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第7章 吸血鬼、日々鍛えてますから!
第170話 空手の構えと目覚めたキス魔
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「へぇー、じゃあ、土手でランニングしてたら、碧ちゃんと会ったわけね」
「うん……碧ちゃん……ここ数日……土手で座り込んでた」
「え?」
土手に座り込んでた? どういうこと?
「どういうこと? 碧ちゃん」
「うーんとね、アタシ……」
……私は碧ちゃんから、ここのところ試合に負け続きで自信を無くしたこと、そんな時にキセノンと出会って、空手の面白さを再び思い出したことを語ってくれた。
「そっか、キセノンのおかげなんだね」
「うん! ノン姉ちゃんのおかげ! ありがとう!」
「ちょ……ちょっと……恥ずかしい……かも……」
キセノンは恥ずかしいのか、手で顔を覆い、下を向いた。
……鎧を身に纏っているので顔は見えないが、恐らくあの下は真っ赤であろう。
「ノンノンすごーい!」
「偉いで、キセノンはん」
「むぅ……2人とも……やめてよ……」
リンとラピスはキセノンを称えるように彼女の頭を撫でた。
なんだろう、恥ずかしがってるキセノン、かわいいな。
「キセノン、さっきの空手の動き、とてもよかったよ」
「ちょっと……瑠璃ちゃん……瑠璃ちゃんに褒められると……」
「ん?」
私に褒められると……何?
「おい、みんな。あそこが最奥だぜ」
ゴルドは目の前を指差し、そんなことを言う。
……本当だ、目の前の巨大な岩、そこに魔石が埋め込まれていた。
「わぁー綺麗……ノン姉ちゃん、アレ何?
「アレは……このダンジョンの……源……みたいなもの」
「へぇー」
「……私が……破壊する」
キセノンは碧ちゃんにここにいるように伝え、構えを取った。
これも……空手のポーズだろうか?
「……行くよ」
キセノンはそのまま魔石に近づき、回し蹴りをして、それを破壊した。
いや、空手でやる必要あった? まぁいいけど。
「どう……瑠璃ちゃん……かっこよかった?」
魔石を破壊した後、キセノンは変身を解除し、1秒も待たずにこちらに飛んできて……ほぼゼロ距離まで近づいてきた。
え……どうしたの突然? まさか……私がさっきキセノンの空手の動きを褒めたからついやりたくなったの?
キセノンは赤い瞳を輝かせ、私の回答を待っているようだった。
私もつい変身を解除してしまい、それとなく感想を述べた。
「うん……まぁ……かっこよかったよ、キセノン」
「……ほんと?」
「う、うん……ってちょっと……」
キセノンは笑みを浮かべ、私を思いきり抱き締めた。
え? 何この子? そんなに嬉しい?
ってあれ? なんでリンとラピスとゴルドは向こう向いてるの?
「瑠璃ちゃんに……褒められると……気持ちが……ぽかぽかする……」
「そ、そうなんだ……」
わ、私の褒められると……ぽかぽか? なんで?
「瑠璃ちゃん……」
「き、キセノンさん? どうしたのですか?」
顔を近づけてくるキセノンに対し、私は思わず敬語で聞いてしまった。
そのままキセノンは……私の唇と自分の唇を繋げてきた!?
な、なにいきなり!? キセノンもキス魔に目覚めたの!?
「るり姉ちゃん……ノン姉ちゃん……なにやってんの?」
碧ちゃんは口を重ね合う私たちを見て、何とも言えない表情で見てきた。
うん、そりゃこういう反応にもなるよね。
「いや、えっとね、碧ちゃん……」
私がそれとなく言い訳をしようとした……その時、私たちの周りを光が覆った。
「え? なにこれ!?」
「落ち着いて……碧ちゃん……元の……土手に……戻るよ」
「ノン姉ちゃん! 本当?」
「うん……」
キセノンは碧ちゃんを守るように抱きしめていた。
そして気が付くと……光で周りが見えなくなった。
「うん……碧ちゃん……ここ数日……土手で座り込んでた」
「え?」
土手に座り込んでた? どういうこと?
「どういうこと? 碧ちゃん」
「うーんとね、アタシ……」
……私は碧ちゃんから、ここのところ試合に負け続きで自信を無くしたこと、そんな時にキセノンと出会って、空手の面白さを再び思い出したことを語ってくれた。
「そっか、キセノンのおかげなんだね」
「うん! ノン姉ちゃんのおかげ! ありがとう!」
「ちょ……ちょっと……恥ずかしい……かも……」
キセノンは恥ずかしいのか、手で顔を覆い、下を向いた。
……鎧を身に纏っているので顔は見えないが、恐らくあの下は真っ赤であろう。
「ノンノンすごーい!」
「偉いで、キセノンはん」
「むぅ……2人とも……やめてよ……」
リンとラピスはキセノンを称えるように彼女の頭を撫でた。
なんだろう、恥ずかしがってるキセノン、かわいいな。
「キセノン、さっきの空手の動き、とてもよかったよ」
「ちょっと……瑠璃ちゃん……瑠璃ちゃんに褒められると……」
「ん?」
私に褒められると……何?
「おい、みんな。あそこが最奥だぜ」
ゴルドは目の前を指差し、そんなことを言う。
……本当だ、目の前の巨大な岩、そこに魔石が埋め込まれていた。
「わぁー綺麗……ノン姉ちゃん、アレ何?
「アレは……このダンジョンの……源……みたいなもの」
「へぇー」
「……私が……破壊する」
キセノンは碧ちゃんにここにいるように伝え、構えを取った。
これも……空手のポーズだろうか?
「……行くよ」
キセノンはそのまま魔石に近づき、回し蹴りをして、それを破壊した。
いや、空手でやる必要あった? まぁいいけど。
「どう……瑠璃ちゃん……かっこよかった?」
魔石を破壊した後、キセノンは変身を解除し、1秒も待たずにこちらに飛んできて……ほぼゼロ距離まで近づいてきた。
え……どうしたの突然? まさか……私がさっきキセノンの空手の動きを褒めたからついやりたくなったの?
キセノンは赤い瞳を輝かせ、私の回答を待っているようだった。
私もつい変身を解除してしまい、それとなく感想を述べた。
「うん……まぁ……かっこよかったよ、キセノン」
「……ほんと?」
「う、うん……ってちょっと……」
キセノンは笑みを浮かべ、私を思いきり抱き締めた。
え? 何この子? そんなに嬉しい?
ってあれ? なんでリンとラピスとゴルドは向こう向いてるの?
「瑠璃ちゃんに……褒められると……気持ちが……ぽかぽかする……」
「そ、そうなんだ……」
わ、私の褒められると……ぽかぽか? なんで?
「瑠璃ちゃん……」
「き、キセノンさん? どうしたのですか?」
顔を近づけてくるキセノンに対し、私は思わず敬語で聞いてしまった。
そのままキセノンは……私の唇と自分の唇を繋げてきた!?
な、なにいきなり!? キセノンもキス魔に目覚めたの!?
「るり姉ちゃん……ノン姉ちゃん……なにやってんの?」
碧ちゃんは口を重ね合う私たちを見て、何とも言えない表情で見てきた。
うん、そりゃこういう反応にもなるよね。
「いや、えっとね、碧ちゃん……」
私がそれとなく言い訳をしようとした……その時、私たちの周りを光が覆った。
「え? なにこれ!?」
「落ち着いて……碧ちゃん……元の……土手に……戻るよ」
「ノン姉ちゃん! 本当?」
「うん……」
キセノンは碧ちゃんを守るように抱きしめていた。
そして気が付くと……光で周りが見えなくなった。
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