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治療とその後に Xーrated
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フォルテは治療のために医務室へと足を踏み入れた。中で眠るピアニーを起こさぬよう気付かれぬように音を立てずに忍び寄る。音と気配を消す技はフォルテにとって容易いこと。家の都合で幼少期に猫舌を克服するよりも先に習得済み。
城主にも関わらず、従者の前にも関わらず、彼は堂々と立ち合おうとしなかった。
理由は治療のためだ。治療を確実なものとするため。薬師仙人である純陽の助言に忠実に従っている。
(お前を驚かせることになるが許せ、ピアニー。全部お前の身体を元に戻すためなんだ)
問題なく、ベッドの側まで接近する。
(わかってはいたが隙だらけだな……惰眠を貪る猫のほうがまだ注意深い)
静かに寝息を立てるピアニーの寝顔を見る。衣服はルーシーが眠っている間に整えられている。しかし顔つきはゆるく、口元からわずかに涎が垂れている。あまりの呑気さに多少の罪悪感を覚える。
(今はゆっくりと休めているが目覚めたら呪いが始まる……俺が……俺がやらなくちゃいけないんだ……)
決心を改め、下準備を始めた。
******
治療に取り掛かる前に純陽から借りた拝撫令思恩が正常に動作するか試す。
使い方は至って簡単。マナを込めれば振動するだけのシンプルな道具だ。
フォルテは魔法学校に籍を置いている。貴族の立場や体質といった理由で通信教育ばかりとなっているがマナのコントロールのような初歩的な技術は問題なく行えるのだが、
(まずは少しだけマナを込めて……)
問題が発生する。
ヴィイイイイイン!
フォルテの感覚で少しだけのマナを込めた拝撫令思恩が激しく振動する。
「これだけのマナでこんなに動くのかよ!」
純陽の言葉を思い出す。拝撫令思恩は魔法の素人でも扱えるようになっている。だから下手な人間に合わせて設計されている。
不意な事故はミスを引き起こす。拝撫令思恩の予想を上回る振動は事故だったがそのせいでフォルテは声を発してしまった。これは紛れもなくフォルテのミスだった。
「……ん……ぼっちゃま……?」
拝撫令思恩の暴走よりもフォルテの声でピアニーは目覚めてしまう。
「しまった! 穏便に済ませるつもりが……!」
「やっぱりぼっちゃまでしたね……う、あう、ううう! また身体が……」
覚醒と共に呪いが発動し、ピアニーの身体が疼き始める。
「だ、だめ、ぼっちゃまの前であんな、ことは……」
本人の意思とは真逆に腕が性感帯へと動こうとする。動こうとするが指は絶対に性感帯へと届かない。
「あ、あれ、手が……縛られてる?」
両手がロープで縛られていた。動かそうにも頭上で固定されていた。
「どうして、これは、どうなって……」
「落ち着け、ピアニー」
混乱する従者を主人は冷静に宥める。
プランAは破綻した。プランBへと移行する。
「ピアニー、いいか、落ち着いてよく聞け」
「そんな落ち着くなんて……今の私には……」
身体は刺激を渇望する。すでに呪いの効果は回り始め、すでに太ももを擦り合わせてでも絶頂へと昇ろうとしている。
「とにかく信じろ。すべて俺に委ねろ」
仰向けのピアニーの身体をひっくり返し、下半身の衣服を剥がしていく。
「ぼっちゃま、何を……っ!?」
抵抗しようとする身体が固まる。尻に冷たい、味わったことのないヌメリとした感触。
「ローションイモを溶かして作ったローションだ」
「それよりも! 私の後ろで甲高くなっている音はなんですか!?」
「音楽家なだけに音には人一倍敏感だな。これは拝撫令思恩だ。お前の身体を治す薬みたいなものだ」
フォルテはローションを塗り込んだ拝撫令思恩を尻に這わせる。
「ん……っ」
ふくよかな尻が汗とは違うテカリで包み込まれていく。
「はあ……ああ……」
振動音は次第にねちりねちりというローションがまじりあう音に飲み込まれていく。
(まずはピアニーの緊張をほぐすためにも振動に慣れさせる……)
純陽の助言を思い出す。
『まずは尻に這わせろ』
『そこから先は……自分で考えろ』
助言と呼ぶにはあまりに説明不足。
どんな効果があるかわからないが律儀にも尻に這わせ続ける。振動に怯えぬよう極力抑える。これはフォルテの心配り。未知の道具への恐怖を和らげるための配慮だった。
治療のつもりだった。呪いを消す経験はフォルテにはなかった。失敗は許されない。寄り道や遊びの類は一切封印し、ピアニーの身体を治癒することが最優先であり唯一の目的。
艶めかしい肢体、息遣いに声。男の部分が反応しないはずがない。だが治癒のために見て見ぬふりをする。
全てはピアニーのため。そう思っていた。
だがその断固たる決意は誰でもない治癒させようとしているピアニーの一言であっけなく消し飛んでしまう。
「ぼっちゃま……」
「どうした、ピアニー。どこか身体が」
「じ……ないで」
か細い声だった。おまけにベッドに伏せながらのために届かない。
「え、なんだって?」
フォルテは耳を近づける。
ピアニーは耳まで赤くして嘆願する。
「焦らさ……ないで……」
ぷつりと糸が切れる。
同時にスイッチが入る。
「……へえ」
横一文字に閉じていた口が湾曲する。
一瞬で純陽が何を伝えたかったのかを理解した。
彼女はこうなることを見越してああ伝えたのだろう。仙人には千里眼があるのかもしれない。
「ピアニー……主人である俺は従者のお前のためにと思って治療しようとしてたんだぜ……下心一切なしでさ」
拝撫令思恩の振動が強まっていく。ローションと絡まりながら尻の肉を震わせる。
「あぁっ……」
肌の上で快感が生まれる。未知の快感に声が出る。
「なのにお前ときたら、主人を差し置いて気持ちよくよがりやがってよ」
「そ、そんなよがってはんんん!?」
拝撫令思恩は振動そのままに秘部の割れ目に。竿の部分で割れ目の表面を擦る。
「よがって、よがってなんてぇ……」
身体をくねらせて震わせている。気持ちよくてしょうがないと見ればわかる。
「身体が変なんです……倒れてから、ずっと……」
呪いの影響で感度は高くなっている。
ピアニーは知らない。フォルテは純陽から聞かされていたがあえて伏せる。
「音に敏感だったよな? この音がわかるか?」
割れ目に当てたままで拝撫令思恩を振動させるとねちりねちりと音が立つ。
「そんなに気持ちよかったのか? もうこんなに濡らして」
「ちがいます、ちがいます、それはローション、ローションですから」
真実は定かではない。だが否定もしきれない。いやいやと首を振るしかできない。
「へえ、じゃあ全然別に気持ちよくないと。さっきの焦らさないでは誤解だと」
フォルテは拝撫令思恩の振動を止めて、割れ目からも離す。
「……あ」
つい漏らした切なそうに惜しむ声。
フォルテは些細な言葉も聞き逃さない。
「……やっぱり欲しいのか?」
「それは…………その…………」
「俺は貴族で紳士だ。女性が嫌がることはしない主義を通している」
「……もう、ぼっちゃまは、いじわるです……」
ピアニーは膝を立てて尻を突き出す。
「…………入れて、ください」
てかてかと光る性器を晒す。恥ずかしがり屋の彼女とは思えぬ大胆な行い。呪いがかかっているからか、それとも。
「しょうがないなあ」
フォルテは拝撫令思恩を再度動かし穴にあてがう。
「ぼ、ぼっちゃま!? そこは!?」
「んー、どうした?」
にやにやと笑う。慌てふためく姿に加虐心がたまらなく震える。
「そっちの穴は違います! そっちは入れる穴ではありません!」
尻肉の谷に埋まる穴にわざと当てていた。案の定ひどく戸惑っている。
「そうかー? すごーく入れてほしそうだぞ?」
「違うんです、入れてほしいのは……そっちじゃないんです」
「それじゃあどこに入れてほしいんだ? はっきりと言えよ」
「それは……私の……私の……」
ピアニーはシーツに顔をうずめる。
「……そこから、もう少し下の位置です」
羞恥を捨てきれず直接的な名称を避ける。
「……まあ及第点だな。入れてやるから、穴まで誘導しろ」
「私が、誘導するんですか? ぼっちゃまならわかるはずじゃあ」
「いいや、わからないね。自分のと棒とじゃ要領が違う」
屁理屈で説き伏せる。あくまでピアニーに言わせるつもりだ。
そしてピアニーはどんな理不尽にも従うことしかできない。
「今のところから……少し左です」
「こうか?」
「はい……そこから徐々に下へ……んんっ」
位置をずらす間も拝撫令思恩は震え、快感を生み出している。
「そこで、止まってください」
「ここか?」
「んん、ああっ」
返事を忘れて喘ぐ。
嘘偽りなく入口へと誘う。入り口なだけに敏感。僅かな振動でも快楽に陥る。
「ここなんだな?」
敏感であることを見抜いたフォルテは振動を強くする。
「あ、あ、ぼっちゃ、ま、あ、んっん」
走る快感に呼吸が間に合わなくなる。
「ピアニー、今からこんなんで大丈夫か? これが入ったらどうなるんだろうな?」
「入ったら……ですか?」
へそのあたりが疼く。左右対称の紋様が濃く光り出す。
心臓が高鳴る。恐怖からではない。一抹の不安はなくもないが、それよりもはるかに期待が上回っていた。
「入れていいんだな? あくまでお前の意思を尊重する」
怪しく蠢く謎の物体。聖域に異物の侵入を許すことになる。
「……」
ピアニーは小さく頷いた。
間を空けずにフォルテは拝撫令思恩をぶち込んだ。
「んんんっく! あああああ!」
ピアニーは震えた声を上げた。予想をはるかに上回る快楽が走る。
「まだまだ序の口の、浅いところだぞ」
ほんの少しで力で擦ったり回転を加える。
「はああ! んんくうう、くううう!」
ピアニーは歯を食いしばる。身体の一部で受け取る刺激が全身に広まる。
マナを込めて拝撫令思恩が振動させる。
「ぼっちゃま……! ぼっちゃま……! これ、これええ……!」
加減してあるのにピアニーは悶え苦しむ。縛っていなければベッドから転がり落ちていただろう。
「ピアニー、まだこれからなんだぞ。感じるところを教えるんだ」
「そんな、そんな恥ずかしいこと……!」
呪われてなお、ピアニーには理性が残っていた。外面ならまだしも内面まで欲望を曝け出すことに羞恥を抱いていた。
「だめです、やっぱり、恥ずかしい……」
呪いに蝕まれてなお、乙女心は健在。
しかしフォルテはここでとっておきを見せる。
「ピアニー、これは必要なことなんだ。お前の身体を治すために必要なことなんだ」
「……必要なこと?」
「ああ、そうだ。呪いを解くために必要なこと」
「……必要なこと、であれば……」
言葉巧みにピアニーを誘導する。
「いい子だ……」
頭は遠く届かないので代わりに尻を撫でる。
「さあ、どうする? どこがいいんだ?」
「……さっきの」
「ん?」
「……さっきの、入り口でぐりぐり、されるのが……」
「入り口をぐりぐりされたいんだな?」
「輪唱しない、で……あああ!」
言われた通りに入り口を丹念にぐりぐりと擦る。
「あ、そこっ……ぐりぐりって、ぐりぐりって……!」
乱暴な挿入なのに快感が身体中を走っていく。振動が身体中に伝わっているように震える。
自分の拙い指でしか快楽を生み出せずにいたからか、強引な刺激を心のどこかで欲しがっていたのかもしれない。
愛液が滴る。フォルテの手を包み込むほどに。
「気持ちいいか? 自分の指じゃ届かないところだもんな」
「はい! すごく、すごく! って、ぼっちゃま、どうして、それを!?」
フォルテは唐突に真実をばらす。
「ご主人様だからな、お前のことは何でも知ってるぞ。俺の名前を呼んでいたこともな」
「違います違います! 私はそんなはしたない女では」
「棒を咥えて喘いでる女が何を言うか!」
マナを込めて拝撫令思恩を震わせる。
「……っ!」
尻が上下させ、立てた太ももをふるりふるりと震わせる。
「さあ、次はどうする? どうして欲しいのか、おねだりをするんだ」
「わ、私は……私は……」
ピアニーの顔に羞恥が鮮明に浮き出るが快楽も隠しきれていない。
「もっと、もっと、奥に……ぼっちゃまの手で……いかせて……ください」
「よく言った。お望み通りに奥まで可愛がってやる」
拝撫令思恩を震わせたまま奥へ突き進む。振動が膣内をかき乱す。一つ一つの揺れが高みへと引き上げていく。
「ぼっちゃま、ぼっちゃま、わたし、わたしぃ……!」
「いい。存分に絶頂しろ」
「見知らぬ棒ではしたなくイク私をお許しください」
刹那、ピアニーの身体がぶるりと震えたかと思うと震えは一瞬で静まる。
「あ、ああ……」
脱力し立てていた太ももはふにゃりと崩れていく。
「はあ……はあ……はあ……」
肩で息をする。口の端によだれの感触があるが余韻が邪魔して拭き取れずにいる。
「ふぅ……」
フォルテは拝撫令思恩を引き抜く。栓を開けたように中から愛液がこぼれる。
光っていたヘソの紋章も消え失せていた。
「ピアニーの身体の調子はどうだ……?」
「どうと……言われましても……」
「うん、質問が曖昧だったな。ちょっと質問を変えよう。すっきりしたか?」
「すっきり、ですか!?」
ピアニーは今更ながらシーツをかき寄せて自分の身体を隠す。
「……それは……その…………はい」
こくりと頷いた。
******
「落ち着いたか?」
フォルテとピアニーは同じベッドに座っていた。
回復の経過を確かめるために治療を終えても離れはしない。
もっとも回復を確認したとしても心情的に離れたくない。
「はい、おかげさまで。ずっと跳ね返りが悪かった鍵盤が治ったかのようです」
ピアニーは胸に手を当てる。走り続けていた鼓動のリズムは落ち着きを取り戻していた。
「本当だな? お前のことだ、俺に気を遣わせないために嘘でも元気と言いそうなんだよな」
フォルテは胡坐をかき、膝上で肘を立てる。
「本当です! これが嘘を言ってる目に見えますか?」
じっと目に力を込める。
「いや、そう言われても嘘を見抜く魔法を準備してないんだが……まあでも今みたいな突拍子もないこと言うってのは元気の証拠だな。わかった、信じるよ」
フォルテは優しく微笑みかけた。
ピアニーはその笑顔を見て、ちくりと胸が痛む。その理由をすぐに打ち明ける。
「すみません、ぼっちゃま……またご迷惑をおかけしてしまい……」
「いや、俺のほうが悪かった。俺が未熟なばかりにお前を危険な目にあわせてしまった」
今回は幸運に助けられた。もしも仙人が訪れていなかったらと思うとぞっとしない。フォルテは責任を重く感じる。
「いいえ、いいえ! 私が、私が悪いのです! 私が軽率に、本を開いてしまったから」
「そういえば、何の本を開いたんだ? お前には呪い耐性があった。よっぽどお前が興味をそそられ、読みたいと思わなければ呪いにかからないはずなんだが。音楽が上手くなる教本とかか?」
「えっと……はい……その通りです」
あからさまに目が泳ぐ。
「嘘だな」
「な、なんでわかるんですか!?」
「俺じゃなくてもわかる。初対面の人間だって一目で見破れるわ」
フォルテはピアニーに詰め寄る。
「なんだ、何の本を読んだ。主人命令だ、正直に答えろ」
ピアニーの手を掴み、逃がさんとする。
窮鼠猫を嚙むというが彼女は早々に観念し、噓偽りなく告白する。その本の題名とは、
「……ふ、ふうふえんまんのほんです」
「ふふうふえんまんのほん?」
聞き覚えのない言葉。マイナーな呪文かと疑う。
ピアニーは顔を真っ赤にして言い直す。
「夫婦、円満の本です! もっとぼっちゃまと距離を縮められるように読みたかったのです!」
「……は?」
ぽかんとするフォルテ。全身から力が抜ける。
ピアニーは自由になった手で顔を覆い隠す。真っ赤になった耳は隠せない。
「く……くはっ」
フォルテは腹を抱えて笑う。
「ははははは!! なんだよ、それ!! なんでそんな本がうちの蔵書にあるんだよ! それでそれをお前が読むのかよ!!! はははは!! ははははは! ははははははは!」
「笑いすぎです、ぼっちゃま!」
「いやぁ悪い悪い。あまりにも不意打ちだったもんでな……」
笑い終え一息ついた後に、フォルテはピアニーとの距離を縮める。
「……ぼっちゃま?」
フォルテはピアニーの肩を掴むとベッドに優しく押し倒した。
「……それじゃあ、いっちょ夫婦らしいことをやろうじゃないか」
寝間着をたくし上げ、やや起伏の少ない女体を曝け出す。
「ぼ、ぼっちゃま!? ついさっきしたばかりではありませんか!」
「俺はまだだろ」
ベルトを緩め、張り詰めた下半身を自由にする。
「っ……」
膨張した男性の象徴を見てピアニーは恥ずかしくなって目をそらす。
緊張する身体。脚をぴたりと閉じてしまう。
「ピアニー、力を抜け。それとも嫌か?」
「……嫌、ではないです」
ピアニーは力を抜く。
フォルテは足を開く。
「この瞬間はどんなロマンス小説を開くより心が躍る」
「……あまり辱めないでください」
ピアニーはまた赤くなる顔を両手で隠す。
「お前が疲れ切ってるのはわかってる。無理させないよう、すぐに終わらせる」
フォルテはそう言いながらつんと上を向く乳首を口にくわえる。
「ぼ、ぼっちゃま、すぐに終わらせるって」
フォルテは一旦はくわえた乳首から離れる。
「俺を呼ぶときはフォルテ様だろ」
治療中は責任と己の未熟を感じ、ぼっちゃまと呼ばれても甘んじていた。しかし今は晴れて呪いは解け、汚名は雪いだ。
フォルテは言うだけ言って再び乳首を舌で転がす。
吸わないほうで肉のすくない乳房をかき集めて感触を味わう。
「ふぉ、ふぉるて、さま……」
一度は拒絶したが甘い感触に解けていく。
感度も鋭くなったまま。次第に身体があれを求めてしまう。
フォルテに熱を帯びた視線を向ける。
「わかってる。しおりを挟んでやらないとな」
フォルテはピアニーの両足を抱える。彼女の両足の隙間から露が垂れる。
露の出所に滾る男根の先をあてがう。
「っ……」
フォルテははやる気持ちを抱きながらも挿入を躊躇う。
焦らすつもりでも労わるつもりでもなかった。
勝手にコンプレックスに触れただけだ。
「ふぉ、フォルテ様……」
「なんだ、ピアニー」
固まっているとピアニーが声をかける。
「ほしい、です、フォルテ様の……」
「っ、この……!」
迷いは消え去り、欲望に忠実となる。
男を受け入れる万全の準備が整った穴にお望み通りにぶちこむ。
「き、きた……っ」
異物を歓迎する。乱暴な挿入に歓喜する。
「いいか、俺はご主人様だぞ! なのにお前ときたら、自分ばかり気持ちよくなりやがって! 俺が、どれだけ、心配したかも知らずに!」
足を抱く腕に力を込める。
「ごめんな、さい、ごめん、なさい!」
「謝りながらもよがるんじゃねえ!」
「だ、だってぇ、だって、きもち、いいんです!」
「ああ、そうかよ! だったら俺も好き勝手に動くぞ!」
「私の子とは気にせず、好きに動いてください!」
フォルテはピアニーの自由を奪いながら好きに動き続け、身体を貪り続けた。
時に腰の動きを止め、足に滴る汗を舐めとった。
肌に舌を這わされた側はぴくりと身体をはねらせ、嬌声を上げる。
「ピアニー……ピアニー……!」
全身をピアニーに押し付け、出すことだけを考えて腰を動かすフォルテ。
「どうぞ出してください……! 私の、私の中に……!」
予兆を感じ取り、おねだりをするピアニー。
「い、く……っ」
ブックマーク。
また一緒に耽るためにも落ちないように念入りに深く差し込んだ。
城主にも関わらず、従者の前にも関わらず、彼は堂々と立ち合おうとしなかった。
理由は治療のためだ。治療を確実なものとするため。薬師仙人である純陽の助言に忠実に従っている。
(お前を驚かせることになるが許せ、ピアニー。全部お前の身体を元に戻すためなんだ)
問題なく、ベッドの側まで接近する。
(わかってはいたが隙だらけだな……惰眠を貪る猫のほうがまだ注意深い)
静かに寝息を立てるピアニーの寝顔を見る。衣服はルーシーが眠っている間に整えられている。しかし顔つきはゆるく、口元からわずかに涎が垂れている。あまりの呑気さに多少の罪悪感を覚える。
(今はゆっくりと休めているが目覚めたら呪いが始まる……俺が……俺がやらなくちゃいけないんだ……)
決心を改め、下準備を始めた。
******
治療に取り掛かる前に純陽から借りた拝撫令思恩が正常に動作するか試す。
使い方は至って簡単。マナを込めれば振動するだけのシンプルな道具だ。
フォルテは魔法学校に籍を置いている。貴族の立場や体質といった理由で通信教育ばかりとなっているがマナのコントロールのような初歩的な技術は問題なく行えるのだが、
(まずは少しだけマナを込めて……)
問題が発生する。
ヴィイイイイイン!
フォルテの感覚で少しだけのマナを込めた拝撫令思恩が激しく振動する。
「これだけのマナでこんなに動くのかよ!」
純陽の言葉を思い出す。拝撫令思恩は魔法の素人でも扱えるようになっている。だから下手な人間に合わせて設計されている。
不意な事故はミスを引き起こす。拝撫令思恩の予想を上回る振動は事故だったがそのせいでフォルテは声を発してしまった。これは紛れもなくフォルテのミスだった。
「……ん……ぼっちゃま……?」
拝撫令思恩の暴走よりもフォルテの声でピアニーは目覚めてしまう。
「しまった! 穏便に済ませるつもりが……!」
「やっぱりぼっちゃまでしたね……う、あう、ううう! また身体が……」
覚醒と共に呪いが発動し、ピアニーの身体が疼き始める。
「だ、だめ、ぼっちゃまの前であんな、ことは……」
本人の意思とは真逆に腕が性感帯へと動こうとする。動こうとするが指は絶対に性感帯へと届かない。
「あ、あれ、手が……縛られてる?」
両手がロープで縛られていた。動かそうにも頭上で固定されていた。
「どうして、これは、どうなって……」
「落ち着け、ピアニー」
混乱する従者を主人は冷静に宥める。
プランAは破綻した。プランBへと移行する。
「ピアニー、いいか、落ち着いてよく聞け」
「そんな落ち着くなんて……今の私には……」
身体は刺激を渇望する。すでに呪いの効果は回り始め、すでに太ももを擦り合わせてでも絶頂へと昇ろうとしている。
「とにかく信じろ。すべて俺に委ねろ」
仰向けのピアニーの身体をひっくり返し、下半身の衣服を剥がしていく。
「ぼっちゃま、何を……っ!?」
抵抗しようとする身体が固まる。尻に冷たい、味わったことのないヌメリとした感触。
「ローションイモを溶かして作ったローションだ」
「それよりも! 私の後ろで甲高くなっている音はなんですか!?」
「音楽家なだけに音には人一倍敏感だな。これは拝撫令思恩だ。お前の身体を治す薬みたいなものだ」
フォルテはローションを塗り込んだ拝撫令思恩を尻に這わせる。
「ん……っ」
ふくよかな尻が汗とは違うテカリで包み込まれていく。
「はあ……ああ……」
振動音は次第にねちりねちりというローションがまじりあう音に飲み込まれていく。
(まずはピアニーの緊張をほぐすためにも振動に慣れさせる……)
純陽の助言を思い出す。
『まずは尻に這わせろ』
『そこから先は……自分で考えろ』
助言と呼ぶにはあまりに説明不足。
どんな効果があるかわからないが律儀にも尻に這わせ続ける。振動に怯えぬよう極力抑える。これはフォルテの心配り。未知の道具への恐怖を和らげるための配慮だった。
治療のつもりだった。呪いを消す経験はフォルテにはなかった。失敗は許されない。寄り道や遊びの類は一切封印し、ピアニーの身体を治癒することが最優先であり唯一の目的。
艶めかしい肢体、息遣いに声。男の部分が反応しないはずがない。だが治癒のために見て見ぬふりをする。
全てはピアニーのため。そう思っていた。
だがその断固たる決意は誰でもない治癒させようとしているピアニーの一言であっけなく消し飛んでしまう。
「ぼっちゃま……」
「どうした、ピアニー。どこか身体が」
「じ……ないで」
か細い声だった。おまけにベッドに伏せながらのために届かない。
「え、なんだって?」
フォルテは耳を近づける。
ピアニーは耳まで赤くして嘆願する。
「焦らさ……ないで……」
ぷつりと糸が切れる。
同時にスイッチが入る。
「……へえ」
横一文字に閉じていた口が湾曲する。
一瞬で純陽が何を伝えたかったのかを理解した。
彼女はこうなることを見越してああ伝えたのだろう。仙人には千里眼があるのかもしれない。
「ピアニー……主人である俺は従者のお前のためにと思って治療しようとしてたんだぜ……下心一切なしでさ」
拝撫令思恩の振動が強まっていく。ローションと絡まりながら尻の肉を震わせる。
「あぁっ……」
肌の上で快感が生まれる。未知の快感に声が出る。
「なのにお前ときたら、主人を差し置いて気持ちよくよがりやがってよ」
「そ、そんなよがってはんんん!?」
拝撫令思恩は振動そのままに秘部の割れ目に。竿の部分で割れ目の表面を擦る。
「よがって、よがってなんてぇ……」
身体をくねらせて震わせている。気持ちよくてしょうがないと見ればわかる。
「身体が変なんです……倒れてから、ずっと……」
呪いの影響で感度は高くなっている。
ピアニーは知らない。フォルテは純陽から聞かされていたがあえて伏せる。
「音に敏感だったよな? この音がわかるか?」
割れ目に当てたままで拝撫令思恩を振動させるとねちりねちりと音が立つ。
「そんなに気持ちよかったのか? もうこんなに濡らして」
「ちがいます、ちがいます、それはローション、ローションですから」
真実は定かではない。だが否定もしきれない。いやいやと首を振るしかできない。
「へえ、じゃあ全然別に気持ちよくないと。さっきの焦らさないでは誤解だと」
フォルテは拝撫令思恩の振動を止めて、割れ目からも離す。
「……あ」
つい漏らした切なそうに惜しむ声。
フォルテは些細な言葉も聞き逃さない。
「……やっぱり欲しいのか?」
「それは…………その…………」
「俺は貴族で紳士だ。女性が嫌がることはしない主義を通している」
「……もう、ぼっちゃまは、いじわるです……」
ピアニーは膝を立てて尻を突き出す。
「…………入れて、ください」
てかてかと光る性器を晒す。恥ずかしがり屋の彼女とは思えぬ大胆な行い。呪いがかかっているからか、それとも。
「しょうがないなあ」
フォルテは拝撫令思恩を再度動かし穴にあてがう。
「ぼ、ぼっちゃま!? そこは!?」
「んー、どうした?」
にやにやと笑う。慌てふためく姿に加虐心がたまらなく震える。
「そっちの穴は違います! そっちは入れる穴ではありません!」
尻肉の谷に埋まる穴にわざと当てていた。案の定ひどく戸惑っている。
「そうかー? すごーく入れてほしそうだぞ?」
「違うんです、入れてほしいのは……そっちじゃないんです」
「それじゃあどこに入れてほしいんだ? はっきりと言えよ」
「それは……私の……私の……」
ピアニーはシーツに顔をうずめる。
「……そこから、もう少し下の位置です」
羞恥を捨てきれず直接的な名称を避ける。
「……まあ及第点だな。入れてやるから、穴まで誘導しろ」
「私が、誘導するんですか? ぼっちゃまならわかるはずじゃあ」
「いいや、わからないね。自分のと棒とじゃ要領が違う」
屁理屈で説き伏せる。あくまでピアニーに言わせるつもりだ。
そしてピアニーはどんな理不尽にも従うことしかできない。
「今のところから……少し左です」
「こうか?」
「はい……そこから徐々に下へ……んんっ」
位置をずらす間も拝撫令思恩は震え、快感を生み出している。
「そこで、止まってください」
「ここか?」
「んん、ああっ」
返事を忘れて喘ぐ。
嘘偽りなく入口へと誘う。入り口なだけに敏感。僅かな振動でも快楽に陥る。
「ここなんだな?」
敏感であることを見抜いたフォルテは振動を強くする。
「あ、あ、ぼっちゃ、ま、あ、んっん」
走る快感に呼吸が間に合わなくなる。
「ピアニー、今からこんなんで大丈夫か? これが入ったらどうなるんだろうな?」
「入ったら……ですか?」
へそのあたりが疼く。左右対称の紋様が濃く光り出す。
心臓が高鳴る。恐怖からではない。一抹の不安はなくもないが、それよりもはるかに期待が上回っていた。
「入れていいんだな? あくまでお前の意思を尊重する」
怪しく蠢く謎の物体。聖域に異物の侵入を許すことになる。
「……」
ピアニーは小さく頷いた。
間を空けずにフォルテは拝撫令思恩をぶち込んだ。
「んんんっく! あああああ!」
ピアニーは震えた声を上げた。予想をはるかに上回る快楽が走る。
「まだまだ序の口の、浅いところだぞ」
ほんの少しで力で擦ったり回転を加える。
「はああ! んんくうう、くううう!」
ピアニーは歯を食いしばる。身体の一部で受け取る刺激が全身に広まる。
マナを込めて拝撫令思恩が振動させる。
「ぼっちゃま……! ぼっちゃま……! これ、これええ……!」
加減してあるのにピアニーは悶え苦しむ。縛っていなければベッドから転がり落ちていただろう。
「ピアニー、まだこれからなんだぞ。感じるところを教えるんだ」
「そんな、そんな恥ずかしいこと……!」
呪われてなお、ピアニーには理性が残っていた。外面ならまだしも内面まで欲望を曝け出すことに羞恥を抱いていた。
「だめです、やっぱり、恥ずかしい……」
呪いに蝕まれてなお、乙女心は健在。
しかしフォルテはここでとっておきを見せる。
「ピアニー、これは必要なことなんだ。お前の身体を治すために必要なことなんだ」
「……必要なこと?」
「ああ、そうだ。呪いを解くために必要なこと」
「……必要なこと、であれば……」
言葉巧みにピアニーを誘導する。
「いい子だ……」
頭は遠く届かないので代わりに尻を撫でる。
「さあ、どうする? どこがいいんだ?」
「……さっきの」
「ん?」
「……さっきの、入り口でぐりぐり、されるのが……」
「入り口をぐりぐりされたいんだな?」
「輪唱しない、で……あああ!」
言われた通りに入り口を丹念にぐりぐりと擦る。
「あ、そこっ……ぐりぐりって、ぐりぐりって……!」
乱暴な挿入なのに快感が身体中を走っていく。振動が身体中に伝わっているように震える。
自分の拙い指でしか快楽を生み出せずにいたからか、強引な刺激を心のどこかで欲しがっていたのかもしれない。
愛液が滴る。フォルテの手を包み込むほどに。
「気持ちいいか? 自分の指じゃ届かないところだもんな」
「はい! すごく、すごく! って、ぼっちゃま、どうして、それを!?」
フォルテは唐突に真実をばらす。
「ご主人様だからな、お前のことは何でも知ってるぞ。俺の名前を呼んでいたこともな」
「違います違います! 私はそんなはしたない女では」
「棒を咥えて喘いでる女が何を言うか!」
マナを込めて拝撫令思恩を震わせる。
「……っ!」
尻が上下させ、立てた太ももをふるりふるりと震わせる。
「さあ、次はどうする? どうして欲しいのか、おねだりをするんだ」
「わ、私は……私は……」
ピアニーの顔に羞恥が鮮明に浮き出るが快楽も隠しきれていない。
「もっと、もっと、奥に……ぼっちゃまの手で……いかせて……ください」
「よく言った。お望み通りに奥まで可愛がってやる」
拝撫令思恩を震わせたまま奥へ突き進む。振動が膣内をかき乱す。一つ一つの揺れが高みへと引き上げていく。
「ぼっちゃま、ぼっちゃま、わたし、わたしぃ……!」
「いい。存分に絶頂しろ」
「見知らぬ棒ではしたなくイク私をお許しください」
刹那、ピアニーの身体がぶるりと震えたかと思うと震えは一瞬で静まる。
「あ、ああ……」
脱力し立てていた太ももはふにゃりと崩れていく。
「はあ……はあ……はあ……」
肩で息をする。口の端によだれの感触があるが余韻が邪魔して拭き取れずにいる。
「ふぅ……」
フォルテは拝撫令思恩を引き抜く。栓を開けたように中から愛液がこぼれる。
光っていたヘソの紋章も消え失せていた。
「ピアニーの身体の調子はどうだ……?」
「どうと……言われましても……」
「うん、質問が曖昧だったな。ちょっと質問を変えよう。すっきりしたか?」
「すっきり、ですか!?」
ピアニーは今更ながらシーツをかき寄せて自分の身体を隠す。
「……それは……その…………はい」
こくりと頷いた。
******
「落ち着いたか?」
フォルテとピアニーは同じベッドに座っていた。
回復の経過を確かめるために治療を終えても離れはしない。
もっとも回復を確認したとしても心情的に離れたくない。
「はい、おかげさまで。ずっと跳ね返りが悪かった鍵盤が治ったかのようです」
ピアニーは胸に手を当てる。走り続けていた鼓動のリズムは落ち着きを取り戻していた。
「本当だな? お前のことだ、俺に気を遣わせないために嘘でも元気と言いそうなんだよな」
フォルテは胡坐をかき、膝上で肘を立てる。
「本当です! これが嘘を言ってる目に見えますか?」
じっと目に力を込める。
「いや、そう言われても嘘を見抜く魔法を準備してないんだが……まあでも今みたいな突拍子もないこと言うってのは元気の証拠だな。わかった、信じるよ」
フォルテは優しく微笑みかけた。
ピアニーはその笑顔を見て、ちくりと胸が痛む。その理由をすぐに打ち明ける。
「すみません、ぼっちゃま……またご迷惑をおかけしてしまい……」
「いや、俺のほうが悪かった。俺が未熟なばかりにお前を危険な目にあわせてしまった」
今回は幸運に助けられた。もしも仙人が訪れていなかったらと思うとぞっとしない。フォルテは責任を重く感じる。
「いいえ、いいえ! 私が、私が悪いのです! 私が軽率に、本を開いてしまったから」
「そういえば、何の本を開いたんだ? お前には呪い耐性があった。よっぽどお前が興味をそそられ、読みたいと思わなければ呪いにかからないはずなんだが。音楽が上手くなる教本とかか?」
「えっと……はい……その通りです」
あからさまに目が泳ぐ。
「嘘だな」
「な、なんでわかるんですか!?」
「俺じゃなくてもわかる。初対面の人間だって一目で見破れるわ」
フォルテはピアニーに詰め寄る。
「なんだ、何の本を読んだ。主人命令だ、正直に答えろ」
ピアニーの手を掴み、逃がさんとする。
窮鼠猫を嚙むというが彼女は早々に観念し、噓偽りなく告白する。その本の題名とは、
「……ふ、ふうふえんまんのほんです」
「ふふうふえんまんのほん?」
聞き覚えのない言葉。マイナーな呪文かと疑う。
ピアニーは顔を真っ赤にして言い直す。
「夫婦、円満の本です! もっとぼっちゃまと距離を縮められるように読みたかったのです!」
「……は?」
ぽかんとするフォルテ。全身から力が抜ける。
ピアニーは自由になった手で顔を覆い隠す。真っ赤になった耳は隠せない。
「く……くはっ」
フォルテは腹を抱えて笑う。
「ははははは!! なんだよ、それ!! なんでそんな本がうちの蔵書にあるんだよ! それでそれをお前が読むのかよ!!! はははは!! ははははは! ははははははは!」
「笑いすぎです、ぼっちゃま!」
「いやぁ悪い悪い。あまりにも不意打ちだったもんでな……」
笑い終え一息ついた後に、フォルテはピアニーとの距離を縮める。
「……ぼっちゃま?」
フォルテはピアニーの肩を掴むとベッドに優しく押し倒した。
「……それじゃあ、いっちょ夫婦らしいことをやろうじゃないか」
寝間着をたくし上げ、やや起伏の少ない女体を曝け出す。
「ぼ、ぼっちゃま!? ついさっきしたばかりではありませんか!」
「俺はまだだろ」
ベルトを緩め、張り詰めた下半身を自由にする。
「っ……」
膨張した男性の象徴を見てピアニーは恥ずかしくなって目をそらす。
緊張する身体。脚をぴたりと閉じてしまう。
「ピアニー、力を抜け。それとも嫌か?」
「……嫌、ではないです」
ピアニーは力を抜く。
フォルテは足を開く。
「この瞬間はどんなロマンス小説を開くより心が躍る」
「……あまり辱めないでください」
ピアニーはまた赤くなる顔を両手で隠す。
「お前が疲れ切ってるのはわかってる。無理させないよう、すぐに終わらせる」
フォルテはそう言いながらつんと上を向く乳首を口にくわえる。
「ぼ、ぼっちゃま、すぐに終わらせるって」
フォルテは一旦はくわえた乳首から離れる。
「俺を呼ぶときはフォルテ様だろ」
治療中は責任と己の未熟を感じ、ぼっちゃまと呼ばれても甘んじていた。しかし今は晴れて呪いは解け、汚名は雪いだ。
フォルテは言うだけ言って再び乳首を舌で転がす。
吸わないほうで肉のすくない乳房をかき集めて感触を味わう。
「ふぉ、ふぉるて、さま……」
一度は拒絶したが甘い感触に解けていく。
感度も鋭くなったまま。次第に身体があれを求めてしまう。
フォルテに熱を帯びた視線を向ける。
「わかってる。しおりを挟んでやらないとな」
フォルテはピアニーの両足を抱える。彼女の両足の隙間から露が垂れる。
露の出所に滾る男根の先をあてがう。
「っ……」
フォルテははやる気持ちを抱きながらも挿入を躊躇う。
焦らすつもりでも労わるつもりでもなかった。
勝手にコンプレックスに触れただけだ。
「ふぉ、フォルテ様……」
「なんだ、ピアニー」
固まっているとピアニーが声をかける。
「ほしい、です、フォルテ様の……」
「っ、この……!」
迷いは消え去り、欲望に忠実となる。
男を受け入れる万全の準備が整った穴にお望み通りにぶちこむ。
「き、きた……っ」
異物を歓迎する。乱暴な挿入に歓喜する。
「いいか、俺はご主人様だぞ! なのにお前ときたら、自分ばかり気持ちよくなりやがって! 俺が、どれだけ、心配したかも知らずに!」
足を抱く腕に力を込める。
「ごめんな、さい、ごめん、なさい!」
「謝りながらもよがるんじゃねえ!」
「だ、だってぇ、だって、きもち、いいんです!」
「ああ、そうかよ! だったら俺も好き勝手に動くぞ!」
「私の子とは気にせず、好きに動いてください!」
フォルテはピアニーの自由を奪いながら好きに動き続け、身体を貪り続けた。
時に腰の動きを止め、足に滴る汗を舐めとった。
肌に舌を這わされた側はぴくりと身体をはねらせ、嬌声を上げる。
「ピアニー……ピアニー……!」
全身をピアニーに押し付け、出すことだけを考えて腰を動かすフォルテ。
「どうぞ出してください……! 私の、私の中に……!」
予兆を感じ取り、おねだりをするピアニー。
「い、く……っ」
ブックマーク。
また一緒に耽るためにも落ちないように念入りに深く差し込んだ。
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