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Ⅲ from A to A
第31話 side Gamma
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アーロン:青年。
アルトリウス・フォン・ハルモニア:ハルモニア帝国皇帝。18歳。
クラリス:アルトの町に勤務する騎士の女性。21歳。
シンシア:アルトの町に勤務する騎士の女性。25歳。
──────────────────
クラリス 「──────ン、……ロン」
アーロン 「……っ」
クラリス 「アーロン、聞いてるの?」
アーロン 「………………クラリス?」
クラリス 「なに? その幽霊でも見るような顔は……」
アーロン 「い、いや……」
クラリス 「……変なアーロン」
シンシア 「こほん、いちゃいちゃしてるところ悪いけど、いいですか? 隊長」
クラリス 「わ! シンシアさん、ここ隊長室ですよ!? ノックくらいはした方がいいと思います!!」
シンシア 「ノックならしたわよ? あなたたちが気づかなかっただけで」
クラリス 「わー、すみません……」
シンシア 「今大丈夫ですか?」
クラリス 「アーロンなら大丈夫ですよ」
アーロン 「!?」
シンシア 「クラリスが答えるんだ……」
(SE 書類をめくる音)
シンシア 「それで隊長、町の防壁についてなんですけど……」
アーロン 「ち、ちょっと待ってくれ。隊長って、ローレンスのおっさんはここにはいねえぞ?」
シンシア 「え……?」
クラリス 「アーロン、さすがにそれは……」
アーロン 「は、はあ?」
(SE 机にぶつかる音)
(SE 隊長服の飾りが揺れる音)
アーロン 「……っ、これ、隊長服……? お、おい、俺が隊長、なのか?」
クラリス 「アーロン以外に誰がいるの? ローレンス隊長は、去年亡くなったんだよ?」
アーロン 「それで、なんで俺が隊長になるんだよ? ハミルトンは?」
シンシア 「ハミルトンさんは騎士団長の直属の隊で隊長を務めていますから」
アーロン 「……俺が、隊長」
クラリス 「ちょっと大丈夫? 少し休んだら?」
アーロン 「あ、ああ、悪いけど、そうさせてもらうわ」
クラリス 「そうしなさい。……あ、防壁の件は、私がやりますね」
シンシア 「え、ええ、それはいいんだけど、アーロン、本当に大丈夫なの? 」
アーロン 「ま、少し休んだら治るだろ」
シンシア 「それならいいんだけど……」
◇
宿舎。
アーロン (俺が、隊長になってる世界、か……)
アーロン (そういや、ローレンスのおっさんは、2年前に亡くなっちまったんだよな……。この世界でもそれは同じで、そのあとに騎士団を辞めなかった俺が引き継いだってところか)
アーロン 「…………」
アルトリウス 「──────この世界、案外悪いものでもないでしょう?」
アーロン 「やっぱりいるか」
アルトリウス 「おや、この世界のこと、少し気に入っているようですね」
アーロン 「は?」
アルトリウス 「アーロンさん、貴方は少なからずボクを憎んでいる。実際、前の世界でも、ボクの姿を見ると、その憎しみを表に出していた……」
アーロン 「……」
アルトリウス 「なのに、今回はそれがなかった。ふふ、あはは、それってつまり、気づいてしまったんですよね? ボクが作る世界の居心地の良さに」
アーロン 「そんなことは……」
アルトリウス 「ない、とは言わせませんよ。この世界は、アーロンさんの後悔を元に作ったんです。貴方の知るクラリスという騎士が、貴方の知っているままにこの世界で生きているんですよ?」
アーロン 「……」
アルトリウス 「あはは、その様子なら、諦めてくれそうですねぇ。そうだ、助言をしてさしあげましょう。このままワンサイドゲームになってしまうのもつまらないですからね」
アーロン 「助言……?」
アルトリウス 「前回の世界で、アーロンさんにボクが言ったヒント、思い出してみてください。今回は、それを刺激してみようと思いましてね」
アーロン 「前回の世界でのヒント……?」
アルトリウス 「あはは、それでは、ボクはこれで失礼します。せいぜい頑張ってくださいね、アーロンさん」
(SE アルトリウスが闇に溶ける音)
アーロン 「……ふぅ」
(SE アーロンがベッドに腰掛ける音)
アーロン (ヒント……、確か、俺が戦ってきた理由がどうとかって言ってたよな……)
(SE 扉がノックされ音)
クラリス 「(扉の外から)アーロン? 大丈夫? 入るよ?」
(SE 扉が開かれる音)
アーロン 「……クラリス、仕事はどうした?」
クラリス 「もちろん、速攻で終わらせてきたよ」
アーロン 「クラリスらしいな」
(SE クラリスがベッドに腰掛ける音)
クラリス 「ふふん、ねえ偉い? 偉い?」
アーロン 「ああ偉い偉い」
クラリス 「ふへへ……っと、アーロン、体調の方は大丈夫?」
アーロン 「ま、大丈夫だ」
クラリス 「ほんとにぃ~? 心配をさせないようにウソを吐いてたりしてない?」
アーロン 「ほんとだっての」
クラリス 「…………」
(SE アーロンの頬を両手で挟む音)
アーロン 「な、なにすんだよ……っ」
クラリス 「……うん、大丈夫みたいね」
アーロン 「わかった、わかったから、離してくれ」
クラリス 「あ、ごめん」
(SE クラリスが離れる音)
アーロン 「……ふぅ」
クラリス 「じゃあ、パトロール行こうよ」
アーロン 「はあ? 急だな」
クラリス 「……もう、察してよ」
アーロン (……なんだかわからないけど、行かないと機嫌を損ねそうだな)
アーロン 「はあ、わかったって」
クラリス 「やった」
◇
アルトの町、広場。
アーロン 「……ちょっと、距離近くないか?」
クラリス 「そう? 普通じゃないかな?」
アーロン 「…………」
おばさん 「あら、アーロンとクラリスちゃん! 今日も仲が良いわねぇ!」
クラリス 「あ、パン屋のおばさん、こんにちは!」
おばさん 「昼間っからお熱いねえ、おばさんにも分けてもらいたいよ~」
クラリス 「もうおばさん、からかわないでよ~!」
おばさん 「あらら、それじゃあお邪魔虫はこの辺で。おほほほほ~」
(SE おばさんが離れていく音)
クラリス 「もう、いつもああなんだから。困っちゃうよね、アーロン」
アーロン 「まったくだ。俺とクラリスは、ただ幼馴染ってだけなのにな」
クラリス 「え……?」
(SE クラリスが立ち止まる音)
アーロン 「……どうした? 行かねえのか?」
クラリス 「ね、ねえ、ウソだよね……?」
アーロン 「あ? 何がだよ?」
クラリス 「だって、私たち、お互いの気持ち、伝えたよね……?」
アーロン 「気持ち……?」
クラリス 「やっぱり、今日のアーロンおかしいよ……っ!」
(SE クラリスが走り去る音)
アーロン 「あ、おい、クラリス!」
◇
アルト遺跡。
アーロン 「クラリスのやつ、どこまで行ったんだ?」
(SE 爆発音)
クラリス 「(遠くから)きゃああああああっ!!」
アーロン 「ちっ、まさか!!」
(SE アーロンが走り出す音)
死神 「■■■■■■■■■!!」
クラリス 「はああああああっ!!」
(SE 剣を振る音)
クラリス 「……っ!! はあ、はあ、攻撃が通らない……!?」
アーロン 「クラリス!!」
クラリス 「……! アーロン……!」
アーロン 「こいつは俺がなんとかする! クラリスは下がってろ!!」
クラリス 「でも、こいつには攻撃が……!!」
アーロン 「大丈夫だ! 俺を信じろ!」
クラリス 「……!! うん……!」
(SE クラリスが走る音)
アーロン 「ったく、死神化!」
(SE 黒いオーラをまとう音)
死神 「■■■■?」
アーロン 「一撃で決めるぞ! 冥王一閃!!」
(SE 黒いオーラをまとった一閃)
死神 「■■■■■!?」
(SE 死神が消滅する音)
(SE 黒いオーラが消える音)
アーロン 「……ふぅ。ほらな、なんとかなっただろ?」
(SE クラリスがアーロンに抱き着く音)
クラリス 「アーロン!」
アーロン 「……クラリス」
クラリス 「アーロンは本当に、いつも私を守ってくれる……。騎士を目指したのだって、貴族からの理不尽な仕打ちで苦しんでいた私を……」
アーロン (──────そうだ、俺が騎士になったきっかけは、目の前で苦しむ人を見たくなかったからだ。そのために、ずっと……)
クラリス 「……そう、いつだって、皆を守るためにアーロンは戦ってきた──────」
クラリス 「──────私、そんなアーロンが好きだよ」
アーロン 「…………!」
クラリス 「……ねえ、私を置いて、どこにも行かないよね?」
アーロン 「…………」
クラリス 「…………」
アーロン 「……はは、俺を置いてどっかに行ったのは、クラリスの方だろうが」
クラリス 「……っ! そ、そういうことじゃなくてっ!」
アーロン 「バカ、どこにも行か……」
クラリス 「アーロン……?」
アーロン (……今、何を思った? ここは、アルトリウスが作った世界なんだぞ? 俺を諦めさせるために作った偽物の世界……)
アーロン 「…………悪い、クラリス」
クラリス 「え……?」
◇
(SE 世界が闇に染まる音)
(SE アルトリウスが現れる音)
アルトリウス 「はあ、この世界も失敗、ですか」
アーロン 「アルトリウス!」
(SE 拍手)
アルトリウス 「いやいや、よく思いとどまってくましたね。ボクもまさか、たった2回で諦めるとは思っていなかったので」
アーロン 「……悪趣味だな」
アルトリウス 「ははは、こうでもしないと、アーロンさんは諦めないと思いまして」
アーロン 「高く買ってくれるんだったら、そろそろ諦めてくれねえか?」
アルトリウス 「そうはいきません」
アーロン 「ちっ……」
アルトリウス 「ははは、アーロンさん、貴方が諦めるまでやめるつもりはありませんよ。さあ、再開しましょう」
アルトリウス 「──────ボクたちのゲームは、まだ始まったばかりなのですから」
つづく
アルトリウス・フォン・ハルモニア:ハルモニア帝国皇帝。18歳。
クラリス:アルトの町に勤務する騎士の女性。21歳。
シンシア:アルトの町に勤務する騎士の女性。25歳。
──────────────────
クラリス 「──────ン、……ロン」
アーロン 「……っ」
クラリス 「アーロン、聞いてるの?」
アーロン 「………………クラリス?」
クラリス 「なに? その幽霊でも見るような顔は……」
アーロン 「い、いや……」
クラリス 「……変なアーロン」
シンシア 「こほん、いちゃいちゃしてるところ悪いけど、いいですか? 隊長」
クラリス 「わ! シンシアさん、ここ隊長室ですよ!? ノックくらいはした方がいいと思います!!」
シンシア 「ノックならしたわよ? あなたたちが気づかなかっただけで」
クラリス 「わー、すみません……」
シンシア 「今大丈夫ですか?」
クラリス 「アーロンなら大丈夫ですよ」
アーロン 「!?」
シンシア 「クラリスが答えるんだ……」
(SE 書類をめくる音)
シンシア 「それで隊長、町の防壁についてなんですけど……」
アーロン 「ち、ちょっと待ってくれ。隊長って、ローレンスのおっさんはここにはいねえぞ?」
シンシア 「え……?」
クラリス 「アーロン、さすがにそれは……」
アーロン 「は、はあ?」
(SE 机にぶつかる音)
(SE 隊長服の飾りが揺れる音)
アーロン 「……っ、これ、隊長服……? お、おい、俺が隊長、なのか?」
クラリス 「アーロン以外に誰がいるの? ローレンス隊長は、去年亡くなったんだよ?」
アーロン 「それで、なんで俺が隊長になるんだよ? ハミルトンは?」
シンシア 「ハミルトンさんは騎士団長の直属の隊で隊長を務めていますから」
アーロン 「……俺が、隊長」
クラリス 「ちょっと大丈夫? 少し休んだら?」
アーロン 「あ、ああ、悪いけど、そうさせてもらうわ」
クラリス 「そうしなさい。……あ、防壁の件は、私がやりますね」
シンシア 「え、ええ、それはいいんだけど、アーロン、本当に大丈夫なの? 」
アーロン 「ま、少し休んだら治るだろ」
シンシア 「それならいいんだけど……」
◇
宿舎。
アーロン (俺が、隊長になってる世界、か……)
アーロン (そういや、ローレンスのおっさんは、2年前に亡くなっちまったんだよな……。この世界でもそれは同じで、そのあとに騎士団を辞めなかった俺が引き継いだってところか)
アーロン 「…………」
アルトリウス 「──────この世界、案外悪いものでもないでしょう?」
アーロン 「やっぱりいるか」
アルトリウス 「おや、この世界のこと、少し気に入っているようですね」
アーロン 「は?」
アルトリウス 「アーロンさん、貴方は少なからずボクを憎んでいる。実際、前の世界でも、ボクの姿を見ると、その憎しみを表に出していた……」
アーロン 「……」
アルトリウス 「なのに、今回はそれがなかった。ふふ、あはは、それってつまり、気づいてしまったんですよね? ボクが作る世界の居心地の良さに」
アーロン 「そんなことは……」
アルトリウス 「ない、とは言わせませんよ。この世界は、アーロンさんの後悔を元に作ったんです。貴方の知るクラリスという騎士が、貴方の知っているままにこの世界で生きているんですよ?」
アーロン 「……」
アルトリウス 「あはは、その様子なら、諦めてくれそうですねぇ。そうだ、助言をしてさしあげましょう。このままワンサイドゲームになってしまうのもつまらないですからね」
アーロン 「助言……?」
アルトリウス 「前回の世界で、アーロンさんにボクが言ったヒント、思い出してみてください。今回は、それを刺激してみようと思いましてね」
アーロン 「前回の世界でのヒント……?」
アルトリウス 「あはは、それでは、ボクはこれで失礼します。せいぜい頑張ってくださいね、アーロンさん」
(SE アルトリウスが闇に溶ける音)
アーロン 「……ふぅ」
(SE アーロンがベッドに腰掛ける音)
アーロン (ヒント……、確か、俺が戦ってきた理由がどうとかって言ってたよな……)
(SE 扉がノックされ音)
クラリス 「(扉の外から)アーロン? 大丈夫? 入るよ?」
(SE 扉が開かれる音)
アーロン 「……クラリス、仕事はどうした?」
クラリス 「もちろん、速攻で終わらせてきたよ」
アーロン 「クラリスらしいな」
(SE クラリスがベッドに腰掛ける音)
クラリス 「ふふん、ねえ偉い? 偉い?」
アーロン 「ああ偉い偉い」
クラリス 「ふへへ……っと、アーロン、体調の方は大丈夫?」
アーロン 「ま、大丈夫だ」
クラリス 「ほんとにぃ~? 心配をさせないようにウソを吐いてたりしてない?」
アーロン 「ほんとだっての」
クラリス 「…………」
(SE アーロンの頬を両手で挟む音)
アーロン 「な、なにすんだよ……っ」
クラリス 「……うん、大丈夫みたいね」
アーロン 「わかった、わかったから、離してくれ」
クラリス 「あ、ごめん」
(SE クラリスが離れる音)
アーロン 「……ふぅ」
クラリス 「じゃあ、パトロール行こうよ」
アーロン 「はあ? 急だな」
クラリス 「……もう、察してよ」
アーロン (……なんだかわからないけど、行かないと機嫌を損ねそうだな)
アーロン 「はあ、わかったって」
クラリス 「やった」
◇
アルトの町、広場。
アーロン 「……ちょっと、距離近くないか?」
クラリス 「そう? 普通じゃないかな?」
アーロン 「…………」
おばさん 「あら、アーロンとクラリスちゃん! 今日も仲が良いわねぇ!」
クラリス 「あ、パン屋のおばさん、こんにちは!」
おばさん 「昼間っからお熱いねえ、おばさんにも分けてもらいたいよ~」
クラリス 「もうおばさん、からかわないでよ~!」
おばさん 「あらら、それじゃあお邪魔虫はこの辺で。おほほほほ~」
(SE おばさんが離れていく音)
クラリス 「もう、いつもああなんだから。困っちゃうよね、アーロン」
アーロン 「まったくだ。俺とクラリスは、ただ幼馴染ってだけなのにな」
クラリス 「え……?」
(SE クラリスが立ち止まる音)
アーロン 「……どうした? 行かねえのか?」
クラリス 「ね、ねえ、ウソだよね……?」
アーロン 「あ? 何がだよ?」
クラリス 「だって、私たち、お互いの気持ち、伝えたよね……?」
アーロン 「気持ち……?」
クラリス 「やっぱり、今日のアーロンおかしいよ……っ!」
(SE クラリスが走り去る音)
アーロン 「あ、おい、クラリス!」
◇
アルト遺跡。
アーロン 「クラリスのやつ、どこまで行ったんだ?」
(SE 爆発音)
クラリス 「(遠くから)きゃああああああっ!!」
アーロン 「ちっ、まさか!!」
(SE アーロンが走り出す音)
死神 「■■■■■■■■■!!」
クラリス 「はああああああっ!!」
(SE 剣を振る音)
クラリス 「……っ!! はあ、はあ、攻撃が通らない……!?」
アーロン 「クラリス!!」
クラリス 「……! アーロン……!」
アーロン 「こいつは俺がなんとかする! クラリスは下がってろ!!」
クラリス 「でも、こいつには攻撃が……!!」
アーロン 「大丈夫だ! 俺を信じろ!」
クラリス 「……!! うん……!」
(SE クラリスが走る音)
アーロン 「ったく、死神化!」
(SE 黒いオーラをまとう音)
死神 「■■■■?」
アーロン 「一撃で決めるぞ! 冥王一閃!!」
(SE 黒いオーラをまとった一閃)
死神 「■■■■■!?」
(SE 死神が消滅する音)
(SE 黒いオーラが消える音)
アーロン 「……ふぅ。ほらな、なんとかなっただろ?」
(SE クラリスがアーロンに抱き着く音)
クラリス 「アーロン!」
アーロン 「……クラリス」
クラリス 「アーロンは本当に、いつも私を守ってくれる……。騎士を目指したのだって、貴族からの理不尽な仕打ちで苦しんでいた私を……」
アーロン (──────そうだ、俺が騎士になったきっかけは、目の前で苦しむ人を見たくなかったからだ。そのために、ずっと……)
クラリス 「……そう、いつだって、皆を守るためにアーロンは戦ってきた──────」
クラリス 「──────私、そんなアーロンが好きだよ」
アーロン 「…………!」
クラリス 「……ねえ、私を置いて、どこにも行かないよね?」
アーロン 「…………」
クラリス 「…………」
アーロン 「……はは、俺を置いてどっかに行ったのは、クラリスの方だろうが」
クラリス 「……っ! そ、そういうことじゃなくてっ!」
アーロン 「バカ、どこにも行か……」
クラリス 「アーロン……?」
アーロン (……今、何を思った? ここは、アルトリウスが作った世界なんだぞ? 俺を諦めさせるために作った偽物の世界……)
アーロン 「…………悪い、クラリス」
クラリス 「え……?」
◇
(SE 世界が闇に染まる音)
(SE アルトリウスが現れる音)
アルトリウス 「はあ、この世界も失敗、ですか」
アーロン 「アルトリウス!」
(SE 拍手)
アルトリウス 「いやいや、よく思いとどまってくましたね。ボクもまさか、たった2回で諦めるとは思っていなかったので」
アーロン 「……悪趣味だな」
アルトリウス 「ははは、こうでもしないと、アーロンさんは諦めないと思いまして」
アーロン 「高く買ってくれるんだったら、そろそろ諦めてくれねえか?」
アルトリウス 「そうはいきません」
アーロン 「ちっ……」
アルトリウス 「ははは、アーロンさん、貴方が諦めるまでやめるつもりはありませんよ。さあ、再開しましょう」
アルトリウス 「──────ボクたちのゲームは、まだ始まったばかりなのですから」
つづく
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