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2章
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しおりを挟む喜んでもらいたいのに、怒られるかどうかが基準になっていることに気付き、ルカは苦い顔で決めあぐねた。初心に戻って、最初の三つのうちのどれかの方がやはり良いのではと。
ルカは、深く溜息をついた。
なんでプレゼントのカフスボタンひとつ決められないんだ……。どれでも似合うと思うのに……。
でも……、正臣さんの喜ぶ顔が見たい。気に入ってもらえる物を選びたい。
「もう一日、考えても、良いでしょうか……」
商人に、苦笑されてしまった。
「申し訳ありませんが、明日、明後日と訪問先がつまっておりまして、三日後になりますが、よろしいですか」
「……はい、では、三日後……」
三日で、決断できる自信がなかった。
やっぱり、最初の普段使い出来る物にしようと決めて行った三日後、並べてみた五つのカフスボタンを前に、結局ルカは唸った。やはり、桁が一つ違う琥珀の方が良い気がする……。
でも、高すぎると怒られないだろうか。言わなければバレないだろうか。
「明日、明日に絶対決めます!!」
真剣に訴える美女を前に、商人がとうとう苦笑気味になって言った。
「お待ちしております」
顔が良くて良かったと思う。なんだかんだと、世の男性は美女には優しい。
ちなみに、この日の買い物は、自分用のカシミヤの手袋とマフラーである。偽姉達の反応が上々だったため、自分も欲しくなってしまったのだ。ちゃんと男性用だ。色違いで正臣にも同じ物を用意した。
東国の男は、女性とおそろいを身につけるような、目に見える親しさをあまり表に出さないから、一緒にいるときにあまり使ってもらえないかもしれないが。
そして覚悟を決めた翌日、迷いに迷ってようやく琥珀のカフスを買った。決め手は、それが一番ルカの瞳の色と似ていたから。ちょっと高いかもしれないがプレゼントの値段など言わないのできっと大丈夫だ。そう自分に言い聞かせた。正臣の目が肥えていたらヤバいということは、この際考えないことにした。
買ってしまえば、正臣がどう反応するかばかりに胸が占められた。
正臣はこの琥珀の意味に気付くだろうか。嫌がらないだろうか。
ようやく買ったカフスと、ついでに一緒にラッピングしてもらった手袋とマフラーの入った箱を手に、浮かれた気持ちで帰途につく。
ずっと身につけてもらえるといい。
ずっと……の、その先、きっとルカは側にいない。ルカの目の色をしたカフスを、ルカがいなくなった先も正臣は付けるのだろうか。
ふとそんなことを考えて、ルカは首を振る。
正臣との関係は、何もかもが刹那的だ。
けれど、それら全てから目を逸らし、プレゼントの箱をぎゅっと抱え込む。
正臣さん、喜んでくれると、良いな。
ルカは未来から目を背け、目先の幸せに浸った。
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