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第二章「子爵領任され先が見えない」モブなオレ。

番外2「この異世界で魔法の概念って」まじヤバい。

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「子爵代理アランさまに一つだけ確認です。鳥を倒した攻撃は火魔法ですか?」
 深く考えずにやらかしたのかもしんない。鳥の頭を弾き飛ばしたレイガンだ。

 現実的に問題がある前世の科学じゃない。SF概念の光線銃をイメージした。
ブラスター主人公が活躍するアニメかもね。どちらにしても魔法じゃないんだ。

 あの瞬間にイメージしたのはアレなんだ。炎を線状まで圧縮して飛ばす感覚。
深く考えずに行動した結果の一撃必殺かな。そもそもアレは火魔法じゃないよ。


「なんか難しいことまで意識する暇がない。いきなり現れた鳥を食べたかった。
ファイアボールで黒焦げにするのはマズい。弾を当てるイメージだったかなぁ」

 家令に対して冷や汗タラタラで説明する。そもそもなんでこうなったのかな。

「ふむ。子爵代理の言葉にウソは感じない。その経過は置いても弾を当てる?」
 まずいマズイ。おもらしヤバいよマジで。異世界に拳銃があるはずもないよ。

「あぁアレですよアレ。弓引いて飛ばす鏃。尖らせた先端は石とか動物の骨だ。
高速発射する線状の矢弾を意識したんだよ」なんとなくそれっぽい回答だよね。


 かなり厳しいけどいい感じの言い逃れだ。これで納得してくださいよお願い。
「ふむ。銃とやらがいまいちわかりません。それと弓変わりに魔法を飛ばす?」

「あっ。銃はどこかの本で見ただけですね。気圧の差を用いた概念になります。
平たい説明なら細い管から高速で発射する。小型飛翔体を高圧で飛ばす道具?」
「ふむ。概念として気圧差。その応用かな。ちいさくしぼり線状まで圧縮する」

「そうですそうです。そのまんまですから。炎が直撃すると鳥は黒こげですね。
食材に使うからダメだってとっさの考えだ」パシンと両掌を叩いてごまかした。

「なるほどなるほど閃きの結果なんですね。そこから新たな魔法を生みだした」

 家令が追及するセリフはかなりの皮肉だ。なんか周囲の雰囲気までヤバいよ。
「新しい魔法は……あくまで結果論ですよ。そうそうそう。たまたまですから」


「おにーちゃん。赤い粉でモンスター討伐。新しい魔法も開発しちゃえるんだ。
子爵の代理として申し分がない功績じゃん。これ王都に奏上すれば王命でるよ」
 ミーアやめて。キミはおバカキャラだよ。フラグになるのヤバいからやめて。

「そうなんだよ。献上できるカレーの開発。三点セットの奏上なら子爵決定だ」
 とどめを刺さないでくださいアリー王女。この世界でオレモブなんだからさ。

「勇者でもバカだって父から聴いてるんだ。やっぱり魔女が母親なら優秀だね」
 シンシアまで……前世のおかげなんだよ。オレが優秀なわけじゃないからね。


「ふむ。冒険者ギルドで粉末は実証中です。少量ですがカレーも献上しました。
子爵家の継承についてもすでに規定事項だ。おそらく周囲にも反発されません」
 とどめを刺すのがもちろん元伯爵さまだ。うちの家令さん優秀すぎてヤバい。

「実績の意味なら十分すぎると理解したよ。それでも成人したばっかりなんだ。
魔法学校の授業として高等教育は勉強した。それでも知識と経験が足りないよ」
 言い訳する気持ちじゃなくて本心だから。いきなりハーレムも理解できない。

 いきなり前世がアバウトに芽生えたんだ。周囲に流されながらの行動になる。
前世の記憶が役立つ部分は確かにあったよ。それでも邪魔になる部分が本能だ。

 フェミニストに似た価値観かもしれない。女性の権利を迫害しない平等感覚。


 もちろん男女が平等なんて前世の欺瞞さ。性別が違うだけでスキルも異なる。
生育した地域や環境と血統の差も関係する。それにプラスして個性と能力かな。

 当初のフェミニズムは女性解放の思想だ、いつしか社会運動の総称に変わる。
政治や文化と社会の違いで生じる性別の差。それに影響されない平等の権利だ。

 異世界のサンパールにそんなものはない。ほぼ男尊女卑に近い思想だからね。
もちろん民主主義なんて微塵もありえない。どこの国でも絶対王政が守られる。

 おバカなオヤジだけどマジに感謝したよ。貴族で生まれたメリットとの相殺。
いつの間にか美少女三人を押しつけられた。受けいれられないのも感情だけさ。


 はっきりいうならオレが間違いなんだよ。この世界に価値観を寄せればいい。
記憶と情報を持たない状況すら幸せなんだ。前世に嫁や子供がいたら後悔する。

 自分に恥じることない生き方を目指そう。みんなで幸せになるなら問題ない。
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