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練習試合応援編

はじめてのおねだり X

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「佳子さん、僕のこと意地悪だなんて思っていませんか?」

 不意に問いかける。

「先に意地悪したのは佳子さんですよ。マイケルと呼んだり無視したり」
「だってあれは正行君が……!」
「なんて意地悪が過ぎましたね。僕はきちんとわかってます。焼きもち焼いてくれたんですよね?」
「ちが……わないけど」
「とてもかわいかったですよ。バレてないつもりでこちらを横目で確かめてきたりとするところとか特に。笑いを我慢するのに苦労しました」
「気付いてたの!?」
「当たり前じゃないですか。僕は佳子さんのことが大好きなんですから。ゴールを狙う凛々しい佳子さんも、シュートが決まった時の嬉しそうな佳子さんも見逃しませんよ。まあその後席を外してしまったのは本当にすみませんでした。帰ろうとする山田さんを説得するのに手間取りましてね……おっといけない。佳子さんの相手をしてるのに他の女性の話をしたらまた拗ねらせてしまう」

 尻の肉をぎゅうっとつねられるように掴まれ声を漏らす。

「あぁ……」

 はしたない声。たるんだ顔。

(本当に私、正行君の手のひらで踊らされてばっかり……年上なのに全然リードできてない……)

 覆せない恥辱に身体の芯が熱くなっていく。
 奥手で軟弱な愛撫にもどかしさを感じる。
 手つかずの敏感な性感帯を、もっと強く、愛でてほしいと求めてしまう。
 愛撫の先のことも期待してしまう。

(早く、したいな……)

 その視線に気づいた正行はにこりと笑う。

「何か言いたいことがあるんですか?」
「え、えっと……その……」

 佳子は自分がどれだけ恥ずかしいことを考えていたかに気付き、さらに赤面する。
 正行は手を止めて、じっと顔を見つめる。
 全てを見透かす目をしている。

(ぜんぶわかってて……私に言わせるつもりなんだ)

 欲望をさらけ出すことに抵抗があった。
 期待しているとバレていたとしても見て見ぬふりをしてほしい。
 嫌々身体を許しているという建前がほしい。

 しかし今日の正行は意地悪だった。
 すーっと尻に指でなぞる。

「んん♡」

 背筋がぞくぞくする。身体は正直だった。

「言いたいこと、あるんですよね?」

 佳子は目をぎゅっと瞑る。彼女の中の天秤が傾く。
 肩の力を抜き、そっと正行に尻を差し出す。

「…………………………………………来て」

 小さな声。
 羞恥心を捨てきれなかった。
 しかし正行はそれを聞き届け、ふふふと笑う。

「初めてのおねだりとしては上出来ですね。よくできました」

 神聖なユニフォームの中に男の手が入り込む。

(きた! でも……!)

 ユニフォームの下は汗ばんでしっとりと湿度が高い。
 忘れていたが今の自分の体は汗まみれ。小雨を浴びた後とはまるで違う。

(あー! やっぱおねだりなんてするんじゃなかった! 私の馬鹿ー!)

 一時の欲望に駆られ、後悔が高まる。
 もっともこの後の性感帯への愛撫で後悔などという感情は吹き飛んでしまう。
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