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第一章 悲劇?喜劇?‥冒険?

二話 悲劇の真実

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『ゾワゾワゾワゾワ』


背筋を流れる冷たい汗の流に逆らいおぞましい寒気が義弘の背中を駆け上がる。


「あし!、足!!」


それはどこからどう見ても、小動物の足。
うっすらと輝きを発する赤茶色のトゲが主張する独特のフォルム。それは間違いのないミスターGの足。世界で最も嫌われ者ミスターGの足に間違いなかった。

口の中からつまみ出したその物体。義弘は、愕然とするしかなかった。
それが、いつ如何なる状況下で、自分の口の中へと侵入したのか?いや、それよりも想像したくない事実として、ミスターGの足だけが自ら歩いて自分の口に侵入することなどありはしい。では、足以外、それの存在は…義弘の背筋を這い上がる悪寒は、更に強まるのであった。





******(ここからは別視点、ミスター側からの視点となります)



「うむ、この世界に来たのは正解みたいだな」


この世界に初めて降り立ったGにとって、見晴らすその世界は、まるで天国のように感じられた。
見渡す限りの食材、御馳走の山々。


「うむ、この世界にいるかぎり飢えに苦しむことはないだろうな」


しっかりと六本の足をこの世界の地につけたミスターは、一人?納得頷いていた。


「さて、電気も消えた。今夜の御馳走、何にするかな?」


『カサカサカサ』

その夜、ミスターは、待ち受ける人生最悪の悲劇を知るともなく、心弾ませ活動を開始したのである。



「美味美味美味♪美味美味美味♪」

「おっ♪あれは♪♪」


その姿その香り、それは間違いのないミスターの大好物。

僅かにプラの弁当箱からはみ出し見せるその大好物のフライの姿が、突然に目に飛び込んだのが、ミスターにとって人生最悪の悲劇の始まりのきっかけだった。


大好物に向かって全速力で六本の足を回転させる。

目の前に見える小山など、ミスターの脚力にとっては何の障害にもならない。背の羽根を軽く震わせ軽快にジャンプしたミスター。

ミスターの立てた御馳走への最短ルートは、僅かに御馳走を隠す小山へとジャンプ。その小山を踏み台として、一気に目標への御馳走へとまっしぐらに突き進む。最高最短ベストな選択となるはずであった。

しかし、現実というものは無惨なものである。
小山へとジャンプして着地点となるはずべき場所に、それまでにはなかった大きな穴がぽっかりと口を開けていたのである。


それはミスターGが、少し調子にのりすぎたのがいけなかったのか?
それとも突然に湧き出た大きな穴を甘く見てしまったのがいけなかったのか?
ともかく、勢いのついたミスターのジャンプは、決められたコースを変えることなく絶望の穴へダイブすることとなったのである。
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