、気づけば野営の形跡すら見あたらない。
朝の不得手なおっさんが朝食の席で意識を覚醒した時には、目の前の食事を済ませれば、直ぐにでも街へと凱旋出来る準備は整っていた。
何時にもまして上機嫌なリルアがスープを配り始めた頃、街からの迎えもその姿を現し始めていた。
「????」
『俺の目、どうなった?』ようやく覚醒したおっさんは悩んでいた。
【キノコスープ】
媚薬キノコ入りスープ
若干の精神高揚と興奮作用あり
精力剤として食用される
何やら目の前に置かれたスープ、危険ではないものの不穏な予感がにじみ出している。
「じゃあ、みんな準備はいいかい?」
エンドの街からの迎えのメンバー三人を新たに加え、総勢12人の朝食が始まる。
「「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」」」」
おっさんは恐る恐るとスープに手をつける。
「う、う、‥美味ぁ~い♪」
『媚薬キノコがアクセントなのか』
《バカ、そんなわけあるか》
口に入れたそのスープ、天国へと導くほど、とても美味い。
おっさんは、心許なげに自分のことを見ていた料理長リルアに向かって、最高の笑顔をプレゼントした。
その時、おっさんは、隣に座るゴルドのスープ皿を見るべきだった。
極々普通のそのスープを‥
もしも、今、おっさんが飲んでいるスープを一般の人が口にしたならば、食した人物は、男女を問わずに近くの者を襲い掛かったであろう事は、過去の事例で証明されていた。
しかし、このおっさん。とんでもない加護があり、耐性に関してだけ言えば神にも届く。時折お茶目に加護が消えるが、それは守護者の遊び心。
今回の媚薬キノコスープが美味いだけで片が付いて、おっさんの神級異常耐性がばれず、無事、人外指定される大事はさけられたのである。
再度起こるであろう落盤をやり過ごし、改めて坑道を再開発するというものである。
おっさんの探査魔法の結果では、今回の崩落箇所以外の危険は皆無。次に起こる崩落以降、問題となる可能性は限りなく低かったのである。
おっさんは、坑道に関することを精一杯理解出来るようにアトリへと説明した。
「なるほど、よく理解出来たよ。もしかすると、ヨッシーがいれば今まで廃坑になった鉱山も再び採掘出来る場所が見つかるかもしれないなぁ」
「はあ、わたくしでよければ、協力は吝かではありませんが…」
幾つかの質問を受け答えするうち時間は深夜へと差し掛かり、それまで、おっさんとアトリの会話を聞いていたシンディーや毛むじゃ、ローリーまでもが、うつらうつらと舟を漕ぎ出していた。
「すまないね、ヨッシー。これでお開きにしよう。左のテントが男性用に開けてある。朝まで余り時間はないかもしれないが、ゆっくりと寝てくれ」
「ご配慮、感謝します」
深夜の見張りを山茶花メンバーに任せたおっさんズは眠りについた。
『チ、チチ、チ、チチチ』
岩盤地帯の林に満たない木々にも小鳥は住み着く。
そんな小鳥の朝のさえずりが、時計の概念のないこの世界での間違いのないモーニングコールだ。
「フフフン♪フフフフンフ♪フフフン♪」
「ずいぶん、早起きね?」
「おはようニャ♪シンディー♪」
「朝からご機嫌ね?」
ニコニコと笑み溢すリルアは、寸胴の中をぐるぐるとリズムよくかき回す。
「フフフン♪おっちゃん♪美味しいって言ってくれるかニャ♪フフフン♪」
『これは何を言ってもダメだ』そう考えたシンディーは、いずれ迎えに来るであろう仲間(山茶花メンバー)のために、キャンプベースの撤収をするべく呼称を掛けた。
「朝だよ!みんな起きて!!」
冒険者擬きのおっさんを除けば、全ての面子が本物の冒険者。目覚めてからの行動には、まるで無駄がない。
ボーとしながら欠伸をするおっさんを端へと追いやり、気づけば野営の形跡すら見あたらない。
朝の不得手なおっさんが朝食の席で意識を覚醒した時には、目の前の食事を済ませれば、直ぐにでも街へと凱旋出来る準備は整っていた。
何時にもまして上機嫌なリルアがスープを配り始めた頃、街からの迎えもその姿を現し始めていた。
「????」
『俺の目、どうなった?』ようやく覚醒したおっさんは悩んでいた。
【キノコスープ】
媚薬キノコ入りスープ
若干の精神高揚と興奮作用あり
精力剤として食用される
何やら目の前に置かれたスープ、危険ではないものの不穏な予感がにじみ出している。
「じゃあ、みんな準備はいいかい?」
エンドの街からの迎えのメンバー三人を新たに加え、総勢12人の朝食が始まる。
「「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」」」」
おっさんは恐る恐るとスープに手をつける。
「う、う、‥美味ぁ~い♪」
『媚薬キノコがアクセントなのか』
《バカ、そんなわけあるか》
口に入れたそのスープ、天国へと導くほど、とても美味い。
おっさんは、心許なげに自分のことを見ていた料理長リルアに向かって、最高の笑顔をプレゼントした。
その時、おっさんは、隣に座るゴルドのスープ皿を見るべきだった。
極々普通のそのスープを‥
もしも、今、おっさんが飲んでいるスープを一般の人が口にしたならば、食した人物は、男女を問わずに近くの者を襲い掛かったであろう事は、過去の事例で証明されていた。
しかし、このおっさん。とんでもない加護があり、耐性に関してだけ言えば神にも届く。時折お茶目に加護が消えるが、それは守護者の遊び心。
今回の媚薬キノコスープが美味いだけで片が付いて、おっさんの神級異常耐性がばれず、無事、人外指定される大事はさけられたのである。
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