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第四章 異世界生活

十四話 仕事の後は、どちらの世界もやはり一杯です

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選別を終えたおっさんズとゲン爺さん、ギルドカウンターへと顔を出す。


「ほれ、10本一束で72束。これほど上物の回復草は、初めてのことじゃ。ギルドポイントも少しはサービスしてやれ」


ゲン爺さんが納品証明の書類を受け付けにいるミリアに差し出した。 


「な、72束?」


唖然とするミリアを余所に、ゲン爺さんがギルド食堂へと視線を向ける。


「では、ゴルちゃん、ゲン爺さんとともに出会いに乾杯といきますか?」


「おお!ヨッシ、ナイスアイデアだ!」


さすがに無職となってから、飲酒のお出かけは無くなってはいたけれど、本来、呑兵衛の仲間に所属するおっさん。飲酒に拒否感などはまるでない。

ゲン爺さんの視線にいち早く気づいたおっさんは、相手の気持ちを汲んで自ら乾杯のお誘いをする。


「ちょっ、ちょっと、ヨッシーさん、呑みに行く前にギルドカードを提出してよ‥」


肩を抱き合い歩き出す男三人。
焦る受付嬢、ミリア。

そんな混沌なギルドホールの雰囲気は一変する。



「たたた、たいへんだぁ~!」


クエスト帰りの冒険者でごった返したギルドホール、雑多な空気を切り裂く叫びが響き渡る。

ホールにいる全ての冒険者の視線が、飛び込んできた一人の若者へと集まった。


「大変なんだ!だだれか助けて!助けてくれ!」


ギルドへと駆け込んだ青年の呼吸は乱れ、どれだけ必死にここまで走ってきたのか最後の叫びとともにうずくまる。


「おい!どうした!!何があった!!」


青年に一番近い冒険者が、ゆっくりと近づき抱きかかえる。


「大変なんだ!こ、坑道が崩れた!な、仲間が取り残された!!」


青年の一言でギルドの空気は一瞬にして代わる。

そんな中、カウンターバーで最初の一杯を手にしようとしていた毛むじゃのおっさんが急に立ち上がった。


「?ゴルちゃん?」


「済まん、ヨッシ。急用ができた」


立ち上がった毛むじゃのおっさんは、そのままの勢いに任せ、未だ立ち上がれない青年へと駆け寄った。


「クリス!状況は?」


「!!お、親父さん‥」


「しっかりしろ!最初の情報、いかに大事か判ってるな!」


そんな様子は、おっさんが初めて見かける青年が、自分の終生の友ゴルドの知り合い。より身内に近い者だと義弘に感じさせていた。


「そうか‥、クリス、無事でなによりだ…」


「ううぅ…親父さん、お、おれ…ううぅ…」


「ばかっ…泣くな…今から俺が、助けに行く‥お前は安心して、ここで待ってろ!」

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