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プロローグ 婚約者の第一王子
諸刃の剣
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殿下はそれ以上何もおっしゃいませんでした。無言の時間が続き、お茶会はそれでお開きとなりました。
侯爵邸に帰ると、お父様に呼ばれました。
「お父様、スカーレットです。」
「あぁ、入りなさい。」
「失礼します。」
今日は宰相のお仕事が早く終わったのでしょう、お母様とお茶を嗜まれていました。お母様の好きなダージリンの甘い香りが花をくすぐります。
「今日は第一王子殿下との顔合わせだったのよね?」
「あぁ。で、アルフレッド殿下はどうだったかな?」
「ええと……」
なんと言ったら良いのでしょう。正直に言えば没落をほのめかす非常識な方でしたが、そうは言えません。仮にも婚約者であり、第一王子ですから。
「私の理解が及ばない知識を持たれる方でしたわ。」
私がそう言うと、お父様はため息をつきました。な、何かまずいことを言ってしまったのでしょうか。
「スカーレット、確かにアルフレッド殿下の言動は理解し難いかもしれない。上層部も頭を抱える事もしばしばだ。」
お父様もそう思っていたのですね。意外です。
「しかし時折見せる直感やアイディアは素晴らしい。まさに諸刃の剣だ。」
お父様が私の肩に手を置きます。
「スカーレット。」
「はい。」
「殿下を正しい導き、その力を最大限発揮できるよう努めなさい。スカーレットならできると信じている。」
「……分かりました!」
諸刃の剣である才覚、アルフレッド殿下を支えるのは容易ではなさそうです。しかしそれが、私に与えられた約目なのでしょう。お父様のお陰で分かりました。
「でも、どうしても、我慢できなくなったら言いなさい。婚約は解消させる。」
「えぇ。無理はしちゃダメよ。スカーレットの幸せが一番ですもの!」
お父様とお母様は私に微笑みました。王家との婚約解消は問題になる可能性もあるというのに。
「ふふ…ありがとうございます。」
お父様とお母様に愛されている。それだけで私は頑張れそうです。
侯爵邸に帰ると、お父様に呼ばれました。
「お父様、スカーレットです。」
「あぁ、入りなさい。」
「失礼します。」
今日は宰相のお仕事が早く終わったのでしょう、お母様とお茶を嗜まれていました。お母様の好きなダージリンの甘い香りが花をくすぐります。
「今日は第一王子殿下との顔合わせだったのよね?」
「あぁ。で、アルフレッド殿下はどうだったかな?」
「ええと……」
なんと言ったら良いのでしょう。正直に言えば没落をほのめかす非常識な方でしたが、そうは言えません。仮にも婚約者であり、第一王子ですから。
「私の理解が及ばない知識を持たれる方でしたわ。」
私がそう言うと、お父様はため息をつきました。な、何かまずいことを言ってしまったのでしょうか。
「スカーレット、確かにアルフレッド殿下の言動は理解し難いかもしれない。上層部も頭を抱える事もしばしばだ。」
お父様もそう思っていたのですね。意外です。
「しかし時折見せる直感やアイディアは素晴らしい。まさに諸刃の剣だ。」
お父様が私の肩に手を置きます。
「スカーレット。」
「はい。」
「殿下を正しい導き、その力を最大限発揮できるよう努めなさい。スカーレットならできると信じている。」
「……分かりました!」
諸刃の剣である才覚、アルフレッド殿下を支えるのは容易ではなさそうです。しかしそれが、私に与えられた約目なのでしょう。お父様のお陰で分かりました。
「でも、どうしても、我慢できなくなったら言いなさい。婚約は解消させる。」
「えぇ。無理はしちゃダメよ。スカーレットの幸せが一番ですもの!」
お父様とお母様は私に微笑みました。王家との婚約解消は問題になる可能性もあるというのに。
「ふふ…ありがとうございます。」
お父様とお母様に愛されている。それだけで私は頑張れそうです。
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