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3章 変化の時
話し合い
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アルフレッド殿下との話し合いは、学園ではなく王宮で行うことになりました。学園ではあることないこと噂されるのは避けられないと予想できます。それに国王陛下からも、私たちは一度話し合いが必要だと仰ってくださったので、有難く王宮の一室を使わせていただく事になったのです。
「お嬢様、私たちは何があってもお嬢様の味方ですから。」
「そうです!あの王子なんかに負けないでくださいね!」
二人は私の専属侍女です。いつにも増してドレスアップに時間と力かかっています。今日は淡いグリーンに白の糸が中心で刺繍が施されたエンパイアドレスです。この糸は光の当たり方によって白色が銀色に輝くんですよね。細かいですが作り手の技術が伺えるお気に入りです。
「ふふ、ありがとう。でも気をつけて、それが他の人に聞かれたら不敬罪になってしまうわ。」
「関係ありません!お嬢様を蔑ろにする殿下に問われる不敬罪なんて!」
アルフレッド殿下の所業は我が家にも広く知れ渡っているようで、使用人たちは随分殿下を嫌っています。
「私は貴方たちが罪に問われるところ何て見たくないもの。」
「で、ですが……」
「気をつけますが、殿下よりお嬢様が大切な事に変わりはありません。」
こうして、使用人たちが私を慕ってくれているのは心強いです。
けれど、今からは殿下と私の一体一。記録、立会人として書記官の方はいらっしゃいますが、両陛下からも口は出さないでほしいとお願いしました。婚約から5年。これは、私と殿下の間で終結させるべきなのですから。
◇◇◇
パーティーにしてもお茶会にしても、社交の場では身分の低い者が早く到着するべきです。遅刻なんてもってのほか。主催者や身分の高い方の到着と共に開始される事が多く、そういった方々を待たせないようにする為のマナーです。
なので私も殿下や両陛下より先に貸していただいたサロンに来たわけなのですが、殿下は一向に現れません。既に約束の時間はたっぷり二十分ほど過ぎています。身分の高い方は遅く来るものですが、遅刻はいけません。使いの者を寄越す様子も無いところを見ると、何かアクシデントがあったわけでもなさそうです。
バタン!と毎回同じ入場曲のごとく乱暴に扉が開かれ、アルフレッド殿下は現れました。時計を確認すると約束の時間から実に三十分を経過していました。
「お嬢様、私たちは何があってもお嬢様の味方ですから。」
「そうです!あの王子なんかに負けないでくださいね!」
二人は私の専属侍女です。いつにも増してドレスアップに時間と力かかっています。今日は淡いグリーンに白の糸が中心で刺繍が施されたエンパイアドレスです。この糸は光の当たり方によって白色が銀色に輝くんですよね。細かいですが作り手の技術が伺えるお気に入りです。
「ふふ、ありがとう。でも気をつけて、それが他の人に聞かれたら不敬罪になってしまうわ。」
「関係ありません!お嬢様を蔑ろにする殿下に問われる不敬罪なんて!」
アルフレッド殿下の所業は我が家にも広く知れ渡っているようで、使用人たちは随分殿下を嫌っています。
「私は貴方たちが罪に問われるところ何て見たくないもの。」
「で、ですが……」
「気をつけますが、殿下よりお嬢様が大切な事に変わりはありません。」
こうして、使用人たちが私を慕ってくれているのは心強いです。
けれど、今からは殿下と私の一体一。記録、立会人として書記官の方はいらっしゃいますが、両陛下からも口は出さないでほしいとお願いしました。婚約から5年。これは、私と殿下の間で終結させるべきなのですから。
◇◇◇
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バタン!と毎回同じ入場曲のごとく乱暴に扉が開かれ、アルフレッド殿下は現れました。時計を確認すると約束の時間から実に三十分を経過していました。
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