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Ⅲ from A to A

第20.5話 ラストノートは……

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ウルフィリア・レインフォルス:バーナード隊のナンバー2。下民から騎士になった青年。12歳~22歳。この回における語り部。
フィリップ・ベルナルド:各地を旅する鳥使い。本名はウルフィリア・レインフォルス。26歳~32歳。
エスカ・ロベール:帝国議会有力貴族であるロベール家の令嬢。ウルフィリアと同い年。
バーナード・メイザース:ウルフィリアの才能を見出した帝国騎士団で隊長を務める男性。22歳~42歳。
ハミルトン・レイ:バーナード隊所属の知略家。12歳~22歳。

ヴァン:怪鳥カイザーアードラの子ども。子どもでも大鷲ほどの大きさがある。
アルトリウス・フォン・ハルモニア:ハルモニア帝国第4皇子。年不相応の底知れない不気味さのようなものが感じられる少年。12歳~18歳。
アレン・ウィル・ハルモニア:元ハルモニア帝国の皇子。24歳~30歳。
セシル・エインズワース:6属性を操る魔女。旧時代の魔法を研究している。24歳~30歳。
マルシアス・ザ・ハルモニア:第98代ハルモニア皇帝を務める男。57歳。
アリア・メイザース:バーナードの娘。8歳。
シャルル・ロベール:芸術の街・パレトワールの執政官を務める貴族の男性。エスカの父親。52歳。
カール・ブライアン:水の都・アクエリスの執政官を務める貴族の男。54歳。

~モブ~
商人
民衆
首領:盗賊のボス
兵士①②
盗賊①②


 これは、ひとりの男が、愛を知る物語である──────

 水の都・アクエリス。各区画を巡る運河と温泉が観光客を呼び、このハルモニア帝国において帝都の次に賑わっている街。

ウルフィリア 「……今日も上々」

 日の当たらない路地を歩く影がひとつ。

ウルフィリア 「魚が数匹なくなっても気が付かないなんて、さすがは貴族様、懐が深い」

 彼の名前は、ウルフィリア・レインフォルス。かつてアクエリスを統治していたレインフォルス家の一人息子だった。しかしそのレインフォルス家は、他貴族からの顰蹙ひんしゅくを買い、数年前に没落してしまった。没落したレインフォルス家は、アクエリスの執政官を罷免されるどころか、ありもしない罪をでっち上げられ爵位を剥奪された。その結果、ハルモニア帝国の身分制において下層に位置する下民にまで堕ちてしまった。
 そんなレインフォルス家の当主は投獄され、ウルフィリアの母親は他の男の元へ逃げ、一家離散を余儀なくされた。

(SE 川のせせらぎ)

ウルフィリア 「……さて、火を起こすか」

(SE 火をおこす音)

(SE 薪が爆ぜる音)

ウルフィリア 「…………」

(SE 足音)

ウルフィリア 「……!」

(SE 短刀を抜く音)

ウルフィリア 「誰だ!?」

少女 「ひっ……!」

ウルフィリア 「……子ども?」

少女 「……それはあなたも、でしょう?」

ウルフィリア 「それはそうだが、お前の方がずっと子どもだろう」

少女 「8歳……」

ウルフィリア 「聞いてない」

少女 「あぅ……」

ウルフィリア 「……街の子どもか?」

少女 「うん、高台の方にお母さんと妹と住んでるの」

ウルフィリア 「だったら、もう帰った方がいい。ここからだと、かなり遅くなるだろう」

少女 「…………」

ウルフィリア 「もしかして、迷子か……?」

少女 「迷子じゃないもん」

ウルフィリア 「……迷子か」

少女 「だから……」

(SE お腹が鳴る音)

少女 「あうぅ……」

ウルフィリア 「……これ、食べるか?」

少女 「魚……、きらい」

(SE お腹が鳴る音)

ウルフィリア 「ふん、なら俺が全部食べても構わないな」

少女 「えぇ……?」

(SE お腹が鳴る音)

少女 「やっぱり、食べる……」

────────────

少女 「魚、おいしかった……!」

ウルフィリア 「……これからは、魚も好き嫌いせずに食べるんだな」

少女 「うん……!」

ウルフィリア 「……では、送っていこう。高台だったな?」



 翌日、昼。アクエリス、メインストリート。

(SE ざわざわ)

ウルフィリア 「……騒がしいな、何があったんだ?」

商人 「いや、なんか女の子が執政官殿にぶつかっちゃったらしくてね。そんなの気にすることでもないのに、怒鳴りつけて……」

ウルフィリア 「…………」

商人 「ほんと、レインフォルス様が執政官を辞めてから、生きづらくなったもんだ。……って、ちょっとあんた!」

(SE 人を掻き分ける音)

カール 「なんだその目は! この執政官である私に逆らうというのですか!?」

少女 「…………!」

ウルフィリア 「あの子は昨日の……」

カール 「……ふむ、お前……」

(SE カールが強引に少女の腕を掴む音)

少女 「ひっ、離してください……!」

カール 「マニアにでも売れば、いい値段になりそうだ」

ウルフィリア 「……!」

(SE 短刀を抜く音)

ウルフィリア 「そこまでだ、外道」

カール 「なんだ、お前は!?」

少女 「あなたは……!」

兵士① 「無礼者! この方は執政官様であるぞ!」

ウルフィリア 「……執政官だったら、何をやっても許されるのか?」

カール 「そうだ、私は貴族だ。お前らのような下賤の者でどう遊ぼうと、文句を言われる筋合いはない」

兵士② 「そういうことだ、ガキ。わかったら引っ込んでろ」

ウルフィリア 「これだから貴族は……」

カール 「兵士たち、この汚らしい小僧を連行しますよ」

兵士① 「え? しかし……」

カール 「なんです? あなたも私に逆らうのですか?」

兵士① 「いえ、そういうわけでは……」

カール 「では、連れて行きなさい」

ウルフィリア 「……そう言われて、おとなしく連れていかれるやつがどこにいる?」

カール 「ふむ、罪状をでっち上げる必要はなさそうですねぇ」

兵士② 「へへ、悪いな、少年。これも仕事なんだ」

(SE 剣を抜く音)

ウルフィリア 「……!」

ハミルトン 「そこまでです!」

カール 「!?」

兵士② 「ああ? なんだ?」

兵士① 「……! あなたたちは……!」

バーナード 「カール執政官、これは、なんの騒ぎでしょうか?」

カール 「これはこれは、新進気鋭のバーナード隊長ではありませんか。活躍は耳にしていますよ」

バーナード 「質問に答えていただきたい」

カール 「……いや、この子どもたちが貴族である私に無礼を働いたものですから、少しお灸を据えていたところですよ」

バーナード 「それにしては、ずいぶんと物騒ですね」

カール 「…………」

バーナード 「まさか、手にかけるおつもりではないでしょうね?」

カール 「……っ、そんなわけがないでしょう! ごほん、私にはまだ職務があるのです。行きますよ」

兵士①② 「ま、待ってください!」

(SE 三人が去っていく音)

ハミルトン 「皆さん、お騒がせしました」

(SE ざわざわ)

ウルフィリア 「騎士……?」

バーナード 「大丈夫か?」

少女 「うわああああん!! 怖かったあああ!」

バーナード 「……お前は、何をしようとした? その刀はなんだ?」

ウルフィリア 「……俺は、その子を助けようと……」

バーナード 「帝国法規では、それは反逆行為にされてしまう。少年、勇気があるのは結構なことだが、知恵と力が足りなければ、それは蛮勇になってしまうことを忘れないことだ」

ウルフィリア 「……!」

ハミルトン 「隊長、そろそろ行きましょう」

バーナード 「そうだな。少年、その子を家まで送り届けるように」

(SE 騎士が去っていく音)

────────────

カール 「くうっ、あのバーナードとかいう若造め……!!」

カール 「いいでしょう……、例の盗賊団に情報を流しなさい」

兵士② 「は、なんと……?」

カール 「……そうですね。騎士団隊長を討ち取れば金をやる、とでも」

兵士① 「わかりました」

カール 「くっくっく……」



 翌日。アクエリス、高台に続く階段。

ウルフィリア 「……なんだ? 高台が騒がしいな……」

(SE 階段を駆け上げる音)

(SE ざわざわ)

ハミルトン 「隊長、これは罠です」

バーナード 「わかっている。だが、見捨てるわけにはいかないだろう」

ハミルトン 「しかし、私たちだけでは……。せめて、応援を待ってからでも」

ウルフィリア (……貼り紙?)

ウルフィリア 「なんだ……?」

商人 「おお、またあんたか。いやあ、昨日の騒ぎの女の子が攫われたらしくてね」

ウルフィリア 「なに? またあの貴族か……!?」

商人 「いや、盗賊に攫われたらしい。しかも、騎士団の隊長が来ないと殺すなんていうふざけた紙が貼られていてね」

バーナード 「……! お前は昨日の……」

ウルフィリア 「何かと縁があるみたいだな……」

バーナード 「……少年、盗賊団のアジトの場所は知っているな?」

ウルフィリア 「なんでそう思うんだ?」

バーナード 「その身なりから自分の家がないことは予想がつく。盗みも働いているが、昨日や今日の反応を見る限り、貴族の荷馬車からくすねているのが大半だろう」

ウルフィリア 「…………」

バーナード 「盗賊団には、懸賞金がかけられている。隙があれば首領の首をとることも考えていたのではないか?」

ウルフィリア 「……それで、協力しろ、と?」

バーナード 「そういうことだ」

ハミルトン 「しかし隊長、民間人、それもこんな下民に……」

バーナード 「それがどうした? この少年は、意識が丹田にある。度胸もあるらしい。この少年は力になる」

ハミルトン 「隊長がそう言うのなら……」

ウルフィリア 「わかった、協力する。だけど、タダではやらないぞ」

バーナード 「交渉成立だな」

ハミルトン 「…………」

バーナード 「アジトは近いのか?」

ウルフィリア 「アクエリス郊外の祭壇の遺跡にある」

バーナード 「近いのか?」

ウルフィリア 「今から行けば、日が傾く前には着くはずだ」

バーナード 「なるほど。では、決行は夜にしよう。行けるか?」

ウルフィリア 「大丈夫だ」



 夜。アクエリス郊外、祭壇の遺跡近くの盗賊団アジト。

ウルフィリア (まさか、あの騎士たちが陽動を買って出るなんてな……)

盗賊① 「おーおー、騎士様のご到着だ!」

盗賊② 「ずいぶん遅かったんじゃねえか!?」

少女 「助けてぇっ!!」

ハミルトン 「……っ!」

首領 「おおっと、動くなよ? 動いたら、この娘がどうなるか、わかるよなあ?」

少女 「やだ! 痛い!! やだああああっ!!」

(SE 短刀を振る音)

(SE 血が出る音)

首領 「ごふっ……!」

(SE 首領が倒れる音)

少女 「ひっ……!」

盗賊① 「このガキ!!」

バーナード 「──────雷霆よ、貫け」

(SE 雷魔法が発動する音)

盗賊① 「ぐああっ!」

バーナード 「ハミルトン、少女を!」

ハミルトン 「はい!」

少女 「…………っ」

(SE 短刀を振る音)×何度か

(SE 血が出る音)×何度か

(SE 盗賊たちが倒れる音)

バーナード 「…………!」

ハミルトン 「さあ、来てくださ……え?」

ウルフィリア 「これで、全員か……?」

少女 「い、いやあああああっ!!」

(SE 少女が倒れる音)

バーナード 「……気絶しているだけのようだ」

ウルフィリア 「…………」

バーナード 「街に戻ろう」



 翌日。

 アクエリスでは、街を騒がせていた盗賊が、帝国騎士団隊長バーナード・メイザースによって壊滅させられたという話題であふれた。その裏で、レインフォルス家の一人息子が盗賊たちを虐殺したという噂も流れ、ウルフィリアは住民から忌避されつつあった。

 アクエリス、ウルフィリアの拠点。

(SE 川のせせらぎ)

ウルフィリア 「…………」

ハミルトン 「この街にいづらくなったようだね」

ウルフィリア 「…………」

ハミルトン 「まさか、キミにあんな才能があったなんて、驚いたよ」

ウルフィリア 「……」

バーナード 「少年、ウルフィリアといったか……、どうだ? 私たちと一緒に来ないか?」

ウルフィリア 「え?」

バーナード 「お前のその才能、このバーナード隊で磨いてみないか?」

ウルフィリア 「俺が、騎士に……?」



 それから5年が経った。ウルフィリアはその才能を活かし、バーナード隊における密偵、偽りの名コードネーム幻影ファントムとして活動していた。

 幻影ファントム、法で裁くことのできない貴族や騎士を始末する影。この5年間で闇に葬った貴族や騎士は、両手で数えるには足りなすぎる。その中には当然、かつてバーナードを陥れようと画策した貴族、カール・ブライアンも含まれる。だが、そんな任務をこなし続け、しだいにウルフィリアの心は摩耗していった。

 帝都、城。

バーナード 「ウルフィリア、毎度このような汚れ仕事を押し付けてしまってすまないな」

ウルフィリア 「いえ……」

(SE 扉の開閉音)

ハミルトン 「隊長、例の小隊について、案がまとまりました」

(SE 紙を渡す音)

バーナード 「……ほう、貴族どもから毛嫌いされているローレンスを小隊長にするか。ふむ……」

ハミルトン 「アルトの町に駐在所を置くことで、貴族からは左遷のように映るはずです」

バーナード 「なるほど」

ハミルトン 「はい、これで、隊長が目指す国に近づくはずです」

 現在の帝国法では、身分に関係なく法によって裁かれるが、貴族のような特権階級が罪を犯しても、その罪をもみ消されるのが通例となっている。裁きを受けることになったとしても、減刑されてしまう。バーナードは、そんな帝国の現状を打破することを目指している。

(SE 扉を叩く音)

騎士 「(部屋の外から)バーナード隊長殿!」

バーナード 「入れ」

(SE 扉の開閉音)

騎士 「失礼いたします。皇帝陛下より、書状を預かってまいりました」

バーナード 「陛下から?」

騎士 「書状はこちらに……」

(SE 書状を渡す音)

バーナード 「…………」

騎士 「では、私はこれにて失礼いたします」

バーナード 「ご苦労」

(SE 扉の開閉音)

バーナード 「……私はこれより、陛下の私室に行く。ハミルトン、ローレンスに小隊の件を伝えろ。ウルフィリア、ともに来い」

ウルフィリア・ハミルトン 「はっ」

────────────

 現皇帝、マルシアス・ザ・ハルモニアは、ハルモニア帝国が世界を統一するに至った統一戦争後に即位した皇帝だ。統一戦争後各地で反乱が起きたが、その手腕で治めて見せた。よってこの十年、内乱が起きたことはない。

 皇帝の私室。

(SE 扉をたたく音)

バーナード 「陛下、帝国騎士団バーナード・メイザースです」

ウルフィリア 「同じく、ウルフィリア・レインフォルスです」

マルシアス 「(部屋の中から)入れ」

(SE 扉の開閉音)

バーナード・ウルフィリア 「失礼いたします」

(SE 敬礼する音)

マルシアス 「……よい、楽にするがいい」

バーナード・ウルフィリア 「はっ」

(SE 敬礼を解く音)

マルシアス 「ほう、其方がレインフォルスの……」

ウルフィリア 「……父が失礼いたしました」

マルシアス 「いや、其方の父があのような仕打ちを受けたのは、余の力が及ばなかったためだ。頭を下げるべきは余だ」

ウルフィリア 「……! 陛下、どうか顔をお上げください」

マルシアス 「……すまない」

バーナード 「……」

マルシアス 「……と、今回其方らを呼び立てたのは、先の魔物討伐で空席となってしまった騎士団長について、話したかったためだ」

バーナード 「騎士団長……」

マルシアス 「結論から言おう。バーナード・メイザース、其方を帝国騎士団団長に任命する」

バーナード 「……! はっ、陛下のご期待に沿えるよう全力を尽くします」

マルシアス 「そしてウルフィリア、其方はバーナードに代わり、隊長を務めよ。其方の技量ならば、隊長主席として騎士団長を補佐できるだろう」

ウルフィリア 「……はっ」

マルシアス 「ふむ、其方が不安に思うのもわかる。が、其方は帝国騎士団きっての天才だ。盾突く者はその手腕でもって、黙らせるがよい」

ウルフィリア 「はっ」

マルシアス 「正式な任命はまた後日にする。仔細は追って連絡しよう」



 その後、正式に騎士団長に就任したバーナードは、平民騎士で構成されたローレンス小隊を組織し、アルトの町に駐在所を設置した。

 そして、1年後──────

 芸術の街・パレトワール、入り口。

ウルフィリア 「豊かな街だ」

ハミルトン 「パレトワールは、帝国の中でもアクエリス、ホロロコリスに次いで賑わっている街だからね。そして、芸術の街とも呼ばれていて、工芸品や音楽だけにとどまらず演劇や歌劇といったものも盛んなんだ」

ウルフィリア 「……あの街の中心にある門はなんだ?」

ハミルトン 「あれは、旧ハルモニア時代からあるとされる遺跡のひとつ、星の門だ。その意匠から、門という役割よりも記念碑としての役割が強いらしいね」

ウルフィリア 「……やけに饒舌だな。さては、街を回りたいのか?」

ハミルトン 「…………」

ウルフィリア 「はあ、では、夕刻にあの門で落ち合おう」

ハミルトン 「いいのか?」

ウルフィリア 「いいからとっとと行け」

ハミルトン 「では夕刻にまた!」

(SE ハミルトンが走っていく音)

ウルフィリア 「あんなハミルトン、初めて見たな」

 ウルフィリアたちは、アルトの町の定期視察に向かっていたが、運悪くグリフォンの群れに襲われ、馬を失ってしまった。やむなくその道中にある芸術の街・パレトワールに立ち寄っていた。

ウルフィリア 「まず馬と宿を確保するか……」

────────────

 パレトワール、メインストリート。

ウルフィリア 「さて、馬も宿も確保できたが、まだ日は高いな……」

ウルフィリア 「……ハミルトンじゃないが、街を回るか」

ヴァン 「キィー……!」

(SE 傷を負った鳥が降り立つ音)

ウルフィリア 「……! 鳥……?」

ヴァン 「キュゥー……」

ウルフィリア 「……カイザーアードラの子ども?」

エスカ 「……ヴァン! こんなところにいたの?!」

ヴァン 「キィー……!」

エスカ 「よかった……! もう、帰りが遅いから心配してたんだよ?」

ヴァン 「キュー……」

ウルフィリア 「…………」

エスカ 「あなた、その装いからして、旅人かしら?」

ウルフィリア 「……まあ、そんなところだ。それよりもこのカイザーアードラ、怪我をしているようだが……?」

エスカ 「え? あ、本当ね……。どうしよう……」

ウルフィリア 「子どもとはいえ、カイザーアードラにこの傷を負わせるとは……、グリフォンだろうか……?」

エスカ 「ええ!? グリフォン!?」

ウルフィリア 「ああ、この辺に、グリフォンの群れが来ているからな」

エスカ 「そんな……」

ウルフィリア 「だが、グリフォンに襲われてこの程度の傷で済むとは、このカイザーアードラは高い能力を持っているようだ」

エスカ 「ありがとうございます……。と、今はこの子のケガを治さないと……」

ウルフィリア 「……」

エスカ 「このケガ……、魔法使いの薬が必要ね。行きましょう」

ウルフィリア 「……俺も?」

エスカ 「旅は道連れ、と言うでしょう、旅人さん?」

ウルフィリア 「……お前が言うな」

エスカ 「あら? でも、付き合ってくれるわよね?」

ウルフィリア 「仕方ない……」

────────────

 しばらくして、夕刻。パレトワール、アトリエ通り。

エスカ 「よかったわね、ヴァン、こんな傷がたったの3日で治るなんて……」

ヴァン 「キィ―!」

エスカ 「あなたも、付き合ってくれてありがとうね」

ウルフィリア 「まさか、こんな時間になるとは……」

エスカ 「あら、誰かと待ち合わせでもしてたの?」

ウルフィリア 「ああ、連れとあの星の門で落ち合うはずだったんだが……」

エスカ 「そうだったの? ごめんなさいね」

ウルフィリア 「乗りかかった船だ。気にするな」

エスカ 「……ふふふ、あなた、見かけによらず優しいのね」

ウルフィリア 「一言余計だ」

エスカ 「あら、ふふふっ」

ウルフィリア 「ふ……」

エスカ 「あ、ようやく笑った」

ウルフィリア 「なに?」

エスカ 「素敵よ、その笑顔」

ウルフィリア 「うるさい」

エスカ 「あ、照れてる? 照れてるわよね?」

ウルフィリア 「照れてない。……俺はこれで失礼する。星の門に行かないといけないんだ」

エスカ 「残念でした。私の行先も星の門なの。一緒に行きましょう?」

ウルフィリア 「…………」

エスカ 「ほら、乗りかかった船、でしょう?」

ウルフィリア 「……はぁ、わかった」

エスカ 「ふふ、決まりね」

ウルフィリア 「まったく、強引な道連れが増えたもんだ」

エスカ 「強引なのはお嫌い?」

ウルフィリア 「はぁ、行くぞ」

エスカ 「ため息ばっかり吐いてると幸せが逃げるわよ?」

ウルフィリア 「…………」

────────────

 道中。

エスカ 「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私は、エスカ、見ての通り……何に見える?」

ウルフィリア 「知らん」

エスカ 「もう! 少しは乗ってくれてもいいんじゃない?」

ウルフィリア 「…………」

エスカ 「それで、あなたの名前は?」

ウルフィリア 「俺は……」

ウルフィリア (この女、身なりからして貴族の娘だろう。偽名を使うべきだな)

ウルフィリア 「フィリップ・ベルナルドだ」

エスカ 「いい名前じゃない。フィリップは、古代ハルモニア語で、素敵な笑顔って意味なのよ? あなたにぴったりよ」

ウルフィリア 「……嘘だな」

エスカ 「バレた? 本当は今、私が考えたの」

ウルフィリア 「くだらん」

エスカ 「だって、どうせ偽名なんだし、どんな意味があってもいいでしょう?」

ウルフィリア 「……!」

エスカ 「あ、やっぱり偽名なんだ」

ウルフィリア 「カマをかけたのか?」

エスカ 「ふふ、だって、フィリップって名前、この辺でよく聞く名前だもの。顔つきから、親が東側出身だろうことはわかる。それにこの辺の土地勘がないっていうのも怪しいなあって」

ウルフィリア 「見かけによらず鋭いな。だが、そんな怪しい男と一緒でいいのか? いきなりお前を襲うかもしれないぞ?」

エスカ 「え? だって、あなた優しいもの。そんなことしないわ。でしょう?」

ウルフィリア 「…………調子が狂うな」

エスカ 「さ、行きましょう、フィリップ」

────────────

 その後、ウルフィリアとエスカは星の門に到着した。観光に夢中になっていたのか、ハミルトンとは日没後に落ち合うこととなった。

 夜。パレトワール、宿。

ハミルトン 「……すばらしい、芸術ぅ……ぐぅ」

(SE 寝返りを打つ音)

ウルフィリア (貴族にも、あんな女がいたとはな)

ウルフィリア (素敵な笑顔、か。他人に笑顔を晒したのは、いつぶりだっただろうか)



 翌月。帝都、城。

バーナード 「なに? ローレンス小隊に議会のマーロウが異議を申し立てている?」

ハミルトン 「はっ、平民騎士で構成された小隊を使って国家転覆を狙っているなどと……」

バーナード 「言いがかりを……!」

(SE 扉を開け放つ音)

騎士 「騎士団長閣下! 申し上げます! 閣下のご息女であるアリア様のお命が狙われているとのことを耳にしました!」

バーナード 「なんだと!?」

ハミルトン 「それは本当なんですか?」

騎士 「はっ、帝国議会マーロウ閣下が話しているところを偶然、耳に致しました」

バーナード 「……なるほど、ご苦労。下がれ」

騎士 「はっ」

(SE 扉が閉まる音)

バーナード 「ウルフィリア」

ウルフィリア 「はっ」

バーナード 「マーロウを消せ」

ウルフィリア 「……団長、マーロウは帝国議会の中でも有力な貴族です。消すというのは……」

バーナード 「ウルフィリア! 私に意見するか!?」

ウルフィリア 「いえ……」

バーナード 「……私の妻だけでは飽き足らず、娘まで奪うか……ッ!! ウルフィリア、わかったのなら行くんだ」

ウルフィリア 「……はっ」

(SE 扉の開閉音)

バーナード 「やはりこの国は腐っている……ッ! 今までがぬるかったのだ……! これからは徹底的にだ!!」

────────────

 その日、帝国議会マーロウが何者かに暗殺されたことが城内を騒がせることとなった。その犯人を特定するために城内は騒然としていたが、マーロウの私室から人身売買や麻薬密売に関する記録、アリア・メイザース誘拐の旨と騎士団長バーナード・メイザースに対する脅し文句を記した羊皮紙が発見され、犯人特定はうやむやになった。

 そしてバーナード・メイザースは、その日を境に魔法研究に傾倒していった。旧ハルモニア時代の魔法、神降ろし。術者自身の魂を代償に、その身に神を降ろす旧時代の魔法の真髄。その神の力を利用し、魂を隷属させる皇帝の証・調律の剣シュティムングビーベルを模した偽剣神滅煌剣カイザーシュトラールを開発し、革命を起こそうと画策している。



 1年後。帝都、城。

バーナード 「ウルフィリア、お前に任務を言い渡す」

ウルフィリア 「はっ」

バーナード 「パレトワールに赴き、帝国議会有力貴族ロベール家を監視しろ」

ウルフィリア 「ロベール家、ですか」

バーナード 「ああ、どうやら、アルトにある旧ハルモニア文明の遺跡で何か画策しているらしい」

ウルフィリア 「…………」

バーナード 「ロベール家は、最近議会内での旗色が悪い。悪辣な商売を始めていても不思議ではない」

ウルフィリア 「議会のことです、内輪揉めをさせておけば良いのでは?」

バーナード 「議会内にも目が欲しい、弱みを見せた方を引き入れるのだ」

ウルフィリア 「つまり、ロベール家を監視しつつ、恩を売れるようなら売れ、ということですね?」

バーナード 「そういうことだ。もちろん、人身売買や麻薬の密売などに手を染めていたのならば、報告後、速やかに消せ」

ウルフィリア 「はっ」

────────────

 そして──────

 芸術の街・パレトワール、メインストリート。

エスカ 「あら、あなた、フィリップ?」

ウルフィリア 「お前は、エスカ、だったか……?」

エスカ 「覚えていてくれてたのね……!」

ウルフィリア 「それはお前もだろう。あれから1年だぞ」

エスカ 「ふふふ、それはどうしてでしょう?」

ウルフィリア 「はぁ……」

エスカ 「もう、ため息を吐くと幸せが逃げるって言ったでしょう?」

ウルフィリア 「そのようだな、なんの不幸か、お前と会ってしまった」

エスカ 「あ、ひどい~」

ウルフィリア 「……ところでお前、ロベール家について、何か知っているか?」

エスカ 「ロベール?」

ウルフィリア 「ああ、最近、あまり良い噂を聞かないが……」

エスカ 「ロベールなら、私ですよ?」

ウルフィリア 「なに?」

エスカ 「って言っても、あなたの言うロベールは、私の父、シャルル・ロベールのことだと思いますけどね」

ウルフィリア 「娘だったのか……」

エスカ 「……まあ、父の議会での立ち位置が危ういことは、聞いているわ」

ウルフィリア 「ああ、人間、追い詰められれば、どんなことでもするものだ」

エスカ 「あら、含蓄ある言葉ね。もしかして、あなたのことかしら?」

ウルフィリア 「想像に任せる」

エスカ 「……でも、そうね、最近、父の動向が怪しいというのはわかるわ」

ウルフィリア 「…………」

エスカ 「…………そうだ、あなた、私と付き合わない?」

ウルフィリア 「……どこにだ?」

エスカ 「もう、そんな古典的な勘違いしないで。私が言ってるのは、私と恋人にならない? ってことよ」

ウルフィリア 「な、なにを言い出すんだ!?」

(SE ざわざわ)

ウルフィリア 「……っ!」

エスカ 「あら、フィリップったら、大きい声も出せたのね」

ウルフィリア 「……なぜそんな突拍子もないことを……!?」

エスカ 「突拍子もないかしら? だって、あなたは私の父に近づきたいんでしょう? なら私と恋人になるっていうのは、妙案だと思うのだけれど?」

ウルフィリア 「それはそうだが……」

エスカ 「それに……」

(SE エスカがウルフィリアに近寄る音)

エスカ 「(小声で艶っぽく)私、あなたに興味があるの」

(SE ウルフィリアがエスカから離れる音)

ウルフィリア 「からかうな……っ」

エスカ 「ふふ、照れてるの? あなたはただ恋人のフリをするだけで、私の父に近づけるのよ?」

ウルフィリア 「……はぁ、わかった。俺の負けだ」

エスカ 「あら、もう負けを認めるの?」

ウルフィリア 「ああ。だが、あくまでフリだからな? お前が俺にとって不利益になるのなら、関係は断つ」

エスカ 「ええ。だけど、私はフリのつもりはないかもしれないわよ?」

ウルフィリア 「……勝手にしろ」

────────────

 その後、ウルフィリアはエスカの提案通り、恋人のフリをすることとなった。その甲斐あってか、任務を滞りなく進めることができた。結果から言うと、シャルル・ロベールがアルトの遺跡に出入りしていた理由は、貴族向けの観光資源として売り出そうとしていたためだという。

 帝都、城。

バーナード 「なるほど、ロベールはそのようなことを……」

ウルフィリア 「いかがしましょう」

バーナード 「阻止しろ。しかし、角が立たないようにな」

ウルフィリア 「はっ」

バーナード 「それで、ローレンス小隊の動きはどうだ?」

ウルフィリア 「問題なく機能しているようです。住民との関係も良好ではありますが、議会から差し向けられる貴族騎士と揉めることもあるようです」

バーナード 「議会の犬どもには良い薬になるだろう。住民の不満を買っていないのなら、問題にしなくてもよい」

ハミルトン 「はっ」

(SE 扉の開閉音)

アリア 「おとう……」

ウルフィリア 「──────それと、ローレンス小隊からアルトの町に防壁を兼ねた門を築きたいと要望が上がっています」

バーナード 「ハミルトンを向かわせる。あれなら色々工面できるだろう」

ウルフィリア 「はっ、ただちに向かわせます」

バーナード 「……最後に、パレトワールでのお前の状況を聞いておこう」

ウルフィリア 「現在、シャルル・ロベールの娘に接近し、ロベール家とは親密な関係を築きつつあります」

バーナード 「そうか、今後も維持しろ。下がれ」

ウルフィリア 「はっ」

(SE 鎧が鳴る音)

アリア 「…………」

ウルフィリア 「キミは……」

バーナード 「アリア、どうした?」

アリア 「魔法の本を借りたいのですが、よろしいですか」

バーナード 「そこにあるものを取っていくといい」

アリア 「わかりました」

バーナード 「アリア、お前は魔法の才能があるんだ。役目を果たせ」

アリア 「はい!」

ウルフィリア 「……役目、か」

 バーナードは、魔法研究に傾倒するようになってからというもの、『役目』という言葉を多用するようになった。バーナードは帝国を根本から改革するという使命を果たすために、その『役目』を他人だけでなく、自身にさえも課している。かつての厳格だが慈悲深い彼の姿はもう見ることはできない。そのかつてのバーナードの残滓として、ローレンス小隊が存在しているのみである。

────────────

 パレトワール、星の門広場。

ウルフィリア 「…………」

(SE 足音)

エスカ 「おまたせ」

ウルフィリア 「……来たか」

エスカ 「なんだか味気ない反応ね」

ウルフィリア 「ふん。……それで、シャルル・ロベールの様子に変わりないか」

エスカ 「……ええ、なぜか最近、騎士団長とつながりができたみたいだけど、変わりないわ」

ウルフィリア 「そうか」

エスカ 「もう、そんなことより……」

(SE エスカがくるりと回る音)

エスカ 「どう? 何か、気づかない?」

ウルフィリア 「……香水?」

エスカ 「ぎりぎりで失格ね」

ウルフィリア 「は?」

エスカ 「女性がおめかししているというのに、何もないのかしら?」

ウルフィリア 「恋人のフリに、そんな甘いセリフは不要だ」

エスカ 「もう、せっかくの初デートなのに、気を利かせられないのかしら? 騎士様は」

ウルフィリア 「…………」

エスカ 「そんな騎士様に最大の温情を与えましょうか」

(SE エスカがウルフィリアの腕を抱く音)

エスカ 「私の恋人として、エスコートしてくださるかしら?」

ウルフィリア 「はぁ……」

エスカ 「さあ、行きましょう」

────────────

 パレトワール、劇場。

エスカ 「……なんであんな悲しい結末になってしまったのかしら?」

ウルフィリア 「悲劇だからな。もしあの2人が死ななかったら、もっと別の評価をされていただろう」

エスカ 「それでも、あの2人には幸せになってほしかったわ」

ウルフィリア 「……」

エスカ 「もう、そこは、俺たちは幸せになろう、って言うところでしょう?」

ウルフィリア 「……よくそんなクサいセリフを思いついたな」

エスカ 「……! もう!」

ウルフィリア 「ふ……」

エスカ 「ふふふ……!」

ウルフィリア 「な、なにがおかしい?」

エスカ 「え? だって、フィリップったら、楽しそうなんですもの」

ウルフィリア 「……!」

エスカ 「やっぱり素敵よ、その笑顔」

(SE ウルフィリアがそそくさと離れる音)

エスカ 「フィリップ?」

ウルフィリア 「……香水の材料、買いに行くんだろう?」

エスカ 「はーい」

 早足で先を行くウルフィリアの耳を見ると、ほんのりと赤くなっている。そんなウルフィリアを見て、エスカは愛おしそうに微笑んだ。



 パレトワールでの任務が進むにつれ、エスカと会う時間が増えていった。エスカとの恋人のフリについて、最初こそ押し切られるかたちではあったが、ウルフィリアはどこか満更でもない様子だった。できることなら、この任務が終わることなく続けばいい、と思うほどに……。

 ──────だが、それは突然やってきた。

 4年後、帝都、城。

バーナード 「ウルフィリア、アルトの遺跡で神降ろしの儀式を行う」

ウルフィリア 「アルトで、ですか? 確か計画では、アクエリス周辺の遺跡を使うと言っていましたが……?」

バーナード 「死神を降ろす。これは、対皇族用の切り札として運用するため、極秘事項として扱う」

ウルフィリア 「……ハミルトンも知らない、ということですね」

バーナード 「そして、この神降ろしで使用するかんなぎは、エスカ・ロベールだ」

ウルフィリア 「…………!!」

バーナード 「パレトワールでの監視任務を打ち切りにしなくてよかった、と言うべきか……、ウルフィリア?」

ウルフィリア 「……」

バーナード 「わかっているな?」

ウルフィリア 「…………はっ」

────────────

 パレトワールの任務に戻ったウルフィリアは、エスカに巫の話をできずにいた。神降ろしは、旧時代の魔法に適性のある巫の魂を代償にする。それによる魂への負担は並々ならぬものだろう、ということは魔法に疎いウルフィリアでも想像に難くない。そんな死刑宣告のようなことを伝えるべきか、伝えずに騙すか。

 騎士団長に拾われたあの日から、その身を任務に費やし、あの盗賊から救った少女に怯えたまなざしを向けられたあの日から、それが人の助けになることならばどんな汚いこともすると誓った。そんなウルフィリアが、エスカを巫として使うことに対して迷っている。これがもし、エスカ以外が巫に選ばれていたら、今回も任務に従っていただろう。だが──────

 ──────気づいてしまった。

 自分が、エスカを想っているということに。

 パレトワール、星の門広場。

エスカ 「フィリップ」

ウルフィリア 「エスカ……」

エスカ 「どうしたの? いつにも増して深刻な顔をしてるけど……」

ウルフィリア 「な、なんでもない」

エスカ 「なんでもないことないわよ。どうしたの?」

ウルフィリア 「だからなんでもないと言っているだろう!!」

エスカ 「……!」

ウルフィリア 「……すまない」

エスカ 「……珍しいわね、あなたがそんなに感情を表に出すなんて」

ウルフィリア 「…………」

エスカ 「当てましょうか?」

ウルフィリア 「……?」

エスカ 「騎士団長から、私を殺せって命令が出た……」

ウルフィリア 「……っ!」

エスカ 「ふふ、自分で言うと少し恥ずかしいわね」

ウルフィリア 「な、なぜそれを……?」

エスカ 「だって、私、あなたに会ったことがあるもの。って言っても、もう何年も前だけれどね。帝国騎士団隊長主席ウルフィリア・レインフォルスさん?」

ウルフィリア 「……そこまで知っていて、なぜ俺との関係を断たなかった?」

エスカ 「え? ふふふ……っ」

ウルフィリア 「な、なにがおかしい……?」

エスカ 「だって、そんな簡単なことを聞くんですもの」

ウルフィリア 「簡単なこと?」

エスカ 「ええ、簡単なことよ。だって私、あなたのことが好きなんだもの」

ウルフィリア 「……俺は、お前を騙していたんだぞ?」

エスカ 「そんなの、最初から知ってたわよ、フィリップ」

ウルフィリア 「俺は、この手で多くの人間を殺してきたんだぞ?」

エスカ 「それでも、私を殺すかどうか迷ってくれてるじゃない?」

ウルフィリア 「な、なぜそこまで……」

エスカ 「あなたのことが好きだからよ。理由なんて、それで充分じゃない?」

ウルフィリア 「……っ」

エスカ 「そうでしょう?」

ウルフィリア 「俺は……」

(SE エスカがウルフィリアを抱きしめる音)

エスカ 「……私、あなたになら、殺されてもいい」

ウルフィリア 「エスカ…………!」

エスカ 「フィリップ?」

ウルフィリア 「…………! だめだ、俺にお前は殺せない……」

エスカ 「どうして? だって、あなたはそうしないと、騎士団長に切り捨てられてしまうのでしょう?」

ウルフィリア 「そんなこと、お前のことが……」

(SE 当身の音)

エスカ 「うっ……!!」

ウルフィリア 「……!!」

バーナード 「……ご苦労だった、ウルフィリア」

ウルフィリア 「騎士団長……」

バーナード 「これより神降ろしの儀式を始める。アルトに向かうぞ」

ウルフィリア 「…………」

バーナード 「ウルフィリア?」

ウルフィリア 「…………はっ」

────────────

 歴史の町・アルト、遺跡最深部。

 とうとうここまで来てしまった。ウルフィリアは、エスカを護ると決意したはずだった。しかし、そんな決意は、バーナードを前に崩れ去ってしまった。バーナードが得意とする幻術により、ウルフィリアの心は支配されてしまったのだ。

ウルフィリア (俺は、このままでいいのか?)

ウルフィリア (このままエスカを見殺しにしてもいいのか!?)

エスカ(回想) 「──────それでも、あの2人には幸せになってほしかったわ」

エスカ(回想) 「──────もう、そこは、俺たちは幸せになろう、って言うところでしょう?」

エスカ(回想) 「あなたのことが好きだからよ。理由なんて、それで充分じゃない?」

ウルフィリア 「…………!!」

バーナード 「さあ、死神よ、この巫の魂を喰らい、現世に降臨するがいい!」

ウルフィリア 「バーナード!!」

バーナード 「……!! 幻術を自力で解いたのか……」

ウルフィリア 「エスカを死神の器にはさせない!!」

(SE 短刀を抜く音)

バーナード 「ウルフィリア、残念だ」

(SE 剣を抜く音)

バーナード 「──────烈風よ、吹き荒れろ」

(SE 暴風が巻き起こる音)

ウルフィリア 「ぐっ!」

(SE ウルフィリアが吹き飛ばされる音)

ウルフィリア 「……っ、まだだ!」

(SE 立ち上がる音)

ウルフィリア 「──────閃吼刃せんこうじん夜鷹よたか!」

(SE 短刀の一閃)×2回

バーナード 「くっ、さすがだな……。だが!」

(SE 火属性の魔力が迸る音)

バーナード 「──────地獄の炎よ、き尽くせ! 獄炎衝ごくえんしょう覇道はどう!」

(SE 剣を振るう音)(SE 激しい炎が襲い掛かる音)

ウルフィリア 「ぐああああああっ!!!」

(SE ウルフィリアが倒れる音)

バーナード 「……そこで見ているがいい」

ウルフィリア 「……エ、スカ」

バーナード 「さあ、死神よ、時間だ」

(SE 闇の魔力がにじみ出る音)

エスカ 「……あ、あああああああっ!!」

(SE 闇の魔力が吹き出る音)

バーナード 「くくく、はははははは!! 成功だ! やはり旧ハルモニア文明は、この地に死神を縛り付けていたか!」

ウルフィリア 「エスカ……!」

エスカ 「……っ」

バーナード 「巫の素養が高い故に、まだ意識はあるようだな……。ふむ、束縛は機能している。霊脈との接続も安定……、5、6年もすれば、死神として充分な役割を果たすだろう」

(SE バーナードが身をひるがえす音)

バーナード 「ウルフィリア、どうやらお前の役目もここまでのようだな。この10年、お前はよく働いてくれた。命までは取らないでおいてやろう」

(SE バーナードが立ち去る音)

ウルフィリア 「く、くそが……」

エスカ 「……ふ、フィリップ」

ウルフィリア 「エスカ!!」

(SE ウルフィリアがエスカに駆け寄る音)

エスカ 「そんな、泣きそうな顔をしないで……?」

ウルフィリア 「……エスカ、俺は……っ」

エスカ 「ふふ、あなたはなにも悪くないわ」

ウルフィリア 「だが……!」

エスカ 「もう、この話は終わりにしましょう? 楽しい話をしないと」

ウルフィリア 「……こんなときに? エスカ、お前は……」

エスカ 「貴族とか平民とか、そんな身分が関係ない世界でね?」

ウルフィリア 「……そんな世界、夢物語だな」

エスカ 「そう、夢。その世界で、旅をするの、私とフィリップの2人で……ううん、ヴァンも入れて2人と1羽ね」

ウルフィリア 「…………」

エスカ 「それで、色々な街を見るの。ホロロコリスに、アクエリス、帝都にも行きたい。そして、パレトワールに戻ってあなたと結婚するの。……っ」

ウルフィリア 「エスカ……!」

エスカ 「結婚したら、私はあなたが仕事から帰ってくるのを待ってるの。もちろんあたたかいごはんを作ってね。それで、あなたが少し遅く帰ってくることに怒ったり、同僚の人たちに料理をふるまって、良い奥さんなんて言われたりしてね……」

ウルフィリア 「ああ……」

エスカ 「……あ、子どもは2人欲しいな。上の子は、ちょっとだらしないお姉さんで、下の子は、しっかり者の弟。私は下の子と一緒に、そんなお姉ちゃんを叱るんだけど、フィリップは庇うの……」

ウルフィリア 「……ああ」

エスカ 「私はね、そんな幸せな家庭を築きたいの」

ウルフィリア 「…………」

エスカ 「……きっと、できるわよね?」

ウルフィリア 「当然だ……。俺たちで、幸せになろう」

エスカ 「ふふ、クサいセリフ……」

ウルフィリア 「ふ、そうだな」

エスカ 「あ、やっと笑った……」

ウルフィリア 「……ああ」

エスカ 「素敵よ、その笑顔」

(SE 闇の魔力が増す音)

エスカ 「く、うううっ」

ウルフィリア 「エスカ!」

エスカ 「ふふ、もうダメみたい……」

ウルフィリア 「…………!」

エスカ 「最期に、あなたと過ごせてよかった」

(SE エスカが闇の魔力に包まれる音)

ウルフィリア 「……! くそ、エスカを放せ!」

(SE 闇の魔力が増す音)

ウルフィリア 「くっ……、俺も飲み込まれるのか? ふ、それもいいか……、いつか観た、あの悲劇のように……」

エスカ 「だめ、あなたは生きて……!」

(SE ウルフィリアが突き飛ばされる音)

ウルフィリア 「……っ! エスカああああああ!!」

エスカ 「あなたには生きていてほしい! だから、逃げて!!」

(SE 死神が出現する音)

死神 「■■■■■■!!」

ウルフィリア 「エスカ……!」

(SE ウルフィリアが走り出す音)

ウルフィリア 「──────エスカ、俺も好きだった。ありがとう」



 それからしばらくして、エスカの葬式が執り行われた。エスカの死因について、騎士団内に存在する幻影ファントムとよばれる暗殺者に殺されたと噂されている。ウルフィリアは、エスカの葬儀には参列しなかった。

 パレトワール、星の門広場。

ウルフィリア 「…………」

シャルル 「フィリップくん、こんなところにいたのか」

ウルフィリア 「シャルルさん……」

シャルル 「娘の葬式に出ていなかったから、探したんだよ」

ウルフィリア 「それは……」

シャルル 「まあ、君に会いに行く途中で、殺されたというのだから、その気持ちは察するよ」

ウルフィリア 「…………それで、どうしたんですか?」

シャルル 「ああ、君に、これを……」

(SE 包みを取り出す音)

ウルフィリア 「これは……?」

シャルル 「娘、エスカから君に、と」

ウルフィリア 「……?」

(SE 包みを開ける音)

ウルフィリア 「……手紙と、これは香水とそのレシピまで……」

シャルル 「エスカは、どこかカンの鋭い子だったから、もしかしたら自分の死期を悟っていたのかもしれないね」

ウルフィリア 「……」

(SE 手紙を開く音)

エスカ(手紙) 『素敵な笑顔のあなたへ。これをあなたが読んでいるということは、私はもうこの世にいないと思います。私がこの手紙をしたためようと思ったのは、最近のあなたがどこか、気まずそうにしていたから。それは、あなたが騎士団から私を殺すように命令されて、それを私に伝えようかどうか迷ってくれていた証拠でもあると思うの。だから、どうか気に病まないで。あ、そうそう、あなたがウルフィリア・レインフォルスだと気づけたのは、実は私たち、子どもの頃に会っているのよ? 確か、貴族が集まる社交パーティだったわね。あなたはどこかつまらなさそうにしていて、私が話しかけたの。そのときは特に何もなかったけれど、今こうしてあなたと恋人同士(フリだけど)になれたことを考えると、もしかしたら運命の出会いだったのかしらね? でも、私は今のあなたが好きよ。貴族とか騎士とか関係ない。もちろん偽名でも関係ないわ。そうだ、この手紙と一緒に私が調香した香水を送ります。トップノートはローズマリー、ミドルノートは金木犀、ラストノートは当ててみて。もしできたら、答え合わせしましょう。あなたのことを誰よりも愛しているエスカより』

ウルフィリア 「……っ、エスカ……っ」

シャルル 「フィリップくん、娘を愛してくれてありがとう。きっと、エスカも天国で君を見ているよ」

ウルフィリア 「こちらこそ、手紙を届けていただいてありがとうございます」

シャルル 「……それで、君はこのあとどうするんだね?」

ウルフィリア 「……俺は、旅を続けようと思います。エスカの夢だから」

シャルル 「そうか。たまには、このパレトワールに戻ってきなさい。いつでも歓迎するよ?」

ウルフィリア 「ありがとうございます」

ヴァン 「キィー!!」

(SE 大きな鳥が降り立つ音)

ウルフィリア 「……ヴァン?」

シャルル 「どうやらヴァンは、君についていきたいようだね」

ウルフィリア 「そう、なのか?」

ヴァン 「キュイ!」

ウルフィリア 「そうか。なら、一緒に行こう」

ヴァン 「キュイー!!」



 4年後。帝都、城。

バーナード 「……あの騎士は?」

(SE 名簿をめくる音)

騎士 「はっ、平民出身のアーロン・ストライフです」

バーナード 「アーロン・ストライフ……」

騎士 「貴族出身の騎士とは、いつも揉めているようです」

バーナード (アーロン・ストライフか、あの魔力と身のこなしからして、どうやら巫の適性があるようだな)

バーナード 「ふむ、彼をローレンス小隊に配属させろ」

騎士 「はっ」

バーナード (……死神に施した術は機能していたが、万が一ということもある。スペアを用意しておくことに越したことはないだろう)



 エスカの死から4年の月日が流れた。ウルフィリアは、騎士団を辞め、名前を捨てた。フィリップ・ベルナルド、かつてエスカが「素敵な笑顔」と意味をつけた、そんな名を名乗っている。フィリップは、各地を旅しながら、騎士団の動向を探り、バーナードへの復讐の機会をうかがっていた。

 帝都、路地裏。

フィリップ 「……気配くらいは隠した方がいいんじゃないの?」

(SE 短刀に手をかける音)

セシル 「さすがは、ウルフィリア・レインフォルスだね」

フィリップ 「……さて、誰のことだろう?」

アレン 「おいおい、顔も割れてんだぜ?」

フィリップ 「何者だ……?」

アレン 「ま、弟からのおつかいってやつ?」

フィリップ 「おつかい?」

アレン 「おとなしくしてれば教えてやるよ」

フィリップ 「そう言われて、おとなしくするやつなんて──────」

(SE 時が止まる音)

フィリップ 「──────いな……、ぐっ……、なに、を……?」

(SE フィリップが倒れる音)

セシル 「相変わらず手荒だね、キミは」

アレン 「こうでもしないと、こいつは厄介だろう?」

セシル 「それもそうか」

アレン 「さて、こいつを運ぶか」

────────────

 帝都、城、アルトリウスの私室。

アレン 「アーサー、連れてきたぞ」

アルトリウス 「ご苦労様です、兄上」

フィリップ 「アルトリウス殿下までグルってこと……?」

アレン 「グル? いいや、違うな」

セシル 「むしろ彼が首謀者だ」

フィリップ 「いやいや、って言っても、まだ子どもでしょう?」

アルトリウス 「おや、12歳という若さで騎士団に入団し、その後たった5年で隊長主席になった貴方には言われたくありませんね」

フィリップ 「…………」

アルトリウス 「まあ、それは置いておいて、貴方をここに呼ばせてもらった理由を話しましょうか」

フィリップ 「呼ばれたにしては、荒々しかったけどね」

アルトリウス 「ウルフィリア、いえ、フィリップさん、騎士団長の目論見を阻止するのを手伝っていただけませんか?」

フィリップ 「なんだって……?」

アルトリウス 「もちろん、成功した暁には、貴方が一番望むもの……、そうですね、4年前に亡くなったエスカ・ロベールさんを生き返らせましょう」

フィリップ 「馬鹿にしてるのか?」

アルトリウス 「いえ、いたって真面目ですよ」

フィリップ 「…………」

アルトリウス 「ボクは皇帝になり、調律の剣シュティムングビーベルと皇帝の威光を揃え、新世界を創造するんです。そこは、すべてがうまくいった世界。貴方の運命を変えることも可能なんですよ」

フィリップ 「そんなこと……」

アルトリウス 「できるはずがない? それが、できてしまうんですよ」

フィリップ 「…………」

アルトリウス 「皇族が、固有魔法をもっていることはご存知ですね? ボクの固有魔法は、時間遡行と理想の現実化です」

フィリップ 「そんな凄そうな魔法を持ってるんだったら、こんな下民の男と組む必要ないんじゃない?」

アルトリウス 「ボクの魔法は、強力過ぎるが故に、発動条件に難ありでしてね。時間遡行は、命が尽きないと発動しませんし、理想の現実化は、消費魔力が多すぎて一度使うだけで時間遡行が発動してしまいます」

フィリップ 「……」

アレン 「まあ、嘘臭く聞こえるけど、本当のことだぜ?」

アルトリウス 「それに、貴方と組むのは、今回が初めてですよ。前回ようやく、貴方がバーナードを殺す最後のピースだと気づいたんです」

フィリップ 「なに……?」

アルトリウス 「復讐、したいんですよね?」

フィリップ 「……」

アルトリウス 「皇帝になるには、バーナードという壁がどうしても立ちはだかるんです」

フィリップ 「利害は一致してる、って言いたい?」

アルトリウス 「まあ、そういうことです。皇帝になりさえすれば、魔力の問題は解決されます。ここはどうしても、貴方に協力して頂きたい」

フィリップ 「……わかった。すべてがうまくいった世界に関しては、俺も興味がないわけじゃない。協力しよう」

アルトリウス 「ありがとうございます」

フィリップ 「それで、俺は何をすればいい?」

アルトリウス 「貴方には、幻想ファントムのノウハウを活かして、密偵をやってもらいます。そしてバーナードが神降ろしの計画を実行に移す6年後に──────」



 そして6年後。つまり、フィリップがアリアたちと出会う年。

フィリップ 「悪いな、ヴァン。計画とはいえ、お前にこんな傷を負わせちゃって」

ヴァン 「キュゥウ」

フィリップ 「でも、この辺にアリアっていう魔法使いがいるらしいから、少し我慢してくれよ?」

ヴァン 「キュイ……!」

フィリップ 「お、あそこかな?」

(SE 扉の開閉音)

フィリップ 「魔法使いの店ってのは、ここかい?」

────────────

 その後、魔法使い一行と行動をともにしながら、フィリップは一行の動向をアルトリウスに伝えていた。

 世界樹事変が起こった日の夜。フィリップは、アルトリウスへの報告を終え、ひとり帝都の薄暗い路地を歩いていた。

フィリップ 「まさか、青年が死神の力を持っていたなんてね」

フィリップ 「これも、運命ってやつなのかな?」

フィリップ 「……さて、あのアレキサンダー殿下が起こすっていう世界樹事変も当たったわけだけど、アルトリウス殿下の力はやはり本物か」

フィリップ 「……すべてがうまくいった世界。そこだったら、エスカの夢も叶うかな?」

 アルトリウスの提案する新世界。愛を教えてくれた者を失ったフィリップにとって、非常に魅力的な提案だ。しかし、心の内では本当にそれでいいのか、と一抹の不安を抱えていた。エスカの夢は、この世界に生きる人々を犠牲にして叶えるものだっただろうか、と。そう思うのは、アルトリウスが協力関係にあるフィリップに対して隠しごとが多いからだ。

 ソフィーが元皇女であること、マルシアス皇帝が病死ではなく暗殺されたこと、アーロン・ストライフに死神の力が宿っていること。

 これらは、フィリップが魔法使い一行に潜入するうえで必要な情報だった。

────────────

 バーナードとの決着がつき、帝都に戻ったフィリップは、アルトリウスに呼び出されていた。

アルトリウス 「フィリップさん、よくやってくれました」

フィリップ 「本当に、俺がバーナードを殺すことになるなんて思わなかった」

アルトリウス 「言った通りでしょう? 貴方が、バーナードを殺す最後のピースになる、と。今までは、アリアさんが殺しきれなかったために、ボクの計画は阻止されてきました」

アレン 「……ウルフィリア、ホロロコリスで会ったときに思ったんだけど、あいつらに情が移ったりしてねえよな?」

フィリップ 「まあ、気に入ってることは否定しないよ。だけど、任務は任務、ちゃんと仕事はするさ」

セシル 「そうだといいんだけどね」

アルトリウス 「では、最後の仕事を頼みましょうか」

────────────

 そして、フィリップとアーロンの一戦が終わり、こと切れる寸前の逡巡。

フィリップ 「……やっぱり、エスカはこんなこと、望んでいないんだろうな……」

フィリップ 「青年の死神の力は、弱くはなっていたけど、まだ残っていた。アルトリウスを止められるのは、アーロンだけ、か」

フィリップ 「アーロン、あとは頼んだ。今まで、ごめんね」

フィリップ 「──────そういえば、エスカからもらった香水、ラストノートは結局わからなかったな……」

(SE フィリップが塵となって消える音)

つづく
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