悪魔の繋ぎ目

喜劇の沙吉比亜

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いつもと変わらない朝日が部屋へ射す。静かな朝に小鳥のさえずりが聞こえる、そんな朝だった。服部は、気分を害しながら起き上がり、ゆっくりと部屋を出ていく。階段降りている途中にあきが部屋から出てくるのが見えた。服部 秋穂 双子の兄妹だ。母親に似たのか物凄く気が強くていつも面倒くさい。いちいち突っかかるところが厄介だ。「ん、おはよ・・・んん!?」秋穂は、裕一郎を見つけると口に手を当てて欠伸をしたと思いきや途端に驚いた表情を浮かべた。
「ん、おはよう。」裕一郎は、一階のリビングに向かいながら適当に返事をする。「な、なんであんたが起きてんの!」    「悪いか」 「い、いや悪くはないけど、どうかしたの」  「別に」  ここまでの間のやり取りは一瞬にして行われた。裕一郎は、後ろから刺される視線を無視してリビングへと向かう。ソファーに深く座り込み、しばらく黙り込んでいた。確かに、今日は気持ちのいい朝だけど気味が悪いな。いつもなら誰かに起こしてもらわないと起きれないのに・・・。今日は、なんかあったっけ・・・、いやもしかしたら昨日何かあったのかな。・・・わからないや。  裕一郎は、考え込んでいた。しばらくして、キッチンから電子レンジの音が聞こえてくる。「兄さん、できたよー」その声で気づきテーブルへ向かう。 「ん、ありがとう。」冷凍庫にあった電子レンジで作るカルボナーラだ。安くて美味しい、非の打ちどころがない食べ物だ。裕一郎がフォークで麺を巻き付けながら言った。「母さんが、帰ってくるのっていつだっけ?」秋穂が言った。「来週でしょ!もう、しっかりしてよね。私はあんたのお母さんじゃないんだからね。」 「はいはい」裕一郎は、何気なく答えた。フォークで食べる時に手のひらに数字の8が大きく書いてあるのを見つけ、少し戸惑った。(何だろうこれ)「まったく、本当に聞いてるのやら。大丈夫かなぁ。」秋穂は呆れ顔で言ったのだった。学校へ行く時間だ。二人は制服に着替え登校する準備を整えた。秋穂はリビングで堂々と着替えるもんだからいつも目の行き場に困っている。「おい、自分の部屋で着替えろよ。」裕一郎は、少し声が小さくなっているのを何とかごまかしながら言う裕一郎の目は下を向いていた。「えー、なんで?恥ずかしいの?」秋穂は裕一郎が恥ずかしがっているのを知りながら、からかうように言った。「い、いいからあっち行け。」服部兄弟は、同じ学校へ通っている。まだ入学してから一か月も経っていないが、学校生活も慣れつつあった。慣れていないことと言えば、秋穂と一緒に登校していると周りの生徒に誤解された目でみられることだ。誤解されたまま納得されるのは気分の良いものではない。とまあここまで考えて服部はいつもしょうがない、と抑えている。一方、秋穂と言えば裕一郎よりも愛想がいいのか友人に恵まれている、いわゆる人気者だ。それもあってか、秋穂の友人から勘違いされるばかり。更には秋穂の奴面白がって「え!?秋穂ちゃん付き合ってるの!?」と言う迷惑な秋穂の友人に対してさり気なく「うん」とか言いやがる。本当に面倒くさい奴だ。その後は決まって裕一郎がやっけになって否定するのが一連の流れであった。
 
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