ソナチネ

透子

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第三章

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「ごめん、明日、突然パート変わって欲しいって連絡がきたんだけど、いいかな?」

寝る前、寝室で夫に嘘の予定を話した。

「ああ、パートだったら仕方ないだろ。」

「ごめんね。さくらのこと、お願い。」

「ああ、分かった。」

夫は特に私の嘘を疑うことはなかった。私もこんなにすらすらと嘘を話せる自分に驚いた。

布団に潜り、目を閉じる。

けれど、なかなか眠れない。

眠れない原因は、夫やさくらに対しての罪悪感からではない。明日、葵くんに会えることへのワクワクからだ。

私はなんて酷い女なのだろう。隣で背を向けて眠る夫を見る。私はきっと、もう二度と、この人の背中に体を寄せることはないだろう。

そう思いながら、もう一度、目を閉じる。

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