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【番外編1】:仕事とデートと夜のドライブ
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しおりを挟む快感に流されながらも、常識との狭間に脅える課長が、たまらなくかわいかった。そして脅えているのに、いや、脅えているからこそこの人は反応するのだ……いつもよりも敏感に。
吸い上げて少し疲れた口を休ませながら、先端を重点的に、竿から何度も舐め上げる。
「……篠塚……」
わずかに震える声を隠して、課長が低い声で俺を呼んで首を横に振る。無表情なその顔を見ながら、俺は笑った。
「……大丈夫ですよ」
目元に浮かんだ涙に気付かないふりをして、何の役にも立たない適当な慰めの言葉を口にする。
「……嫌だ、篠塚……」
「……そんなこと、言わないで下さい」
少し悲しげに装って首をかしげれば、課長はぐっと言葉を詰まらせる。その優しさに俺はつけ込む。
このまま口で抜いてしまえば、課長はもっと恥ずかしがってくれるだろうか。
階段下で羞恥に震えていたあの姿を思い出す。
あれはよかった。あのときの、感じてしまって「出そうだ」と背徳感に震えた課長をもう一度見たい。
どうしたら、もっと恥じらってくれる?
課長にとって羞恥心を煽る行為……そう例えば、「こんなところで」「しかも口でいかされる」状況、とか?
俺はその思いつきに満足し、うっすらと笑みを浮かべ課長を見つめた。
「好きです。恥じらう、あなたのかわいい顔が見たい」
「……っ、何を考えて……ぅあ……!」
あえて目的を告げた。恥ずかしがっているからと言ってやめる気がない俺を感じ取らせるために。
この先の状況を想像してしまえば良い。自分がどのようなことをされるか想像して、恥じらいと期待を抱けば良い。ダメだと思う理性が負けて、快感に流される自身に羞恥を覚えるといい。
再び課長のチンポを口に含む。「ひぅぅ……っ」と、声を堪える課長のうめき声を聞きながら、ゆるゆると先の方を唇でしごく。ぬぽぬぽとしたその感触が好きだ。課長が気持ちよくなる度に反応して、瞬間的に堅くなったり膨らんだりと脈打つ感触がいい。
その合間に手を腰骨から腹部にと滑らせる。なぞられる感触に感じるのか、身体も股間もぴくぴくと震えながら耐えているのがいじらしい。
だが必死に耐える様子もかわいいが、もっとぐずぐずに崩したい。
口でチンポをかわいがりながら、指先を胸元近くまで滑らせていく。するするとそのあたりを擽るように撫で回しながら、肝心なところには触れない。
「……っ、……っ」
課長が首を振ってもがく、苦しげな息が車内に響く。
もっと期待して。もっと触って欲しいと願って下さい。
じらして、じらして、気持ちいいところを避けて、快感を高めてゆく。
少しの指先の動きだけで、あからさまに反応がよくなっていく。もどかしさに強い快感を求めて焦れているのを感じ取り、それに俺も煽られてゆく。
かわいく快感を伝えてくるチンポをゆるゆるとしゃぶり、乳輪近くまで指先を滑らせて、大事なところは触らず肌を撫で回す。課長が腰をよじる。低い声で呻きながら俺の手にこすりつけるように胸を反らす。
「……ぅっ、ふっ、……ふぅぅっ」
低く震える声は、俺からの刺激を期待していた。
かわいい。
男らしい筋肉質な肉体をよじらせながら、与えられる快感に耐え、そして求めている。俺に蹂躙されるのを待っている。
ゾクゾクとした興奮に頭を犯されるようだった。
もっと弄り倒して、泣きながら触ってと訴えるほどにいじめたいのに、もう自分の方が限界だった。
ぐりっと乳首を押しつぶすと、「ぐあぁぁぁ……!」と、堪えようとした声を突き破った低い嬌声が上がる。
チンポをしゃぶったまま上目がちに覗く俺の視線の先で、課長が背中を跳ねながら喉元を晒した。
かわいい。これが見たかった、この堪えきれない声が聞きたかった。
もっと、もっとと気持ちは急かされ、刺激を緩やかにしていた口での奉仕を激しく再開する。
この人の声が聞きたい。低い声で、らしくもなく快感の声をあげる姿が見たい。
衝動に任せ、乳首を弄り、チンポをバカみたいにじゅぽじゅぽとしゃぶる。頭を上下に揺さぶり、このままいってしまえと、どんどんと動きを激しくする。
「あっ、あっ、やめっ、あっ」
俺を静止する声をあげながら、課長が腰を上下に振って俺の口の中を犯してくる。喉を突くほどに滾らせて、腰を揺らし、身をよじらせながら課長は乱れる。
今にもはち切れそうなほど課長のチンポは滾っているのに、課長は必死に堪えている。
「……っ、ダメだ……! いやだっ、やめろっ、無理だ……っ」
震える声で、切なさと苦しさを湛えて課長がうなるような声で俺を拒絶しようとするのに、興奮で振り切れた俺の理性が切れた。
まだ我慢をするというのか。意地でもイかないつもりか。
射精を堪える課長に苛立ち、ダッシュボードの物置に入れてあるローションを取り出す。そして課長の両足を抱え上げた。
「は? なんでそんな物が車に……」
「もちろん、あなたを抱くためです」
女と違って、抱きたいと思ったからと言って抱ける身体ではない。どう思われようと今更だ。やりたい盛りだとでも何とでも思え。コンドームとローションは、おそらく課長が引くぐらいいろんなところにしのばせてある。
それにしても車の中にしては広いとは言え、車内だ。助手席側半分に身を詰めていては動きは相当に制限される。現状、課長が自身を背中だけで身体を支えるには不安定で狭い。反動を付けて両足を持ち上げたひょうしにスプリングが効いて、緩やかに車体が揺れる。
「篠塚……っ」
顔が見えるように、足を顔の右側に寄せて課長の身体を折りたためば、脅えるように俺を見た。
「やめろ、ここは、いやだ……っ」
少しだけローションを指先に取ると、ひくりと震える穴に指をゆっくりと差し込んだ。
「ひっ、やめ……ッ、ダメ、だ!! あ……っ」
俺に慣らされた穴は、少しのぬかるみで簡単に指先を迎え入れてくれる。しゃぶるようにねっとりと受け入れながらひくひくと侵入してきた指を歓迎する。少なめのローションを内壁に馴染ませるように、ぬるぬると中を刺激すれば、課長は呻きながら身をよじる。
本当にこの人は快感に弱い。快感に流されながら抵抗する姿が、彼を嬲っていたあの頃と重なる。それは嗜虐的な興奮と、後味の悪い焦燥感とを同時に沸き上がらせた。
振り切るようにその感情から目をそらし、ローションをつぎ足して二本目の指を差し込んだ。
「……んっ、んんっ」
口元を押さえて課長が首を振りながら快感に耐える。
そうだ、課長が耐えているのは快感だ。俺に抱かれるのを嫌がってるわけじゃない。それに……。
萎えることのない彼の中心に、この状況で彼もまた興奮していることを確認する。だから良いはずだと、課長の興奮を免罪符に指を動かして、彼の拒絶の言葉を奪っていく。
厳つい大の男が、子供のように両足をまとめて折り曲げられる姿は、滑稽で憐れだ。尻だけを丸出しにして、その穴を震えさせる惨めな姿。それが愛おしくて俺を更なる衝動へとかき立てる。
「課長、かわいい。もっと気持ちよくなって下さい。もっと、俺を欲しがって」
快感に溺れる声を聞きたい。あられもなく声をあげて身をよじる姿を見たい。俺の名前を呼んで涙を流す顔を見たい。俺に向けて伸ばされる手が、縋るように俺をかき抱く力強さを感じたい。
「課長、かわいい、かわいいです」
「……っ、やめろっ」
首を振りながら両腕で課長は自分の顔を隠してしまった。
「……かわいい」
顔は見えないが、顔を隠すだけの抵抗に胸が震える。やめろと言いながら受け入れてくれるこの姿が、かわいくなくてなんなのだ。
もう、たまらない。
もどかしさを感じながら、狭く動きづらい空間で、もたもたと手際悪く課長のズボンを脱がせた。
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