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第10章 営・業・再・開

第236話 苦しみからの解放

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 慧ちゃんはかなり焦った様子で、今にも泣きそうになっていた。

「お、落ち着いてみどりちゃん!!」
「そ、そうだよ!! 落ち着いて!!」

 翡翠ちゃんと碧ちゃんは、慧ちゃんの体を支え、落ち着かせた。
 こんな感じにされると、なんか申し訳ない気持ちになる……。

「え、えええええ、えーっとね! と、とととと、とにかく! これは悪い意味ってだけじゃなくて! い、良い意味で終わる可能性もあるからね! 別に何かが終わるっていうのはこの占いの結果だけじゃわからないわけで……」
「わ、わかった! つまり終わるっていうのは私たちの関係って決まったわけじゃないってことだね! そういうことでしょ?」
「そ、そそそそそそ、そう! そうだよ!!」

 私が要約すると、慧ちゃんは肯定するように首を縦に振った。

「で、でででででで、でね! この補足のカードなんだけど……これは悪魔の逆位置で!」
「あ、悪魔!? そ、それってバリ悪い意味じゃ……」
「い、いいいいいい、いや! これはいい意味! いい意味なの!!」
「どういうこと?」

 リンの言う通り、悪魔って言うと、悪い意味に聞こえるけど……。

「た、たたたた、確かに正位置だと、『精神的、肉体的苦痛』って意味なんだけど、逆位置だと……『苦しみからの解放』って意味になるの!!」
「苦しみから……」
「……解放かいな?」
「そそそそそ、そう! つ、つまり……突然の終わりが来るんだけど……それは同時に苦しみから解放されて……えーっと……」

 慧ちゃんはテンパっているのか、要約に手間取っていた。
 ……ここはもう一回助け舟を出すか。

「つまり、今最高に幸福な状態なんだけど、突然の終わり……大きな変化が起きて、でもそれは悪い意味じゃなくて、苦難を乗り越えられる……とか、そういう意味であってる?」
「そ、そそそそそそそ、そう!」

 慧ちゃんはまたも、ヘドバンをするように大きく頷いた。
 大きな変化かぁ……どんなことが起きるんだろう?

「うーん……バリ悪い意味じゃなさそうだけど……」
「突然の変化……なんか悪い意味やと決まっとるわけやないのに、不安やな」

 リンとラピスの言い分はもっともだ。
 たとえいい意味だとしても、何かが変わるというのは、不安になるものだ。
 ちょうど、道端や公園で放浪しているサンルート人みたいに、環境が変わりすぎて不安のあまり何もできないでいるように。
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