私は悪役令嬢なんだそうです

1章 飯テロ？

2年後

　あれから2年の月日が流れました。私は12歳になり、妃教育のため週に3、4日王宮に通っています。妃教育は実に多種多様です。マナーは勿論、歴史に周辺諸国の言語に器楽、護身術まで。どれも難しいですが興味深いものです。

　アルフレッド殿下には弟が1人おられます。今年で11歳のカイゼル・ランバート第二王子殿下です。こちらも優秀な方で、いずれは継承権争いをされる事になるでしょう。ランバート王国では生まれた順に限らず王位継承権は平等に与えられますから。

　噂をすれば、カイゼル殿下が護衛を連れて歩いてらっしゃいます。
「こんにちは、第二王子殿下。」
「いい天気ですねスカーレット嬢。今日は妃教育ですか？」
「えぇ。」
他愛もない話をしている、アルフレッド殿下が反対側からいらっしゃいました。

「カイゼル、スカーレット。何してるんだ？」
「兄上。」
「アルフレッド殿下。」
相変わらず殿下は人を見下すような視線を送っています。この2年努力したつもりなのですがね。

「見ての通り、世間話ですよ。」
「妃教育に来たのですが、お会いしたんです。」
　アルフレッド殿下はため息をつきます。これはいつもの兆候ですね。

「スカーレット、君は相変わらずだな。いずれ婚約破棄するのに妃教育なんて。」
殿下はため息をついた後きまって私に婚約破棄の話をされます。

ーいずれ婚約破棄するのに親睦を深めて意味はあるのか。
ー婚約破棄したら着られなくなるんだからドレスなんて送らない。
ー婚約破棄してアリスを迎えるんだ。あまり王宮の物を使うな。

これほど言われれば私だって婚約解消したくなります。でもお父様たちからの期待やこれまで費やした時間を鑑みると中々難しいものです。

「兄上！なんて事を言うのですか！」
カイゼル殿下が言い返してくださりました。しかしアルフレッド殿下もブレません。

「ふん。アリスと王位を手に入れるのはこの僕だと決まっているんだからな。」
と言い残し、赤い瞳でこちらを睨んだ後に去っていきました。