運命の痔

水瀬かずか

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3 痔vs媚薬

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「うひぃぃぃ……!! な、舐めちゃダメっすぅぅぅ……!!」

 ケツに塗りたくったその薬、経口用じゃないし……!!

「あ、す、すまん、聖痕を見てると、思わず……」
「い、いえ、俺は、良いんですけど、陛下、薬ぺってしてください、すぐさまぺってしてくださいぃぃい……」

 俺、王様が腹下して、変な薬飲ませたって、罰せられるの、ぃやだぁぁぁ……。
 恐怖で血の気が引く。ぐずぐずと鼻をすすりながら、半泣きで訴えた。

「……お前は……」

 王様はなんかすごく驚いた顔をして俺を見下ろしているが、だからそんなぼけっとしてないで早く薬をぬぐって、口の中の物を吐き出してぇぇぇ……。
 王様に何度も、口をすすいでくれと訴える。
 なのに王様はまじまじと俺を見ながら変なことを言いだした。

「……お前は、本当に、かわいいな……」

 薬が脳にまで達したぁぁぁぁ?!!!!

「へいかぁぁぁ……」

 ぶわっと涙が溢れる。ダメだ、王様が変だ。俺マジ死刑案件……。

「心配するな、大丈夫だ」

 ふわっと微笑んだ男前の笑顔は「ケッ」と悪態をつきたくなるぐらい麗しかったが、全然大丈夫じゃないから!! ナニをもって大丈夫だと言っているんだ!!

 もっと訴えようとしたところで、にゅるっとなんかケツの穴に入ってきた。たぶん指、自分のじゃない指が入ってきた感触が、半端なく異物感!

「ひっ」
「痛いか?」

 痔には触らないように気を使って入れられているのが分かる。ふつーに痛いけど。

「だだだ大丈夫っすっ」

 自分が触るのは全然違う、自分の意識の外で蠢く感触に時折勝手に身体が強ばる。

「せっかくだから、気持ちよくなろうな」

 王様が笑ってサイドテーブルにあった美術品みたいな薬瓶を手に取ると、ぐいっと煽る。直後、それが口うつしで俺に飲まされた。

「むぐっ、んんんんんっっごくん」

 問答無用で飲まされて、何が起こったのか一瞬理解できなかった。飲み終わった直後、喉の奥がかぁっと熱くなる。それから腹の中がじわぁっと熱くなる。

「な、なんっすか……?」
「ん? 少し性交を楽しくするための物だ」

 それって、もしかして! び や くぅー!!!!

「こ、高級品じゃ……!!」

 一般人には手の届かないヤツ! 高貴なお嬢様お姉様方があはんうふんと乱れるヤツ!! そんなお高い物を、俺なんかに使っていいもんなの?!

「私は、お前が乱れるところが、見たい」

 王様は俺の服をはだけて、べろりと乳首を舐めた。
 いやーん。人に肌を舐められるの初めてかも。だからといって舐められた以上の何の感じもないんだけどな。
 すっと肌をなぞるように撫でられて、「あひゃひゃひゃひゃ!」と、思わず笑ってしまう。

「へ、陛下、くすぐったいっす!!」
「そうか、そうやってしばらく笑っていろ」

 王様はなんだか楽しそうにクスクスと笑いながら、俺の身体を撫でたり舐めたりしながら、ケツの穴をいじり続ける。まあ、ふつーに痛い。慣れてるから許容範囲なだけで。

 それにしても、男に触られまくってるのに全然気持ち悪くない。王様が男前すぎるせいか? いや、でも普通に男だしな……。大型の犬になつかれているみたいな、その程度の感覚しかない。「ははは! わかった、わかったから、やめろよ!」と犬になつかれ舐められきゃははうふふと戯れてる気分だ。つまり王様に触られるの意外と楽しい。王様を大型犬と同列にしたなど口にすれば間違いなく不敬罪。墓場まで持っていく秘密となった瞬間だった。

 どのくらい王様の手つきに笑わせられたか、友達とじゃれ合うような気安さすら感じ始めていた。その間もケツの穴はいじられ続けてたわけだけども。それってどんな気安さ。
 笑いすぎて身体が熱くなってきた頃、なんか変にもどかし様な感覚がくすぐったい中にも混じってきはじめ、首筋をなぞるように舐められてぞくぞくとした感覚に身体が震えた。

「ひゃっ」

 と、身体をすくめたのは、本当にくすぐったさだけだっただろうか。自覚する前に今度は指先が乳首をするりとなぞっていく。

「あひっ?!」

 さっきまで触られる以上の感覚のなかった場所が、今はやたらとくすぐったい。
 ゾワゾワする。鳥肌立つ。でも、なんか、嫌じゃない。くすぐったいのに、もっと触って欲しい。
 唐突に閃く。
 ……は! これが媚薬か!! このもどかしい感じ、確かに快感!!
 媚薬、すげぇぇぇぇ!!!!

「陛下、陛下! 媚薬すごいっす!! めっちゃ気持ちいいっす!!」

 大興奮して訴えると、王様は楽しそうに笑った。

「それは良かった。……じゃあ、ここはどうだ?」
「うひっ」

 ケツの穴の指がぐるっとかき回されて、反射的に身体が反り返った。

「あ、あっ、や、なんか、それ、ションベン漏れそうっていうか……いや、でも、気持ち、良い、……かも?」

 何度もいじられて、ビクン、ビクンと身体が勝手に跳ねる。跳ねたのは決して痛いせいではない。まあ、普通に痛いけれども。

 ションベン出そうなぐらいで、なんで身体が跳ねるのか意味分からない。でもなんか、クセになりそうな感じっていうか……漏れそうだけど、も一回! みたいな……。
 ケツの穴が勝手に締まって、だから痔が圧迫されるし指で擦れるしで痛いのに、王様のいじる感覚の方が気になる。でもって、もう少し、もう一回ってちょっと思ってしまう。

「痛いか?」
「痛い、けど、なんか、それ、好き、かも」

 あー、なんかぞくぞくきゅーきゅーする感じ、良い。頭ぼーっとして、王様が触ってくる感覚のことだけしか、考えられない。

「そうか、では、このまま痛いだけじゃなくて、ここで気持ちよくなろうな」
「なるぅ……」

 ケツの穴をぐりぐりいじられる。脇腹なぞるようにして王様の唇が動いていく。べろりと乳首が舐められて、ちゅうっと吸われた。

「うあぁぁぁっ、あっ、あっ、ひぃっ、あ、へい、か、へいかっ、すげっ、なに、これっ、すげっ、きもちいいっ!!」

 頭おかしくなりそうなぐらい、身体がビクンビクンと反応する。体中の全部がちんこのさきっちょ並みに敏感になってて、すげぇ苦しいのに、めちゃくちゃ気持ちいい。

 ケツの穴いじられんのも、すげぇ気持ちよくなってきた。中いじられて気持ちいいけど、でも指の届かない更に奥の方ももじょもじょする。

「陛下、もうちょい、もうちょい奥の方いじってっ」

 もどかしくて、指を突っ込む動きを更に奥に呼び込むために腰を押しつけた。ほんのちょっと奥に入って、気持ちよくてそのまま腰を揺らしてその感触を味わう。

「っう、あー、すっげぇ……」

 めっちゃ恍惚とした気分でもうちょい奥に欲しくて、腰を押しつけ続ける。

 はぁはぁ言いながら、めっちゃ楽しくなっていて、自分の気持ちいいばっかりしか頭になくって、王様にねだりながらも、王様のことなんか完全に頭からとんでいた。いうなら、ほぼオナニー。
 痔は痛いけど、痛いのはどうせいつものことだし、時々強く刺激される程度ならいっかーって気分になっていた。痛みって他のことに気を取られると、割合意識外に行く程度には我慢できる。慣れって怖い。

「……っ、もう、我慢ならん……!!」

 突然切羽詰まったみたいな王様の叫び声に、ようやくちらっと思考が働く。
 あ、そうだ、王様。
 と、意識して王様に目を向ければ、苦しげな顔をして、王様がガチガチに猛ったチンポを俺に押しつけていた。
 あ、もしかして。と身構える前にそれは入ってきた。

「うひぃ……!!!」

 問答無用にぶち込まれて、身体がのけぞった。

「がっ、がは……っ」

 喉を逸らしたまま息を吐く。すげぇ苦しい、すげぇ痛い、今絶対痔が裂けた!! でも信じられないぐらい、気持ちいい!!

 痔の痛みなんて目じゃない。ケツの穴をみちみちと押し広げる圧迫感に比べたら些細なもんだ。何より、物足りなかったもどかしさを全部埋め尽くしたこの満足感、ぎゅうぎゅうと王様のちんこ締め付けながら抉るような快感をむさぼる気持ちよさ、……すげぇ!!

 勝手にビクンビクンと跳ねる体を持てあましながら、笑いがこみ上げてくる。

「へい、か、すげ、きもち、いい、っす」

 うっとりと薄ら笑いを浮かべながら跳ねる体の合間に、意識的に腰を揺する。

「お前、は……っ」

 顔をゆがめた王様が、がんがんと突き上げ始めた。
 うーあーっ、ケツ痛ぇ、気持ちいい、苦しい、めっちゃ突き上げてくんの、めっちゃ苦しくて気持ちいい。
 もう、あとはそれしか考えられなくて、ひたすら声枯れるまで、声をあげ続けていた。



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