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第2話
しおりを挟む「なるほど、そういうことか......」
お父様はステーキにナイフを入れながら、そう言って納得したように頷きました。
婚約破棄されたと言って実家に帰ってきた時は、事態が飲み込めず半狂乱になっていた両親でしたが、事情を話しているうちに落ち着いてきたようです。
まぁ、両親は赤ん坊の頃から私をずっと見ているわけで、例の文書の内容が嘘っぱちであることは、誰よりもわかっています。
「まったく、ミシェルときたら......。どれだけ私たちに迷惑をかければ気が済むのだ」
「あら、クインシーの坊っちゃんも坊っちゃんよ。あの子に乗せられたとはいえ、サラにひどい中傷を」
両親はもう私のことなど心配していないようで、好き勝手に悪口を言っている。
「それで、お父様。私はこれからどうすれば」
「そうだな、クインシーの家からの荷物の引き揚げは私が手配しておこう。うーん......サラ、ブラッドの所の息子に興味はないか?今ならミシェルにも邪魔されんだろうし、あちらの家なら安心して任せられる」
「ブラッド殿下ですか?」
その名前で思い出すのは、小さい頃よく遊んだ二歳年下の男の子の顔だ。
私たちの交流は早くに途絶えたが、ブラッド家とエースワット家は古くからずっと親しいままだ。
私と彼が結婚しても、エースワット家の利益には 特にならないのでは。
そう伝えると、お父様はにやりと笑った。
「なあに、心配はいらん。クインシーのとこがサラを捨ててミシェルと婚約した時点で、うちはあいつの弱みを握ったも同然だからな」
なるほど、それもそうですね。
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