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10 そっちじゃないだろう
しおりを挟む男の尻の穴など、触りたいと思ったことはない。けれど、自分の指を迎え入れたそこは、女の性器とも違わぬほどに濡れそぼっていた。指を咥え込む強い締め付けはそれとは違う。そのくせして、飲み込まれた内側は熱く柔らかく指先を迎え入れ、熱く濡れているのにどこかふわふわした感触が気持ちいい。
「あ、……ゆびぃ……」
吐息とともに切なげに声を漏らしながら、彼は指を奥へと咥え込むようにユルユルと腰を振った。
指先から指の中頃まで入ったところで、他の指に阻まれてそれ以上入らなくなる。
「ん、んっ」
物足りなげに、けれど気持ちよくてたまらないというように、彼がむずがるのを見て、中をかき回すように、指をぐるりと動かした。
「あ、あ」
嬉しそうに彼が腰をうごめかした。
「ゆび、きもちいい」
嬉しそうに顔をだらしなく緩ませ、ふにゃりと彼が笑う。
そのくせして、ふるりと震える体は、きゅうきゅうと指をしゃぶるように締め付けてくる。
ねじ込みたい、と、衝動的に思った。このふにゃりとした笑みを浮かべる男を抑えつけ蹂躙したい。ねじり込んで突き上げて、この顔が快感に啼くのを見たい。
きゅんきゅんと指が吸われている。ずくんと疼く己の一物は、指が堪能するその柔らかさを喰らいたいと、その奥を付きあげて喰らいたいと訴えてくる。
「咥え込むのは、そっちじゃないだろう」
自分でも呆れるほど低い声がした。興奮して掠れた声を出す喉をごまかすように唾液を飲み込んだ。
指を引き抜くと、「あ……」という、悲しげな声が落ちてくる。
いきり立っている一物を、すがりつく彼の腹にグリっと押し付ければ、すぐそばでもゴクリと喉の鳴る音がした。
彼の美しい顔がとろりとした笑みにくずれる。
「ふくだんちょうの、ちんちん……」
私にへばりついていた体を起こした彼が、うっとりとした顔で私の一物を両手で持つ。
ゆるく、にゅちゅにゅちゅとしごかれ、興奮と期待にさらに熱が集まる。
彼が何度もなすりつけてきた体液で、己の先走りもわからないほど、既にどろどろになっていた。
彼が膝立ちになってゴクリと息を呑んだ。好物を前にしたとろける表情で、滾った一物に指を添えて。
そしてうっとりとした表情でゆっくり腰を落としていく。
入り口に添えられていた先端が、ぬぷりと中へと分け入った。
はぁ、と熱い吐息が落ちてくる。
その気持ち良さげな声と、咥え込まれる快感にぞわりと背筋が震えた。目の前の美しく鍛え上げられた肉体さえも、私の興奮を煽るのだ。
突きあげたい。
衝動のままに彼の腰を掴むと押さえつけるように引き寄せ、そして自らは腰を突き上げた。
「ひい゛ぃ……!!」
私の上で貫かれた体が仰け反る。何者にも負けないような体が、たったこれだけで抵抗一つ出来なくなっている。
悲鳴と強い締め付け、このままいってしまいそうなほどの快感。そして彼を蹂躙しているのだという愉悦。
私の上で彼がビクビクと痙攣している。鍛え上げられた体を反り返らせ、衝撃にこわばった体で私の一物を貪っている。
今この瞬間の言葉にならない快楽に思考が塗りつぶされていた。
痛く感じてもおかしくないほど締め付けられているのに、柔らかな内壁がきゅうきゅうと誘うように快感を煽ってくる。
本能的な欲求に突き動かされていた。
腰を掴んだまま、奥を抉るように一度二度と突き上げれば、その度に彼は悲鳴じみた嬌声を上げて体を震わせ、一物をきゅうきゅうと締め付けた。
強ばった身体が怯えるかのように震えている。潤んだ目から涙が伝っている。だらしなく開いた口元から言葉にならないうめき声にも似た音を漏らし、その癖して、尻だけはもっと貪ろうとするかのようにビクンビクンと震えて筋肉を隆起させている。
彼は自ら体を震わせては一物を締め付け、それがまた気持ちよくてたまらないというように喘いでいた。
耐えきれず上半身を起こして腰を抱き寄せるように腕を回す。
それだけの刺激で悲鳴を上げた彼は倒れ込むように私にすがりついた。
覆いかぶさるように身を寄せてきた彼の体重を利用して、私はそのままぐりぐりと奥を抉る。途切れぬ嬌声が更に甲高く上がった。かと思うと、彼は私に縋り付いて自らも腰をなすり付けるように振りたくる。
「あ、あ、しゅご……、おいひ……、もっと……」
悲鳴の合間に、切なげな声でうわごとのような呂律のまわらない呟きが聞こえる。縋り付いて腰をヘコヘコとすり寄せる彼が滑稽で憐れでかわいらしく、ぞくぞくとした興奮をかき立てる。
もっと、もっと狂わせたい、もっと気持ち良さげによがる姿を見たい。
腰をだきしめたまま、密着した部分を更に深く抉るように、何度も何度も突き上げる。
「ひぁ……っ、あ゛っ、あ゛っ、い゛……っ、ひんっ」
快感に乱れて体をよじり震わせる目の前の体は逞しい。筋肉のむっちりとした柔らかさと、身を強ばらせる度に硬すぎるほどの強度になるのとを繰り返している。
その度に、ピクピクと上下する胸筋がひどく目を惹く。
形のいい胸筋に秘やかに主張する乳首は淡く色づきつんと立っている。
男の乳首を綺麗だとかかわいいだとか思ったことはない。むしろ日常の風景の中で目に留めることなく存在している物だ。それを、形がいいだとか、吸い付きやすそうだとか、思っている自分に気付くことすらなく、誘われるままに目の前の乳首を口に含んだ。
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