上 下
352 / 424
第11章 探索者、オンステージ!

閑話 研究者の過去 その9 ~受け入れろ~

しおりを挟む
 そして私は叔母さんの家から大学に通うようになった。
 世界の研究の参考にするために、色んな授業を取った。
 ……だけど、どれも私が求めているものではなかった、一応単位は取ったけど。
サークルにも入らず、世界の研究をしたいと言っている私に近づくものなど、この大学にはいなかった。

 周りが飲みサーやらテニサーやらで一喜一憂している中、私は図書館に入り浸り、世界の研究を続けた。
 ついでに家に良い顔を見せないといけなかったので、教師免許を取るために教育実習をしたり、憲法の勉強やら試験の勉強やらもした。
気が付くと、私は卒業式で卒業生代表を務めるくらいには優秀な成績を収めることができた。

 ……で、案の定母親に「早く学校の経営を手伝え」とかなんとか言われたけど、私はそれに反抗して、大学院に進んだ。

 これで研究三昧だ……と思っていたんだけど、教授や他のゼミ生からは白い目で見られ、私のテンションはダダ下がりだった……あの日までは。

 そう、あの地震のおかげで私の研究が正しい事が証明されたし、同時にリン、ラピス、ゴルド、キセノン……他にも、ダイヤさんやアリスさん、色んな異世界の人とも出会うことができた。

 まさに最高……だったのに。

『ええ、もう貴方もいい年齢です、そろそろ一家の一員として、『学校の運営』に携わりなさい』

 ……あの女は、どんな時も私を妨害してくる。
 意味が分からない、何故私を妨害する、何故だ?

「ねぇ……どうして、どうして私の邪魔をするの!?」

 私は暗闇に向かって叫んだ。
 ……答えは返ってこない、ただ暗闇の中に響いていくだけだった。

「ねぇ……なんで……なんでよ……」

 私は訳が分からず、その場に座り込んだ。
 すると……何かが、私の肩に触れたような気がした。

「……そうだ、憎いよな?」
「……誰?」
「あの女は……『オレたち』の敵だ」
「……敵?」
「あぁ……あいつはオレたちを妨害して、絶望の淵に叩きこむ気なんだ、悪い奴だ……殺してしまおう」
「そんな……」

 殺すなんて……そんなこと……。

「大丈夫……オレを使え……」
「貴方……誰?」

 頭を上げると……「褐色肌の少女」が立っていた。

「オレを使うんだ……瑠璃」
「貴方……なんで……私の名前を?」
「知っていて当然だ……オレは……『お前だ』同時にお前は……『オレでもある』」
「何言ってるの? こ、来ないで!!」

 何か知らないけど。この女の子は危ない、そう思って私は離れた。

「逃げなくてもいい……オレを受け入れろよ」
「嫌だ……」
「憎いんだろう? だったら……オレを受け入れるんだ」
「嫌だ……嫌だあああああああ!!」

 私は少女から逃げ出した。

「逃げるな……オレを受け入れろ!! そして……一緒にすべてを破壊しよう!!」
「来ないで!!」
「受け入れろ! 受け入れるんだ!!」

 私は暗闇の中で……少女から逃げ惑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

絶対零度女学園

ミカ塚原
ファンタジー
 私立ガドリエル女学園で起こった、謎の女生徒凍結事件。原因不明の事件を発端として、学園を絶対零度の闇が覆い尽くす。時間さえも凍結したかのような極寒の世界を、正体不明の魔がうごめき始めた。ただ一人闇に立ち向かうのは、病に冒され夢を挫かれた少女。この世に火を投じるため、百合香は剣を取って巨大な氷の城に乗り込む。 ◆先に投稿した「メイズラントヤード魔法捜査課」という作品とは異なる方向性の、現代が舞台のローファンタジーです。キービジュアルは作者本人によるものです。小説を書き始めたのは今年(2022年)が初めてなので、稚拙な文章は暖かい目で読んでくださると幸いです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

『ラズーン』第二部

segakiyui
ファンタジー
謎を秘めた美貌の付き人アシャとともに、統合府ラズーンへのユーノの旅は続く。様々な国、様々な生き物に出逢ううち、少しずつ気持ちが開いていくのだが、アシャへの揺れる恋心は行き場をなくしたまま。一方アシャも見る見るユーノに引き寄せられていく自分に戸惑う。

異世界転移したロボ娘が、バッテリーが尽きるまでの一ヶ月で世界を救っちゃう物語

京衛武百十
ファンタジー
<メイトギア>と呼ばれる人型ホームヘルパーロボット<タリアP55SI>は、旧式化したことでオーナーが最新の後継機に買い換えたため、データのすべてを新しい機体に引継ぎ、役目を終え、再資源化を迎えるだけになっていた。 なのに、彼女が次に起動した時にいたのは、まったく記憶にない中世ヨーロッパを思わせる世界だった。 要人警護にも使われるタリアP55SIは、その世界において、ありとあらゆるものを凌駕するスーパーパワーの持ち主。<魔法>と呼ばれる超常の力さえ、それが発動する前に動けて、生物には非常に強力な影響を与えるスタンすらロボットであるがゆえに効果がなく、彼女の前にはただ面倒臭いだけの大道芸に過ぎなかった。 <ロボット>というものを知らないその世界の人々は彼女を<救世主>を崇め、自分達を脅かす<魔物の王>の討伐を願うのであった。

処理中です...