現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた

第７章 吸血鬼、日々鍛えてますから！

第159話 もし、迫害されている立場だったら

「最近、ここ日本でもダンジョンが出現しているのは知っていますよね？」
「まぁ、そんな話はよく聞くねぇ……」
「……それの対応しているのは、ほとんどサンルートの人なんですよ」
「……ほう」

　そうだ、ラピスやゴルド、外国人だけどリンやキセノン、地震の後に私を助けてくれた猫獣人、そして……アリスさん。
　他にも、ダンジョン探索をしている多くのサンルートの人。
　彼らのおかげでダンジョンの被害は最小限に抑えられている……と、私は考えている。

「しかし、そういう人がいたとしても……我が同胞は現在、日本人から白い目で見られておる……恐らく、ダンジョン探索をしている者も同じような目で見られているであろう……どうすればよいのであろうかえ？」
「うーん……そうですね」

　見知らぬ老人からの難しい質問、思わず回答に戸惑う。
　そうだなぁ……私がもし、サンルート人と同じ立場だったら？　もし、迫害されている立場の人間だったら？
　ほとんどの人から白い目で見られ、寝るか盗みを働くぐらいしかやることが無い……そんな状況を打破するには……。

「そうですね……私が彼らの立場だったら、とりあえず、日本人たちに優しくしたいですね」

　……私は数分考え、そんな考えを口にした。

「……と言うと？　どういうことかえ？」
「今のサンルート人は、日本の人たちからは白い目で見られている……なら、日本人のために働いていれば……いつか、認めてもらえるんじゃないかと思います」
「……なるほどねぇ」

　そうだ、例えばアルメニア系アメリカ人や多くのユダヤ人。
　彼らは迫害を受けたが、先人たちが認めてもらえるように商売などで成功を収め、今や世界的に認められている。
　それと同じように、サンルート人も認めてもらえるように行動すれば、白い目で見られることも無くなるであろう……そう考えた。

「……なら、私も一肌脱がなきゃねぇ」
「……え？」

　一肌脱ぐ？　この人が？
　このご老人……随分タフだな……っと、もうすぐ香田公園だ。
　香田公園には、遠目で見ても、サンルート人が多くいた。