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電車で苦くて甘いヒミツの関係
7-7
しおりを挟む「……やっ、ひぁ……っっ」
目の前が真っ白になる。あっという間だった。彼を迎え入れて突然訪れた快感は、今までじらされた分、信じられないほどあっけなく、けれど大きな波となって私を襲う。
弾けた後、痙攣するようにビクビクと体が震え、内壁はぎゅぅっと勝手に中にいる彼を締め付けて、まるで更なる快感を貪ろうかとしているような動きをする。
私はこの日最初の絶頂をようやく迎えた。
「じゃあ、これからは、我慢したご褒美に、おかしくなるぐらいイこうか」
「……え」
肩で息をしていた私は、その言葉の意味を理解する間もなく、また突然の波に襲われた。
ぐちゅぐちゅと課長が私を甘く苛む水音が聞こえる。
「あっ、あっ、あっっ」
一度目の絶頂の後、その快感に浸る間もなく、まだ痙攣している私を課長は揺さぶるように突き上げていた。
「だめ、だめっ」
いった直後で、おかしくなるほど敏感になっていて、気が狂いそうなほどの刺激が私を襲っている。足もがくがくしてヒールのあるパンプスが足場を更に不安定にする。こらえるように必死に足を力を入れれば、揺さぶられる度に頭の中が真っ白にはじけるような衝撃が走る。
「た、立って、いられな……」
力の入らない足下と、壁についたてと、突き出したおしりにすり寄せるようにして動く課長と繋がったところ。
「じゃあ、俺にもたれかかってみる?」
上半身を起こされ、課長にもたれかかるように体を伸ばし、腕を後ろにいる課長の首にかけるように促されて。
首につかまっているように、と言うことなんだろうけど、それはあまりにも恥ずかしすぎる恰好だった。
「や、はずかしぃ……」
「俺は良い眺め」
耳元で囁く声は笑いを含んでいる。
そしてその羞恥を更に煽るように後ろから私を抱きしめている手が、胸の先端をいじりはじめた。その腕を私は開いたもう片方の手できゅっと掴み耐える。背中が、課長の胸とくっついていて、温かくて気持ちがいい。その上、細かく突き上げてくるその刺激は、直立同士とあって浅く小さな振動となって、先ほどの強烈な快感と違って、とろけそうなぐらい気持ちいい。
「あ、あ、……」
少しもどかしくて、じらされながらも刺激されて、そこに課長がおさまっていて、それは満たされているような快感だった。
恥ずかしさも忘れて、思わず目を閉じて、その気持ちよさにうっとりと流される。
……などと思えていたのは最初の内だけだった。
私をじらす指先の動きに、私の快感は知らない内に高められていっていた。
私は胸を触られるとすごく弱い。どこを触られても課長の指は気持ちいいけれど、胸を触られると、あそこの疼きに直結してしまう。でも、最初の内は、中にいる課長の刺激で、物足りなさはなかった。でも、胸をいじるばかりになって、下半身は動きをやめられると、ちょっと足下がふらついたり、ちょっとした動きだけの振動が膣内(なか)を刺激する。疼くのに動いてくれないもどかしさが私を苛み始めていた。
「ふっ、ぅっ……」
胸への愛撫を受けながら、必死に耐える。
繋がったままでいるには少し無理な体勢で、下手に動けば抜けてしまいそうで。
でも繋がっていたかった。
気持ちよさに耐えながら抜けないように体勢を整えよう少しずつ動いていると、膝を閉じた状態でわずかながらの安定感を覚える。
でもこれだと、繋がっている場所が締まってしまう。
や、これ、きもちい……。
思わず溜息がこぼれた。
「膣内(なか)、すごいひくひくしてる」
クスクスとからかいを含んだ声が私を嬲る。
「そんな事言ったら、いや……」
気持ちよくなっている自分を課長に見抜かれているのが恥ずかしい。気持ちいい体勢探しているとか思われたのだとしたら、どうしよう。必死で抜けないように、動かず我慢できるようにしてただけのに。
「電車でも、そうやって動かないようにもじもじしてたよね。ここをひくひくさせながら」
「ひぅんっ」
胸元に回されていた腕が急にぎゅっと私を固定するように抱きすくめて、突然にぐんと突き上げられる。
「電車でこっそり入れたら、香奈はどんな反応するんだろうとか考えてたんだけど」
動き自体はそう大きくないのに、奥の方をぐりぐりと揺さぶられるのはゾクゾクするぐらい気持ちいい。
「こんな感じなのかな」
クスクスと笑う声の合間に、課長の荒い息づかいが混じっている。低いその音と重なるように私の吐息も漏れる。
「ン……っ、ン……っ」
「そのまま声はこらえるんだよ。また、廊下人がいるみたいだから」
言われて、びくんと体がこわばる。
「すごい締まった。……香奈は、人がいる方が興奮するタチだよね。制約があるほど興奮する?」
「……っ、ちが……っ」
「しっ」
叫びそうになるのを止められて唇を噛む。
「俺は、耐えてる香奈を見ると、興奮するけどね」
私を後ろから強く抱きすくめたままクスクスと笑う課長は、私を強く抱きしめて揺さぶりながら、胸の愛撫も再開する。
「……っ」
音は聞こえないけど、ドアの向こうに人がいるらしい。それとももう行ったのだろうか。でもさっきまで気付かなかったのだから、まだいるのかもしれない。
だからまだ声を出しちゃいけない。
でも、人の気配なんて感じられない。
それとも私はぐちゃぐちゃと揺さぶられて、興奮でドクドク言う血液の音にかき消されて、ドアの向こうの音を聞き取れていないのだろうか。
声をこらえる私の後ろで、くすりと笑う課長の気配がする。その意味を考える余裕はなくて。
課長が膣内(なか)の奥の方を刺激してるのに、最奥までは届かない。それなりに強く揺さぶられているのに、こすりあげるような動きじゃなくって。ずくんずくんと響く刺激はすごく気持ちよくて、でもどうしても物足りない。
それでも私は課長が抜けないように足に力を入れて動けずにいる。私が動けばきっと抜けてしまう、この微妙な体勢。もっと奥まで欲しくて、もっといっぱい強く動いて欲しいのに自分は動けないもどかしさ。気持ちよさと物足りなさが興奮をかき立てる。
身動き一つ取れず、声も上げることもできず、電車の中のもどかしさを再現しているみたいだった。
でも、違うことが二つある。一つは、「彼」が課長だって知っていること、もう一つは、私の中にいるのは指じゃなくて、彼自身だと言うこと。
その事に気付き、私はまるで電車の中で課長に犯されているような錯覚を覚える。
電車の中で私が妄想したように。課長に電車で触られて「入れて下さい」とねだる妄想が再現されたかのような。
ぶるっと体が震える。怖かったわけじゃない。この震えは興奮だった。
抽挿する動きじゃないけれど、互いの秘部はほぼ密着した状態で揺さぶられているため、擦れたりわずかに離れたりする度にぴちょぴちょと音がする。
ずんずんと来る振動に、私の体は再び絶頂に向けて高まってゆく。
「や、また……っ」
こわばっていた身体が更にこわばり、足を踏ん張ったままぶるぶると震える。イきそうなのに、体勢が不安定すぎて、なかなかイけない。
「や、やっ」
囁くような声が、震えながら漏れる。イきたいのにいけなくて涙がこぼれた。
その時、課長の手が動いて、下腹部をなぞりクリトリスをぬるっとなで上げた。
「ひぅんっ」
そのままくりくりと私の敏感な突起をなで上げ、潰して。
あ、きもちいい……!
「あ、あ、あ……!!」
快感が一気に駆け上り、そのまま私はイった。
浅く息を吐きながら、課長に体をもたせかけたまま私の中にいる課長をどくんどくんと締め付けている気持ちよさに浸る。最初の絶頂に比べると、小さな波だったけれど、やっぱり気持ちよくて。そして少しだけ心地よさに浸る余裕もあった。
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