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初めてのデート編

ネット喫茶の個室で連続オーガズム X

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 二人はぽつぽつと振り出しの雨を避けながら雨宿りできる場所を探す。

「喫茶店はどこも満席……ごめんね、傘忘れちゃったばかりに」
「謝らないでください。それにこれも計算のうちですから」

 正行が佳子の手を引いて走る。
 商店街から離れると次第に人気が消え、違う雰囲気の街に。
 商店からホテル街に。それも宿泊というよりも休憩がメインの。

「ままま正行君!? こういうところは私たちは!?」
「大丈夫です大丈夫です。僕に任せてください」

 そしてとある場所で正行は足を止める。

「着きました。ここなら雨宿りじゃなく簡単なお食事もできますよ」
「ここって……」


 二人は一室を借りる。
 一室とは言ったもののそう称すにはやや手狭。カラオケボックスよりも狭い一室は二席と呼ぶのがよりふさわしい。
 下は床でなく黒レザーのフルフラットのクッション。
 壁掛けのモニターがあり、その下にはリモコンとキーボードとマウスが置かれたテーブル。

「ネット喫茶ってもっと狭い場所かと思ってた……パソコンと一人分がチェアがあって仕切りがされただけの」
「ここはペアシートです。だから佳子さんの想像は全然間違いではないと思いますよ」

 正行が借りてきたフェイスタオルでぺたりぺたりと佳子の髪から雨を拭き取る。

「本降りになる前に間に合って良かったですね」
「ほんとだね。プレゼントのワンピースも全然濡れなかったし」

 一息つくと会話が途切れる。
 そうなると佳子はつい先ほどの出来事。自分が発した言葉を思い出してしまう。

(正行君がいなくてどんな心細かったか、私は正行君なしじゃ生きていけないんだよ、わかんないでしょじゃないよ私のアホー!!!)

 精神的に不安定だったとはいえ、大胆過ぎる発言に憤死寸前。

(しかも私から抱きついちゃったし! ほんと私! 馬鹿!)

 そのせいで正行の顔がまともに見えない。こんなことしていたらまた傷つけるとわかっていながらも。

「佳子さん」
「は、はい、なんでしょう」

 突然名前を呼ばれ何故か畏まってしまう。

「もう大丈夫ですか? 怖くなくなりましたか?」
「あぁ、うん。それはもうおかげさまで全然平気だよ。ありがとうね」

 問題は体の震えよりもどう目を合わせるかに切り替わっている。

「そうですか。それなら安心です。あ、佳子さん、少しの間目を瞑ってもらえませんか」
「え、なんで?」
「なんでも、です」

 佳子は何も疑わず学習せず言う通りに無防備に目を瞑る。
 直後に唇が熱くなる。
 驚きに目を開けると正行の大きな毛穴が一切見当たらないきめ細やか若い肌が広がっていた。

「だから隙だらけなんですよ」

 正行が離れると自然と目と目が合う。
 あの時と同じ魅惑的な表情。

「ネット喫茶で男女が二人きり。まさか読書や映画鑑賞で終わると思いますか?」
「ま、待って待って。ここ、他に人がいて」
「はい、また隙ができました」

 正行はワンピースの胸元を引っ張り、出来た隙間を覗く。

「~~~~~~~~~!!!!!」

 佳子の頭から湯気が噴出する。
 正行は口元のにやけが止まらなくなる。

「もう一つのプレゼント、着けてくれたんですね?」

 せっかく目が合わせられたのに、またもや顔を真正面に見られなくなる。
 正行が佳子に贈ったもう一つのプレゼント、それは下着だった。
 上下ともに派手すぎない淡い桃色。中央のお揃いのリボンがチャームポイント。

「こ、これは……! なんというか、着けなきゃ負けた気がしたというか……!」
「つまり見せるつもりだったと」
「そんなこと全然言ってないじゃん……!」
「下もチェックしないとですね」

 そして小柄な体躯を生かしてスカートに潜り込む。

「ふふふ、こちらも気に入ってくれたようで」
「も、もういいでしょ? 下着チェック終わったなら早く出て来」

 ハア。
 熱い吐息が秘部にかかる。

「きゃっ」

 くすぐったさに足を閉じる。

「だめですよ」

 しかし正行は太ももに手をかけてそれを阻止した。
 懐に入ってしまえばこちらものと言わんばかりにショーツの左足ぐりを右手親指でずらす。スカート越しに手で抵抗されるがお構いなし。

(こ、この子は……また好き放題して……!)

 スカートの中は汗と雨でやや蒸れている。

「もっと蒸らしてあげますね……」

 今回の前戯は趣向を変える。
 佳子の秘部に舌先で触れる。

「舌!?」

 思わぬ愛撫に大声を出してしまう。
 好感触の喜ばしい反応だったが正行にも理性が残っている。
 一旦前戯を止め、壁の向こうの反応を探る。
 ネット喫茶は設備の割に、時間帯の割には人が少ない。両隣に人はいないことは確かめたが時折入り口の前の通路を従業員が通る。
 もしも行為がバレれば出禁だけでは済まされない。
 しばらくしても人の気配は感じられなかった。

(これなら……続けても問題ないな……)

 正行はそう判断した。とても合理的とはいえないが浅はかだが情動を止められなかった。
 再び佳子の秘部に今度は舌に唾液を含ませ、パンにバターを塗りこむように舐める。

(まだ続けるの……!?)

 佳子は声を押し殺すことに必死。

「っ……ン……は……」

 我慢して両手で蓋しても声が漏れる。
 その隙にショーツを脱がすとクンニは本格的に始まる。
 唇で陰唇を甘噛みする。緩急をつけて刺激する。

(正行君の唇きもちいい♡ でもこれ、ちょっと刺激としてはものたりない……)

 刺激に物足りなさを感じるのも計算のうち。
 熱を帯びた舌がクリトリスをほんのわずかに突く。

(……きたっ!)

 凌辱を歓迎してしまう。足を震わせて悦びを露にしてしまう。
 しかし幸福は続かない。奥ゆかしいことに舌は一突き、二突きで引っ込んでしまう。

(なんで……? どうして、舐めてくれないの……?)

 また唇での甘噛みが再開する。
 陰唇は正行の唾液にまみれてふやふやにされる。
 身体の力が抜けて、甘い刺激を素直に受け容れるようになった時。
 ずずず。
 不意打ちで舌が突撃する。

(きた……! 今度はきっと長続きするよね……?)

 しかし今度も佳子の期待は裏切られる。
 臆病にもまたも一突き、二突きで引き下がる。
 そしてようやく佳子は真意に気付く。

(じらされてる……!)

 小癪にも生意気にも年下の男は女の身体と心を弄んでいる。
 今すぐにでも強引に来てほしいという気持ちを察した上であえて引っ込む卑怯極まりない戦法を取っている。
 またも唇での甘噛み。
 振り出しに戻された気分。身体は昂り、絶頂への階段は下っていないのだが、もどかしさがちらつき離れない。
 昨晩はオナニーで発散した。あれはその場しのぎに過ぎない。きれいさっぱり解消されたわけではない。百点満点のオーガズムではなかった。

 正行なしには生きていけない。

 この言葉に嘘偽りはない。
 たっぷりと男の感触を刷り込まれてしまった。
 とうに自分の指では満足できる身体ではなくなってしまっていた。
 昨晩から蓄積された悶々とした性欲がぶり返す。

(だめ……もうこれ以上我慢できない……)

 観念して懇願する。

「じら…………さない、で…………」

 届くかどうかもわからぬ、か細い声。
 ぴたりと甘噛みが止まる。
 あえての意地悪か、それとも想定外の出来事に思考を奪われてしまったか。
 それでも佳子の為すことに変わりはない。

「じら、さないで……!」
「……おねだりとされたならば断れませんね」

 佳子の懇願は正行にとっても想定外の出来事だった。
 じわりじわりと攻め落とすつもりだった。甘噛みの次は優しく吸ったり、息を吹きかけたり。
 しかし当の本人はすっかりと出来上がっている。
 それならばステップを飛ばして一気に責め立てる。
 舌をドリルのように尖らせて膣内に挿入する。

(うわ、うわ、そんなとこに舌入れちゃ……!)

 ちるちるちる。

「はぁ……! あぁ……! んんんん……!」

 縦横無尽に動き回る舌。彼は身体のどこにだってキスマークを残す。

(だめ……手だけじゃ声隠せない……!)

 佳子はタオルの存在を思い出す。それを噛み、止まぬ快感に臨む。

「ふっ……ん……ふ……」

 声のミュート化に成功するが正行にとってそれは面白くなかった。

(他の人に聞こえちゃまずいし、聞かれるのは嫌だけど……佳子さんの声が聞こえなくなるのは嫌だなぁ……)

 鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス。
 何が何でも鳴かせようと熱くなる。
 舌先は本陣たるクリトリスに挑む。
 入念にクンニしただけあり、クリトリスは赤く腫れ包皮から剥き出しになっていた。

(まずは小手調べに……)

 ちょい。
 触れたかどうかもわからぬほど軽いワンタッチ。

「ひぃうぃ……!」

 鳴いた。女が鳴いた。

「だ、だめ、そこ、だめ」

 知らず知らずに大ヒントを与えてしまう。

(そうですか、ここがいいんですね。ほんとにわかりやすい人だ……)

 舌先でくりくりと大正解の箇所をねちっこくこねる。

「だめって……だめって言ったのに……♡」

 鳴きながら泣きながらタオルを噛む。
 次第に腰が浮き始める。絶頂が近い。

「ん……んんっ……!」

 身体がピンと反り上がる。
 言葉にしなくても反応でわかる。
 絶頂に達した。

(イっちゃった……クンニだけで、舌だけでイカされて……)

 多幸感でぼんやりとする頭。
 しかし下腹部の感触、水音は途切れていない。

「まさゆ……ひゃあ!」

 口元から噛んでいたタオルが落ちる。

「まさゆあっきくんはあっ、いった、もう、いったから」

 正行はちうちうと陰唇を吸う。
 絶頂済みなのは知っている。それを織り込み済みで新たな試みに挑んでいた。

(目指せ、絶頂オーガズム!)

 つぷ、ぐにぐにぐにぐに。
 今度の刺激は舌だけでない。
 指を膣内に挿入する。

(たしかこの辺りで……そうそう、ここだ)

 予習復習済みのGスポットを的確になぞる。

「あああ♡」

 佳子は拾おうとしたタオルを落とす。

「正行君♡ ほんと待って♡ 声隠せなくなってるから♡」

 密室ではあるが壁は薄い。
 大声どころか会話の声だって漏れてしまう。

(身体がずっと、イキ続けてる、みたい……♡)

 指先つま先まで走り抜けていくはずの絶頂の快感が跳ね返ってきたようだった。
 絶頂の向こう側、よりディープな女として生まれた悦び。
 快楽に導いてくれる目の前の男が愛おしく思えて仕方がなかった。

「まさ、ゆき、くん……♡」

 膣がきゅうきゅうと締まる。
 はあ、と熱く短い吐息。
 ぼふっとクッションに背中から落ちる。

「はあ……はあ……はあ……」

 呼吸するたびにふくよかな胸が浮き沈みする。
 時間にして五分。佳子は絶頂し続け、性感のピークを浴び続けた。

「はあ……はあ……」

 同じく呼吸を荒くしながら正行がスカートから顔を出す。
 そしてスカートをゆっくりと膝へ上げていく。

「……」

 佳子は目が合いながらも抵抗しない。それどころか一緒に手を添えて動きを合わせる。
 彼女の秘部が光を浴びる。愛液ですっかりてかっている。
 ごくり。
 正行は唾を飲み込む。
 カチャカチャ……チャ……。
 ベルトを外す。彼の履いていたズボンは前方に隆起している。
 彼がベルトを外している間も佳子の手はスカート端をもち、ずれないように抑えていた。
 言葉は交わさない。
 しかし言葉なき合意がそこにはある。
 より高みを上ろうとした時、

「へえ、ペアシートってこんなんなってるんだ」
「案外広くて快適なんだねぇ」
「でも……セックスするにはちょっと狭いな」
「あはは、なにそれ~。こんなところでセックスとか変態じゃーん」
「だよなぁ。せめてキスまでだよな」

 カップルが通路を歩いていく。この薄い壁の向こうで若い男女が乳繰り合ってるとも知らずに。

「……」

 正行は無言でベルトをまき直し、汚したクッションをタオルで拭き取る。その後備え付けの消臭スプレーを振りまく。
 その間に佳子は身なりを整え、ショーツを足に通す。

「あ、あは、は……変態だってよ……」

 冷静さを取り戻した佳子は来た時の倍死にたい気持ちになった。

「これからどうする? まだ時間あるし映画でも観る?」
「いいえ、場所を変えましょう。もっと良い場所があるんです」

 また正行は佳子の手を取り、店の奥へと突き進む。

「ま、まさか、トイレとか言い出さないよね?」
「まさかですよ。トイレなんかよりもっと相応しい場所があるんです」

 そして二人がたどり着いたのはシャワールームだった。
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