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後日談

オフィスで危険で甘いヒミツの関係1

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「三井さん、資料を探すのを手伝ってくれないかな」

 顔を上げると課長がいつもの穏やかな表情で私を見ていた。返事をしてから、手早く作業中の仕事をひとまず区切りを付け、急いで立ち上がる。



 付き合い始めてもう三ヶ月。会社では今までと変わりないが、プライベートではずいぶんと変わっていた。電車での痴漢行為はほとんどなくなり、代わりに彼の家で、時には私の家で身体を重ねる。エッチは意地悪なことをしたりするけど、やっぱり彼は基本的に優しくて、私を包み込むように大切にしてくれる。

 電車でのエッチはたまに彼がプレイとして楽しんでいるようで、一緒に電車で行こうといわれたときは、イタズラされる事が稀にある。以前のようなきわどい事はしないし、軽いボディータッチと言われればそれで間違いではないような気もする。
 触るといっても布越し、せいぜい太ももを触るぐらい。服の下の素肌に指を滑らせることはないのだから。
 とはいえ、痴漢ではなくそういうプレイになってしまったせいで、恥ずかしさと見つかったらという緊張感は今まで以上に強くなった。
 ダメですと、後で何度言い募っても、彼は涼しげな顔で私をなだめながら聞き流している。

「もうしないって言ったくせに!」

 と、怒ってみれば、

「してないよ。痴漢じゃなくて、恋人同士の軽いスキンシップだからね?」

 だなんてとぼける。
 彼の立場があるから心配しているのに。

「見られて困ることなんかない」

 なんてうそぶいてるけど、気付かれたらいたたまれなくなる程度には「いちゃいちゃ」しているように見えるだろう。
 でも、それが嫌じゃない自分が一番問題なのかもしれない。あんな行為を、なんだかんだと気持ちよくて受け入れてしまっているのだから。

 布越しのきわどさのない触れ方は、気持ちよくて、でももどかしくて、私は興奮してしまう。そして二人きりになった後の行為を待ち望む。

 認めたくないけど、やっぱり、こういう性癖だったんだと思う。



 隼人さんがあんな事するから、目覚めてしまったのよ。

 心の中でそんな言い訳と課長への文句を並べ立て、資料室へ向かいながら少し先を歩く彼をちらっと睨んでみたりする。
 そして、仕事中だというのにその背中を見ていると胸がときめき始める。彼と抱き合って、あの背中に腕を回して得られる、たくましさと安心感を思い出してしまったからだ。

 資料室に入ると課長は手早く資料を集めていく。内容はあらかじめ聞いていたので、私もいくつか見つけたが、全く私の手など必要ない様子だった。
 どうして私は呼び出されたのかよく分からずに、積み上がった資料と課長を見比べた。

「香奈」

 会社では呼ばない私の名前を呼んで、彼が私にキスをした。

「かちょ……っ」
「しっ、声を出したらダメだよ」

 クスクスと笑いながらキスをして、彼は私の胸をやんわりと揉みしだく。

「んんっ」

 ずくんと込み上げてきた快感に声が漏れそうになるけれど、それは彼のキスによって閉じ込められる。
 くちゅくちゅとキスの水音を耳の奥で響かせながら、彼が刺激する胸への快感が、私の思考を奪って行く。
 気持ちよくて、「なんで」と思っていたことも忘れ、彼の首に腕を回しキスと愛撫に没頭する。

「香奈、かわいい」

 完全に息が上がって、ぼんやりと彼を見つめている状態の私を見て、課長が少しうれしげに笑い、囁いてから、髪をそっと撫でてくれる。

 嬉しい。気持ちいい。

「課長、すき」

 首に回した腕に力を入れ、彼の首筋に頬をすり寄せる。
 寄せ合った身体が気持ちいい。

「君は、俺を煽るのが上手すぎていけないね」

 クスクスと笑いながら、彼はいやらしさの欠片もないような顔で、再び私の胸を触りだした。私が一番感じる、胸の先端を重点的に。

「んっ、んっ」

 唇を噛み締めながら、漏れそうになる声を抑える。気持ちよくて、でも服越しはもどかしくて、彼にしがみつく腕に力が入る。

「香奈、ちゃんと触って欲しかったら、どこを触って欲しいのか見せてごらん?」

 からかうような囁き。
 どくんと心臓が跳ねて、動きを止めた彼を見上げた。
 熱くなっている私とは対照的にも思えるほど、涼やかな表情。なのに私はそのせいで込み上げる羞恥心に、更に煽られたように身体を熱くして、胸元のボタンをはずして行く。
 冷静とも言える表情で私の動きを見つめている課長に、シャツをはだけて見せて、ねだるように彼を見つめた。

「香奈? ブラジャーは、付けたままで良いの?」

 問いかけに、かぁっと血が登る。恥ずかしい。でも、欲しいのは彼の言う通り、ブラジャーの下に隠された胸の頂で。
 恥ずかしさに耐えながら、でもこれから与えられる快感への期待に抗えず、ブラジャーをそっと引きずり下ろした。
 ふるんと両方の乳房が彼の目の前にさらされ、じっと見つめる彼の視線に、羞恥が煽られる。

「隼人さん……」

 恥ずかしさに震えながら、乱れ一つない彼のスーツの裾を握る。

「こんなところで、自分でおっぱい出して、香奈はいやらしいね」

 耳元で囁かれて全身が熱くなる.消えてしまいたいぐらい恥ずかしくて、でも、期待している自分が居るのを感じる。
 彼は私をいやらしいという。自分でもそう思っていて、とても恥ずかしいという気持ちは消えない。でも課長はそんないやらしい私を受け止めてくれていると知っているから。決してさげすみの言葉ではないと分かるから。

「真っ赤になって、かわいい」

 課長はチュッと私の唇にリップ音を響かせて軽いキスをしてから、乳首を口に含んだ。

「……っ」

 突然の刺激に身体がこわばる。
 彼の舌が立ち上がった私の乳首を嬲るように刺激し、もう片方は彼の指につままれた。

「ぁぅっ」

 思わず漏れそうになった声を、口に手を当てて何とか抑える。

「きもちいい?」

 尋ねられて、こくこくと肯くと、彼がチュッと先端を吸い上げた。

「かーな。ちゃんと俺を見て返事して」

 静かな声だけれど、わずかにからかいを含んだ楽しげな声だった。
 目を胸元に落とすと、課長が私の胸に顔を埋めて、まるで甘えるように私を見つめている。目が合うと、おっぱいを咥えたまま彼が微笑んだ。
 ちょっとかわいくて、思わず微笑み返したところで、その笑顔が決してかわいいだけの物じゃないことを思い知らされた。


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