魔法学院の階級外魔術師

浅葱 繚

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第11章 クラス対抗魔法球技戦編

メンバー選抜

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「それぞれのゲームの出場選手は団体戦の場合は5名で控えの選手が5名だから、合計で30名か…ってことは誰かは2つに出ないといけないってことだね」
ルーシッドが魔法球技のルールが書かれた本を見ながらそう話した。
「えぇ。魔法球技戦は4日間に渡って行われて、勝ち続ければ当然連戦となるわ。疲労のことも考えれば控えの選手も使っていかないと優勝は難しいと思うわ」
それに対して今回のクラス対抗戦の指揮を任されているシアン・ノウブルが答えた。
「そうだね。ルールでは魔法具の使用が許可されてるけど、魔法球技用の魔法具ってのは市販されてるの?」
「そうね。競技用のものが色々と開発されて市販されているわ。プロ選手とかは使ってるけど…学院のクラス対抗戦レベルだとどうかしら…この学院に入る前からの競技経験者とか、ギルドメンバーとかはもしかしたら使ってくるかも?」
「ふぅん。これって自作してもいいのかな?」
「え?
……ルール的には全く問題ないけど、クラス対抗戦のためだけに自作の魔法具を作る人なんて普通いないわよ。
「うん、、ね」
そう言って二人は顔を見合わせて少し笑った。何気にこの2人は息が合っているのかもしれない。



「あら、言ってなかったかしら?」
その日の昼休み。ルーシッドが魔法球技のことをサラに話すと、サラはあっけらかんとしてそう言った。
「まぁ、ルーシィは興味ないだろうと思って言わなかったのかも。前に、試合観戦に誘った時断られたし」
「え、そうだったっけ?」
「えぇ、国別対抗戦とかだと、国賓として伯爵家は招かれたりするから。誘ったけど行かないって言われたわ」
「あー、なんかそんな気もしてきた」
ルーシッドが記憶を思い出しながら話す。
「今更ながらにサリー先輩って伯爵家なんですよね…すご」
フェリカが少し引きつったように笑う。
「まぁでも、この学院じゃそういう肩書とかは関係ないし。普通に接してくれていいのよ。
それにしてもルーシィが参謀役なんて、他のクラスがちょっと可哀相な気もするけど、ルーシィがどんな作戦で来るのか楽しみでもあるわね。競技は何に出るかはもう決めたの?」
「いや、まだだよ。他の選手に関しても目下選考中かな。まぁ選手の余裕もないから、何かにはエントリーするかも知れないけど、まぁ補欠じゃないかな。魔法使えないし」
「でも、こっそり使ってもわかんないんじゃないかな?」
キリエがそう話すと、フランチェスカが反応する。
「ルーシィは入学試験にしろレイとの決闘にしろ、色々目立ってるから、さすがに無理じゃないかしら。学院内の試合じゃなくて、他校との試合の時ならまだしもね」
「でも、魔法球技は魔法具の使用もありだから、魔法具ってことにしちゃえば…」
「まぁバレてルール違反で処分されたりしたらめんどくさいから何とかするよ」


「そういえばこのクラス対抗戦って、全学年同時にやるんだね」
「えぇ、そうよ。空き時間とかに他の学年の試合も見れるわよ。ルーシィのクラスの試合も楽しみだわ~」
「ってことは、サリー達は去年もやってるんだよね。じゃあもう誰が何に出るかは大体決まってるの?」
ルーシッドがそう尋ねると、フランチェスカがまずは答えた。
「そうね。大体は決まってるわ。私は土の魔法が得意だからバトルボールは確定だと思うわ」
「バトルボールは攻撃には土の魔法しか使えませんからね」
ルーシッドがそう答えると、ライカがそれに反応する。
「種目的には私の性に合ってるんだが、私は土の魔法が使えないからね。まぁフラニーがいれば問題ないけどね。去年もゴーレムに乗って暴れまわってたよ」
「ちょ、ちょっとライカっ!」
笑いながら言うライカを恥ずかしそうに制するフランチェスカ。
「じゃあ、ライカ先輩は何に出るんですか?やっぱりエリアボールですか?」
「そうだね。遠距離魔法も得意じゃないからストライクボールも向いてないしね」
「ベル先輩は?」
「私は球技苦手なんだよね。去年も補欠でエントリーしてたけど出場はしなかったよ」

むしろこの人は何が得意なのだろう、と思わず突っ込みたくなってしまう。

「サリーは全種目出たの?」
「いや、さすがにそれは無いわよ。私は逆にどれでもいいから人が足りないところに入るって感じよ。便利屋みたいなものよ」
サラが笑ってそう話した。

「去年はサリー達のクラスが全種目優勝したの?」
「いいえ。優勝はエリアボールの1つだけよ」
「え、そうなんですね?意外です」
ルビアが驚いた反応を見せる。キリエやフェリカも同じような反応だった。
「前も言ったけど、他のクラスも強いのよ。特にやっぱりレイとクレアが強いわ。レイのクラスにストライクボールとバトルボールの2冠を持ってかれたわ」
フランチェスカは悔しそうにそう話した。

契約召喚によって、普通の詠唱より圧倒的に速く魔法を発動できる純色の魔法使い達は、この魔法球技においてもかなりのアドバンテージを持っていた。
特に、いかに相手より早く的に魔法を当てるかを競うストライクボールでは、圧倒的な火力を持つ赤の純色レイチェルが、また、バトルボールでは黄の純色クレアが、その圧倒的な防御力と無詠唱の土の魔法を駆使し、他の追随を許さない圧勝を飾ったのだった。

「でも、今年はそうはいかないわ。全種目優勝を目指すわ!」
息まいて話すフランチェスカを見て、ルーシッドはふと頭に浮かんだことを話した。

「フラニー先輩って、もしかしてクラス委員長ですか?」
「え?えぇ、そうよ。よくわかったわね?あれ、前に言ったっけ?」
「いや、聞いたことはなかったですけど……何となくそんな気がしただけです」

ルーシッドは何となくシアンのことを思い出していた。二人はどことなく雰囲気が似ている気がする。この普段は冷静なのにやたらと勝負ごとになると熱くなるところとかが似ている気がする。なんだろう、委員長気質なんだろうか?
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