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第二章 冒険の始まり

二話 異世界での最初はやっぱり

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ここは、異世界なのか?

得た力は、チートなのか?

これから始まるのは冒険譚?



危険だと感じるその感覚は、見知らぬ場所に放り出された義弘にとって最強の能力に感じられた。

問題はこの危険だと感じる感覚が、どの程度、信じていいものかということである。




失業してからの義弘の日課となった行動は、セカンドセールの店『ブックアウト』へと通うこと。
漫画に始まり最近はライトノベル、異世界冒険物語が大好物となっていた。




「ステータス、オープン!」


大きな声をあげた義弘は、真っ赤になった顔のまま、思わず辺りを見回した。


「そりゃあ、そうですよねぇ…ラノベじゃあるまいし、現実なんてそんなもんですよね…」


危険察知の感覚を身につけたのではと感じた義弘は、いきなり飛び跳ねるなど体を動かした。

これまで一切運動とは無縁の生活をしてきたにもかかわらず、僅かながらにも自分の体調、身体能力が、向上している事も理解することとなる。

今ある貧弱な知識をもって、自分の頭で理解しえること、想像出来ることは、世界を渡ったことによる何らかのステータス恩恵を得たのではないかということであった。


「う~ん、ラノベのように能力の確認はできないのか…」




ラノベと現実との違い。

このビクトリアと呼ばれる世界にも、能力の把握をする魔道具は勿論存在する。

しかしそんな魔道具も極々レアであり、神級魔道具とまで呼ばれるそんな魔道具は、何処にでもあるような品物ではなかったのである。




「オープン、ステータス!ステータス、オープン!」


「……ふうぅ、やっぱり駄目か…しかたないか…」


何度か同様な事を僅かに変化を付け試した義弘ではあるが、納得のいく結果は得ることはできなかった。

しかし、結果が得ようと得まいと生きていかなければならない。

今、目の前に広がる森の中では『蛇口を捻れば水が出る』そんな便利な世界とは格別された世界なのは120%理解している義弘である。



危険察知能力。それは便利なチートなスキルである。
その存在に気づいた義弘は、この世界の中でもなかなかに優秀な人物といえた。

しかし、よく考えて頂きたい。
もともと他世界に無知なる人間が、突然にそんな他世界に放り出されたとしたならば…、そう、どんな人間だったとしてもは、パニックを起こさない訳はない。




確かに優秀な義弘ではある。

しかし、異世界冒険物語が大好物な人物ではあったとしても、全くパニックとは無縁。僅かに焦ることだけで、すぐに次々に行動を起こすことに成功している。


『では、何故、パニックにならないのか?すぐに冷静になれたのか?』

それは、本人の全く知らないところにて、危険察知それ以外のそれなりの特別な力が付与されていたからに他ならないのである。
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