魔法学院の階級外魔術師

浅葱 繚

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第7章 魔法学院の授業風景編

授業⑦ チーム演習⑤ ルーシッドの魔法講座その2

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「アン!方法がわかったの?」
後を追ってきたライムが尋ねる。シアンは柱の前で立ち止まって、後ろを振り向いた。
「えぇ、ルーシィのヒントでひらめいたの!ルーシィは最大魔力量マキシマムマナ使用できる量だって言ってたわ!だったら、魔法をすればいいのよ!」
「魔法を分割…ってどういうこと?」
「まず、土の柱を作るのに必要な土を生成する魔法を使うの。ルーシィはさっき、あの柱を作るのに必要な土を作るための触媒は1万くらいって言ってた。ロイだったら、2、3回あれば作れる量だわ。そして、その後でその土を造形して柱を作ればいいんだわ!1回でやろうとするから無理だったのよ!」
シアンが興奮したように言う。
「そっか、それならいけるわ!魔法を生成魔法と造形魔法に分けて詠唱すれば、1回ごとに最大魔力量マキシマムマナを使えるものね!なんでこんな簡単なことに気づかなかったのかしら!」

そうして、シアン達のチームは無事にクリアすることができたのだった。

「素晴らしい発想でしたね。最大魔力量マキシマムマナの不足分を複数詠唱をすることで補いました」
「ありがとうございます。でもルーシッドさんがヒントをくれたお陰です」
リサの誉め言葉に対して、シアンは謙虚にそう言った。


「ルーシィありがとう!あなたのお陰でクリアできたわ!」
「いやいや。私はヒントをあげただけだよ。そこから魔法を分解して詠唱するっていう発想を閃いたのはアンだよ」
「…っていうことはもしかしてあれが唯一の解答じゃないの?」
「そうだね。私が思いつくのはあと2つかな」
「え…あと2つもあるの?」
「1つは魔法を分解するんじゃなくて、造形を工夫する方法だよ。みんなあの柱とか、一般的な階段とか坂道とかを連想するから、大量の土が必要だって思っちゃうけど、例えばこんな風にすれば…」
そういうと、ルーシッドの足元の地面が円形にせりあがる。しかしそれは円柱のような形状ではなく、ちょうど脚が一本だけついたテーブルのような形状だった。
「こんな風な形状に造形すれば、必要な土の量は相当少なくて済むよ。多分10メートルくらい作ってもロイの魔力量なら余裕じゃないかな?」
「うわー…盲点だったなぁ…」
「私も…普段作る『土の壁』は厚みを持たせてるから、あんな風な形状にすることなんて考えもつかなかったわ…」
「ねぇねぇ、もう1つはなぁに?」
ライムがせかすようにルーシッドに尋ねた。
「うん。ちなみになんだけどさ、あの演習用の柱がずっとあの形を維持しているのはどうしてかわかる?」
「え、それはずっと魔力を流してるからなんじゃないの?」
フェリカが何の疑問も持たずにそう答えた。
「違うよ。仮にそれをしようと思ったら、魔法石がいくらあっても足りないよ。土を生成するだけで1万マナ。あのでかさの土の柱をあの形状のまま維持するのに必要な魔力は毎秒100マナくらいかな。1分で6000マナ、1時間で36万マナもかかるよ」
「え、あれ、そんなにかかるの?じゃああれってどうなってるの?」
「あれは『砂の魔法』じゃなくて『石の魔法』で作った柱よ」
ルビアがそう答える。
「そっか、『砂の魔法』の上位魔法『石の魔法』!なるほど!ルーシィの言ってるやり方がわかってきたわ!」
「さすがルビィとアンだね。そう、あれは土属性魔法の中でも、『石の魔法』で作られたいわゆる『石柱』だよ。建築とかにも使われる魔法だね。あの魔法最大の特徴は、別の魔法によって下位の砂とかに作り変えない限り、追加の魔力なしで形状を維持できるってことだね。だから、あれを一度に作れないとしても、一段目を作ってその上に登って、その上に二段目を作って…っていう感じで重ねていけば、同じ高さまで作ることができるよ。まぁ、石の魔法は高位魔法だからお菓子の食材としての魔力が結構かかっちゃうから、あくまで方法の1つだけどね」
「じゃあルビィが石の魔法じゃなくて、普通の砂の魔法で柱を作ったのは魔力が足りないから?」
「そうね、石の魔法は高位魔法だから、食材だけで6000くらい食うから。逆に砂で作る方が一時的なものを作る分には全体的な魔力消費は抑えれるのよ」
「そっかぁ…工夫次第でどうとでもなるんだね~」
「そうそう、魔法は工夫が大事だよ」
「はいはい!質問!『砂の魔法』の上位魔法は『鉄の魔法』じゃないの?」
ライムが手を上げて質問する。
「そうだね。その辺は、魔力の色が山吹色(赤と黄の混色)のロイなら知ってるんじゃないかな?」
「『鉄の魔法』は『土と火の混合魔法』ね」
「あ、そうなんだ?」
「うん。鉄鉱石から金属を取り出したり、金属を精錬して造形するのにも火が必要だからね。だから黄の魔力だけだと、使えないんだよね」
「へぇ~、そうなんだ~!」
「あ、あの!ルーシッドさん!」
ルーシッドが振り向くと、そこにはランダル・カーマインのチームと、ジョン・ブラウンのチームの姿があった。
「僕たちにも力を貸してくれないか?」
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