S系攻め様は不憫属性

水瀬かずか

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【番外編1】:仕事とデートと夜のドライブ

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「……んふっ」
 キスをしながら、ゆるゆる篠塚が腰を動かし始めた。緩い動きは疼くような快感をじわじわと高めていく。
 腕を再び首に回し、舌を絡めながら腰をよじる。
 もどかしい、気持ちいい。
 舌を絡め取りながら、足を篠塚の腰に回し、奥へと誘い込む。
 接合部を擦り合わせるように互いに動いていたが、そのもどかしさに堪えられない。唇を離して篠塚にきつくしがみつき、耐えられないと首を横に振って腰をぐりぐりと押しつけた。

「……うぅっ、……はぁ、はぁっ、も、うぁっ、あっ」
 気持ちいいけど、足りない。もっと、もっと強く突き上げて欲しい。
「………っ」
 しがみついて、ぐりぐりと腰を押しつけるオレに、篠塚がオレを突き放すように動いた。
 急に引き離されたショックで、胸がきしむ。
 切なくなった直後、両足を広げて抱え上げられた。そして、上から押し込むように、ずんと奥までねじごまれる。
「ぅぐ……!!」
 喉が詰まるような圧迫感。まるで怒っているかのような厳しい表情でオレを見下ろす篠塚。それが篠塚の興奮を伝えてきて、ゾクゾクと震える。
 うれしい、うれしい、せつなさから一転して興奮が駆け巡る。最高に気持ちいい。えぐられたケツの奥が戦慄いた。

 無言のまま篠塚ががつがつと腰を振り出す。奥を抉られる度に、呻くような音を立てて息が漏れる。
「んふっ、ふっ、ふぐっ」
 男の低い声で漏れる息づかいなんて、元がノンケの篠塚には聞けたもんじゃないだろう。なのに篠塚はうっすらと笑みを浮かべて「すげ、エロ……」と、息づかいの合間に掠れた声を漏らす。
「……そんな、わけ、ないだろ」
 息も絶え絶えに、恥ずかしさ半分反論するが、篠塚はなお笑みを浮かべた。
 キュンと奥が震えながら締まったのが自分でも分かった。
 なんだその色気ダダ漏れの笑みは。これだからイケメンは。笑っただけでエロいとか、お前の存在の方がエロいわ。
 なのに篠塚は、腰に響く声を時折掠れさせ、エロさ上塗りでささやく。

「車ん中で、俺に抱かれて、課長が気持ちよくなってるとか、最高にエロいです。……ほら」
 そう言って、ぐぽ、と、ゆっくり引き抜き、それからぐぷ、とゆっくり埋めていく。そのゆっくりとした動作は、じっくりと快感をねじ込まれているような期待ともどかしさをかき立てる。
 動きをいやがおうにも思い知らされるように、ねっとりとした動きだ。
「……ひ、うぅぅ………」
 ぞくぞくぞくと身体が震える。
 うあぁぁぁ。ゆっくり動かされると、堅くてでかいちんこがオレん中こすってる感じがめちゃくちゃ感じて、やっぱ、気持ちいい。
 ちんこが出入りしてる感じをじっくり味わうのは、抱かれているのを実感して最高に気持ちがいい。興奮する。篠塚が、オレを抱いてる。オレを抱いて、こんなにちんこを硬くしている。頭が溶けそうなほどに興奮する。だって、あの篠塚が、オレを抱いてる。

 何度抱かれても、この喜びと興奮は、未だ色あせない。
 まだ篠塚がオレに心を残してくれている。
 その今だけの幸せを甘受する。
 快感と多幸感で、背中にゾクゾクと震えが走る。
「あ、……あ……」
 もどかしさに耐えながら、ゆっくりと入ってくるちんこを半分意識的に、半分無意識にぎゅっと締め付ける。ヒクヒクと収縮すれば一層その大きさと圧迫感を実感できて、そしてずぷずぷと埋め込まれる気持ちよさと、オレの中を埋めている気持ち良さが増す。
 息を吐くだけの口元が、だらしなくわなわなと震えた。

「……はっ、課長、だからエロすぎ……っ」
 顔をゆがめた篠塚が、最後まで入れる直前、突然勢いをつけて突き上げた。打ち付けられ場所からぱちゅっと、情けなくも卑猥な音が漏れる。
「……ぐっ」
「……っ、煽って、ますよね?!」
 意味がわからない!
 思わず首を振るが、「こんなにヒクヒクしながら俺の咥えておいて?」と、くちゅくちゅと緩く揺すられる。
 オレのケツと篠塚の腰が当たって、ローションでぬれた肌がぺちょぺちょと音を立てる。どこか間抜けで、卑猥な音だ。その水音に煽られて、オレのケツは勝手に締まる。

「ほら、また」
 いや、煽ってるのは完全におまえだ。そう思わないではないが、もう気持ちいいし、体勢苦しいし、もう、どうでもいい。篠塚の言いがかりに異議があるが、煽られてくれるのなら僥倖だ。
「篠、塚……っ、も、はやくっ」
 耐えられなくて、抱え上げられている腰を揺らす。
 さっきみたいにもっと奥を抉ってくれ。苦しいぐらい圧迫して、喉まで届きそうだと錯覚するほどえぐく突きたててくれ。
 もっと。早く。早く、篠塚。俺を突き上げてくれ、もっと、もっといっぱい。
 気持ちよさを求めて勝手に腰が揺れる。
 篠塚、早く突いて。もっとついて。篠塚、篠塚。
 はふはふと息づかいさえおぼつかなくなりながら、篠塚にねだるように目を向けた。

「……っ」
 歯を食いしばるように顔を引きつらせた篠塚が、上からずんと腰を打ち付けてきた。
「……ぐふぅぅぅぅ……!」
 体を折りたたまれるような苦しさと、欲しかった快感で、潰れたような声が漏れる。
 最っ高だ……!!
 勝手に漏れる声を抑えるために、腕で口を塞ぎ、シャツの袖を噛んでこらえた。

 無言のまま、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と突き入れる音が車内に響く。
 低いうめき声の混じる悲鳴じみたオレの息づかいと、浅く早い篠塚の息づかいが水音に絡む。視界に移る車内と窓の外の景色が、突き上げられるたびに揺れて、非日常感を更に高める。
「……ぐっ、……ぐっ、……ぐっ」
 喉から漏れる音と、鼻から抜ける高い悲鳴じみた音が自分から漏れるのを聞きながら、もう、篠塚に揺さぶられることだけしか考えられなくなる。
 ずちゅずちゅと中をこすられる感覚が、ひたすらに気持ちよくて、もっとこすってそのままいきそうな感覚に身を委ねる。
 上から押さえつけられて、ろくに動けない体勢で腰を振る。もっと気持ちいいところをこすってくれ、もっと奥をついてくれ。

 シートの背もたれの端をつかんで、打ち付けてくる力を逃さないよう、より深くまで感じられるよう、体を固定した。
「うあっ、あっ、あっ、篠塚っ、篠塚……っ」
 声を抑えなければという意識すら朦朧で、早くいきたいと、篠塚の腰の動きに合わせて、腰を揺らせて快感をねだる。
 膝裏をつかむ篠塚の手に、更に力がこもる。痛いほど掴まれて、上から突き刺すようにえぐられて、ひぃひぃと泣きながら腰を揺らす。
 篠塚、もっと、もっと、そこを……っ
「……っ、……っ、……っ」
 篠塚の息づかいが荒くなる。ずぷずぷと入り口をこする圧迫感が増して、篠塚もいきそうになってるのを感じる。
 篠塚がイく瞬間の大きさと突き上げが最高に気持ちいい。もうすぐ、もうすぐであの快感が来る。もっと奥に、もっと強く。
 もがき苦しむような聞き苦しい声を漏らしながら腰を振った。

「うあっ、あっ、あっ、あっ……あひぃぃ……!!!!」
 ずんと突き上げられて、ようやく望んだ快感がはじける。ガクガク震えながら痙攣する奥を更にえぐるように、ぐりぐりと腰が押しつけられた。

 ふぅ……と、深い息をつきながら、残滓を吐き出すゆるやかな篠塚の動きが、快感に震える体を刺激して、最高に気持ちいい。
「ひぐっ、ぐっ、あぁ……っ、あっ」
 イって身体はぐったりしてるのに、小さな刺激に反応して身体がビクビクとはねる。
 ケツだけでいった後の、この苦しくて痛いほどの快感が最高に気持ちいい。勝手に声が漏れて、勝手に体がはねて、痙攣するケツの穴が勝手に篠塚を搾り取る。
 体の力は抜けてるのに、快感でこわばってる感覚に身を委ねるの、最高……。
 篠塚が小さく笑って、オレの反応を探るように、ぬちゅぬちゅっと腰を揺らした。
 ああん、ぐりぐりしたら、声漏れちゃうぅ……気持ちいいから、もっとぉ……。
 うっとりと、篠塚の動きに身を委ねる。

 あー。気持ちよかった。
 快感と心地よい倦怠感に身を委ねながら、今日の思いがけないプレイを思い返す。相変わらずの篠塚の理想っぷりは最高だった。そして新しい世界の扉を開いた感慨に思いをはせた。

 オカルトプレイ、悪くなかった……。
 怖いと思い込んで怖さに身を委ねると、意外と本当に怖いものだな。と、未だかつてない感覚に感動だ。めちゃくちゃゾクゾクした。
 ちらりと篠塚を見る。今日はうっかり余計なことを、ちょこちょこと口走ったが、幽霊怖いとか思ってたのはバレていないだろうか。
 最近、篠塚の前だと思ってることがついこぼれてしまうから要注意だ。しかも篠塚はそれに対して特に反応示さないから余計にボロが出る。

 オレが思わず思ってたことをこぼすと、周りが一様に反応に困った様子になるからイヤなんだけど、篠塚はそれがないんだよなぁ。
 妙に優しい顔してクスッと小さく笑って「かわいい」とかなんとか好意を向けられることの方が多い。
 どういう処理が篠塚の中でされているのかは分からないが、そこに馬鹿にした様子もなければ適当にごまかされている様子もない。
 オレがその時の篠塚から感じるのは、純粋な好意だ。

 だから気が抜けるんだろうな。
 とはいえ、幽霊からの視姦プレイ、オカルトプレイに興奮してたのはバレたくない。
 多少変なことは口走ったかも知れないが、決定的な言葉は言ってないはずだ。
 後はすっとぼけて何でもないフリをしてやり過ごすという使命が残っている。
 まだ、篠塚に愛想尽かされたくないし。もうちょっと取り繕って、現状維持期間をちょっとでも伸ばさないとな。

 と、理性では思うわけだが、正直、お化け屋敷と、山の中での車エッチ、控えめに言って、最高だった……。
 今日も篠塚がオレの理想過ぎてつらい。
 緩みそうになる表情を必死に押さえながら、頭の中ではひたすら今日の篠塚メモリアルをリプレイしていた。


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