地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる

39

「きょ、興味はあるんですけど、怖くて」
「何も怖いことはないよ。それに、もし帰りたくなったら転移魔法ですぐ屋敷に戻ってあげる」
「そうですか……？」
「うん」

そこまで言ってくれるなら……と俺はちょっと乗り気になっていた。

「じゃあ、お願い、します」

そう返事をすると、シルヴァンはとても嬉しそうに笑ってくれた。

「よかった。では、明日でいいかな。たまには翻訳をお休みして、朝からリフレッシュしようか」
「はい……」

こく、とうなずきながら、ちょっと胸がどきどきした。
明日……朝から？
もしかして、一日中シルヴァンと一緒にいられる？
そりゃあ、ふだんもほとんどふたりで過ごしてるけど、翻訳抜きでってなると……。
え、なんか、デートっぽくない？とか思ったりして。

「楽しみだね。シエル、せっかくだからおめかしして行こう」
「おめかし、ですか……」

この前のお祝いのときみたいなかっこうのことだろうか？
俺にはこの村人Ｂみたいな服でじゅうぶんなんだけど……。

「明日の朝、きみに似合いそうな服を持ってくるよ」
「は、はい。よろしくお願いします……」

俺は頭を下げた。
その夜はそのままおやすみなさいを言った。
いやらしい気分には、不思議とならなかった。
妙に満たされた気分で、眠りについた。