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第四章 異世界生活
十三話 訳ありと紹介と
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「まあ、これを見てくれ♪」
ゴルドは背中に背負った異世界風風呂敷をゲン爺さんの前へと差し出した。
「なんじゃい?今日の獲物かい?」
ゲン爺さんは、差し出された風呂敷の包みをゆっくりと解いていく。
「?!…!‥!!」
「おいおいおい!これはまた‥いったい全体どうしたらこんなに‥」
無言で爺さんを見つめていた毛むじゃは、ニヤリと笑って義弘を指さした。
「なんじゃい、そいつは?」
「だから、そいつ♪そいつがその薬草の犯人♪」
「ゴルちゃん、犯人はないんじゃない‥」
指さされたおっさんは苦笑いを浮かべながら、爺さんに近づいた。
「初めまして、佐伯義弘と申します。ゴルちゃん‥‥ゴルドさんにはお世話ななっております。」
「また、ばかっ丁寧なやつだなぁ‥わしは、ゲン♪このギルドのまあ、雑用係だよ♪」
そんな紹介をしたゲン爺さんには、まるで隙がない。
素人の義弘でさえ、ゲン爺さんが計り知れない力を持っていて、只者でないことは理解できた。
「それで、どうやった?」
「……」
「‥すまん、冒険者の秘匿事項だったな…。」
ゲン爺さんはおっさんに深々と頭を下げた。
ゲン爺さんの視線にいち早く気づいたおっさんは、気まずい空気と相手の気持ちを汲んで、自らこの後の乾杯のお誘いをする。
クエスト攻略。
それは冒険者各自の方法で成果を示す。
勿論その方法は冒険者それぞれが工夫を凝らし、最上の結果を追求していく。そんな独自のクエスト攻略方法は、冒険者の秘匿事項としてギルドから認められ、一般開放する必要はなかったのである。
「‥別にかまわないんですが、‥たぶん、私以外は無理かと…」
「構わん、教えてくれ。この上回復草が定期的に確保となれば、冒険者の死亡率が極端に減ることは間違いない!」
おっさんに迫るゲン爺の表情に、後退る義弘。
そんな二人をニコニコと眺める毛むくらじゃのおっさん。倉庫の中は殺伐と化していく。
「ちょ、ちょ、ゲン爺、ち、近い。近いって!!」
「教えろ、教えてくれ、いや、教えてください…」
ずんずんと迫るゲン爺さんにたじたじとなるおっさん。端から見ればシュールなおっさんと爺さんのラブシーン。
「はあぁ、わかりました…ただ私のしたことといえば索敵をより細かく、より精密にしただけで…」
「……………………………………」
「ゲン爺よ、ヨッシは我々一般人じゃ、計り知れない♪考えるだけ無駄無駄♪」
「そ、それでもゴルドよ‥もしもじゃ、もしも…はっ、詮無いことか…」
「すみません…」
苦虫をつぶしたように苦笑いを浮かべゲン爺さんは、それまでの勢いは秘めて、ゆっくりとおっさんに語りかけ頭を下げた。
「この回復草一本あれば助かる命もまた一つ。どうか、街の為、回復草の定期的な納品をしてもらえないか」
「ゲン爺さん、頭をあげてください」
「では‥」
「はい。これからも買い取りのほうお願いします」
笑顔で握手を交わすおっさんと爺さん。
その後は、山となった薬草を何故か三人で選別していく。
採取後の処理はさすがにベテランのゴルドである。
一切の品質劣化は見当たらない。義弘は、いい友人といい教師を同時に得て自然と笑みが溢れるのであった。
ゴルドは背中に背負った異世界風風呂敷をゲン爺さんの前へと差し出した。
「なんじゃい?今日の獲物かい?」
ゲン爺さんは、差し出された風呂敷の包みをゆっくりと解いていく。
「?!…!‥!!」
「おいおいおい!これはまた‥いったい全体どうしたらこんなに‥」
無言で爺さんを見つめていた毛むじゃは、ニヤリと笑って義弘を指さした。
「なんじゃい、そいつは?」
「だから、そいつ♪そいつがその薬草の犯人♪」
「ゴルちゃん、犯人はないんじゃない‥」
指さされたおっさんは苦笑いを浮かべながら、爺さんに近づいた。
「初めまして、佐伯義弘と申します。ゴルちゃん‥‥ゴルドさんにはお世話ななっております。」
「また、ばかっ丁寧なやつだなぁ‥わしは、ゲン♪このギルドのまあ、雑用係だよ♪」
そんな紹介をしたゲン爺さんには、まるで隙がない。
素人の義弘でさえ、ゲン爺さんが計り知れない力を持っていて、只者でないことは理解できた。
「それで、どうやった?」
「……」
「‥すまん、冒険者の秘匿事項だったな…。」
ゲン爺さんはおっさんに深々と頭を下げた。
ゲン爺さんの視線にいち早く気づいたおっさんは、気まずい空気と相手の気持ちを汲んで、自らこの後の乾杯のお誘いをする。
クエスト攻略。
それは冒険者各自の方法で成果を示す。
勿論その方法は冒険者それぞれが工夫を凝らし、最上の結果を追求していく。そんな独自のクエスト攻略方法は、冒険者の秘匿事項としてギルドから認められ、一般開放する必要はなかったのである。
「‥別にかまわないんですが、‥たぶん、私以外は無理かと…」
「構わん、教えてくれ。この上回復草が定期的に確保となれば、冒険者の死亡率が極端に減ることは間違いない!」
おっさんに迫るゲン爺の表情に、後退る義弘。
そんな二人をニコニコと眺める毛むくらじゃのおっさん。倉庫の中は殺伐と化していく。
「ちょ、ちょ、ゲン爺、ち、近い。近いって!!」
「教えろ、教えてくれ、いや、教えてください…」
ずんずんと迫るゲン爺さんにたじたじとなるおっさん。端から見ればシュールなおっさんと爺さんのラブシーン。
「はあぁ、わかりました…ただ私のしたことといえば索敵をより細かく、より精密にしただけで…」
「……………………………………」
「ゲン爺よ、ヨッシは我々一般人じゃ、計り知れない♪考えるだけ無駄無駄♪」
「そ、それでもゴルドよ‥もしもじゃ、もしも…はっ、詮無いことか…」
「すみません…」
苦虫をつぶしたように苦笑いを浮かべゲン爺さんは、それまでの勢いは秘めて、ゆっくりとおっさんに語りかけ頭を下げた。
「この回復草一本あれば助かる命もまた一つ。どうか、街の為、回復草の定期的な納品をしてもらえないか」
「ゲン爺さん、頭をあげてください」
「では‥」
「はい。これからも買い取りのほうお願いします」
笑顔で握手を交わすおっさんと爺さん。
その後は、山となった薬草を何故か三人で選別していく。
採取後の処理はさすがにベテランのゴルドである。
一切の品質劣化は見当たらない。義弘は、いい友人といい教師を同時に得て自然と笑みが溢れるのであった。
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