魔法学院の階級外魔術師

浅葱 繚

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第7章 魔法学院の授業風景編

授業③ チーム演習①

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「いい感じですね。さっそく今日の午後には最初の『チーム演習』があります。午後の鐘が鳴ったら、スポーツウェアに着替えて闘技場に来てください」



午前の授業が終わり、いつものメンバーでお昼ご飯を食べていたルーシッド達。

「あぁ、そうか、ギルド体験週間明けだから、最初のチーム演習か。懐かしいなー」
ライカがそう言って笑う。
「ライカってば、ほんと無茶苦茶だったよね。あたし超ウケたんだけど。今思い出しても…くくくっ」
「えー、チーム演習ってどんなことやるんですかー?気になるんですけど?」
昔のことを思い出して笑うベルベットに食いつくフェリカ。
「チーム演習の内容はやってみてからのお楽しみがいいんじゃないかしら?」
サラは笑いながらがそう言った。

「そういえば思ったんだけど、クラス分けって魔力ランクの均衡を図ってるんだよね?サリーのクラスって、サリーもいるし、フラニー先輩もいるし、なんか強すぎない?バランス悪くない?」
「まぁ、強さのバランスの他にも出身地とか、魔法の得意分野とか色々なバランスで決定してるみたいだしね。それにまぁ確かに私とフラニーはいるけど、クラスの他のメンバーはあとはみんなほとんどCよね?」
「え、そうなんですか?」
ルビアがライカとベルベットの方をちらりと見る。
「あぁ、私もベルも魔力ランクはCだよ」
「意外でした」
ルーシッドが驚いたように言うと、他の3人もうんうんとうなずく。
何せライカはあのゲイリーを圧倒するほどの実力を持っていたのだから。
「私の場合は、アウラを使った体術や剣術もあるから、実際の対人戦や競技ってなると話は別だけど、単純な魔法力で言えば全然だよ」
「私も魔法は普通かな~。まぁ勉強も全然だけど~」
「べ、勉強は私もちょっと苦手かなぁ…」
ベルベットとライカは苦笑いした。
「あなたたちはもう少し勉強を頑張りなさい。いっつもテストぎりぎりになって私たちに泣きついてくるんだから…」
フランチェスカがため息をつく。そんな様子を見てルーシッド達はくすくすと笑った。

「まぁ、それに私たちの世代は異常にレベルが高かったしね?」
「そうね、まず同世代にこんなに純色が揃うってのがありえない偶然ね。しかも完全焼却バーンアウト絶対防御イージスの2人が同い年なんて…反則級の偶然じゃないかしら。レイチェルも私と同じAAAだし、クレアもAAでしょ?あと、ゲイリーとオリガだってどっちもAAだものね。それにもう1人、混色だけどヴァレン・ヴァーミリオンもAAAね」
「えぇ!?サリー先輩も入れれば、AAA以上が4人もいるんですか?」
「そうなのよ。AAA以上が4人も出たのなんて、史上初めてなんじゃないかしら?」
「でしょうね。だから私たちのクラスが異常にレベルが高いってわけでもないのよね」
「クラス対抗戦ではいつも苦戦するしね」
「でも、他校との交流戦ではめっちゃ強いよね~」
「そりゃあ、これだけのメンツが揃ってればね?」
「今年はあなたたちも入ったし、レイチェル達とも上手く連携できそうだし、かなり期待できそうね」
「色んなイベントがあって楽しそうですね!」
キリエが期待で目を輝かせながらそう言った。



午後の授業の鐘が鳴り、皆がスポーツウェアに着替えて闘技場に集まる。先生が来るのを待つ間、口々に演習の内容について噂していた。

「はい、皆さん。全員揃っていますね。では、チーム演習を始めますよ。今、闘技場の地形を変えるので待ってくださいね」

リサが闘技場に設置された魔法具に触れる。すると、魔法具に埋め込まれた魔法石から黄の魔力が魔法回路に流れ、土の造形魔法が作動する。この設備は闘技場の地形を演習や対戦の形式に合わせて変化されるためのものだ。
土の造形魔法が作動すると、直径3メートル、高さが10メートルもあろうかという巨大な土の柱が地面からせり上がってきた。


「最初のチーム演習は、チームでこの塔に登って降りるというものです。もちろんケガ覚悟で人を上に投げ飛ばすとか、上から飛び降りるとかはダメですよ~。ルールはチーム内の力だけで登って降りるということです。チーム外の人の魔法を借りるのはダメですよ」


「魔法以外の力を使ってもいいんですか?」
生徒の1人が手を挙げて先生に質問した。
「構いませんけど…どういうことですか?」
「こういうことですよっ!」
そう言うとその生徒は、柱に向かって走り出した。そして、柱に向かって飛びかかると、そのまま柱を登っていった。
「じ…自力で?」
「まぁ、アウラの力を使ってますけどね」
先生の問いに、別の生徒が答えた。
「ミスズはアウラ体術の使い手なんです。魔法よりはあっちの方が得意なんですよね」

今まさに柱をよじ登っている生徒は、ミスズ・シグレ。ライカと同じクシダラ国出身の魔法使いだ。そして、今喋っているのがソウジ・イズミ。ミスズと同じクシダラ国出身の魔法使いだった。

「ソウジ!見てて!あたしが一番に登りきってやるから!」
「あぁ、見てるよ~。頑張って~」
ソウジがミスズにエールを送る。

2人は親同士が仲が良く小さいころからの付き合いで、いわゆる許婚の関係だ。どちらかと言うと、ソウジはミスズの保護者のような立ち位置だが、そんな2人の関係は良好だ。

「素手で登ってくとか、ミスズ超ワイルド。マジウケる~」
「私にはちょっと真似できないかしらねぇ~」
「ヘティーがよじ登るとか、ありえない」
「さて、私たちも登り方を考えないとねぇ」
ミスズと同じチームのヘンリエッタとオリヴィアがそれを見て笑う。

ヘンリエッタ・オートロープをリーダーとするチームはこのオリヴィア・アライオン、ミスズ・シグレ、ソウジ・イミズの4人だった。


「最初の演習でいきなり魔法を使わないってのもすごいね」
「でも…ライカ先輩が登った方法もあれな気がする」
「……私もそんな気がしてきたわ…」
「うちのクラスにもいたねー…」
ルーシッド達はミスズが登っていくのを見上げながらそうつぶやいた。
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