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甲斐と結ばれてからすぐ、オレと甲斐はラブラブ同棲生活を始めた。
治安が悪い上に狭いアパートに甲斐をひとりきりにしたくなかったので、即日引っ越し手続きを部下にさせた。
そのまま家のモノ全部を引っ越し先、つまりオレの自宅のマンションに移動させた。世間で言う最高級タワーマンションらしいが、甲斐と不便なく暮らせるならどこでも構わない。
勿論、一年以内には結婚をしようと約束もしあった。甲斐の左手の薬指にはオレが送ったダイヤのリングが輝いている。
それを時々眺めては嬉しげに微笑む甲斐が愛らしかった。
「も……直のバカ。また思いっきり中出ししてくれたな……」
陰部の違和感を感じて甲斐はこちらを睨む。
「我慢できなかった。許せ」
そう言いながらオレは悪びれもなく甲斐にキスを送る。
「っ……我慢できなかった、許せ。じゃないだろ。妊娠しちゃうじゃんか。まだ結婚してないのに。妊娠したら仕事途中で辞めなきゃだし」
「もう結婚したようなものだろ。オレ的に甲斐は専業主婦になってほしいんだけど。甲斐にもやりたい事があるのはわかるんだけど、でも家に帰ってきて可愛い奥さんがお帰りって言ってくれるのが好きだから」
「直……でも俺は体を動かすの好きだから働きたいんだけど」
「午前中だけのパートとかならいいよ」
「午前中だけって……」
甲斐は働く気だったらしい。ったく、オレが全部(料理と家事以外)面倒見るのに頑張り屋すぎるんだよ。あと甲斐が仕事をすると悪い虫がつかないか心配なのもある。できれば家にいてほしい。
「甲斐と少しでも離れたくないから家にいろよ」
「直……」
「休みの日とかずっと一緒に過ごしたいから。イチャイチャしたいんだ」
そうして寂しげにおねだり攻撃をすれば、甲斐は大体は折れてくれる。
オレの寂しがり屋で依存心が強い性格をとてもわかっているから。前世で悲しい思いをさせた分もっともっと一緒にいたい欲求を甲斐に訴える。
「……じゃあ、赤ちゃんできたら……ちゃんと父親になってくれる?」
甲斐が恥ずかしげに訊ねる。なにこれ。可愛いすぎなんだけど。
「っ、愚問だよ。父親としてもお前の夫としてもちゃんといい旦那様でいてやる。オレと甲斐の子供だから絶対可愛い」
「そうなったら、直に似た子がいい」
「オレは甲斐に似た女の子がいい」
「はは。もし女の子だと嫁にやらんとかいいそう」
「そりゃあ言うだろ。甲斐とオレの子供だからな。まあ、男だろうが女だろうが嬉しい事には変わりないよ」
「直……そこまで言うならパート主婦でいいよ」
オレのために仕事をセーブしてくれる甲斐。優しくて可愛い空気の読める嫁に嬉しくなる。
「あーマジ好き」
「俺も……好き」
*
「その後の経過を知りたい」
オレは反社の者と秘密裏に電話で話していた。
甲斐を傷つけた一味が、この先ものうのうと生きていくのを黙って見ているほどお人好しではない。甲斐が許してもオレは許さない。
あの糞妹婚約者はもちろんの事、糞親子には徹底的に地獄を見せてやると決めたのだ。
『新薬の実験台に丁度いいモルモットが手に入ったと先方は喜んでおりました』
「……そうか。その後の処理は頼む。先方には金を多めに包ませておけよ」
『畏まりました』
糞両親と糞を闇に葬る。
表向きは事故に見せかけて亡くなった事にするが、裏では新薬の実験台になってもらった。
糞は薬漬けの廃人となり、裏ルートでしか販売できない裏AVに出て稼いでいるとの事。元々がビッチだから快楽には従順らしく、使い物にならないくらい壊されて捨てられる末路だろう。その後は臓器売買ルートだな。
治安が悪い上に狭いアパートに甲斐をひとりきりにしたくなかったので、即日引っ越し手続きを部下にさせた。
そのまま家のモノ全部を引っ越し先、つまりオレの自宅のマンションに移動させた。世間で言う最高級タワーマンションらしいが、甲斐と不便なく暮らせるならどこでも構わない。
勿論、一年以内には結婚をしようと約束もしあった。甲斐の左手の薬指にはオレが送ったダイヤのリングが輝いている。
それを時々眺めては嬉しげに微笑む甲斐が愛らしかった。
「も……直のバカ。また思いっきり中出ししてくれたな……」
陰部の違和感を感じて甲斐はこちらを睨む。
「我慢できなかった。許せ」
そう言いながらオレは悪びれもなく甲斐にキスを送る。
「っ……我慢できなかった、許せ。じゃないだろ。妊娠しちゃうじゃんか。まだ結婚してないのに。妊娠したら仕事途中で辞めなきゃだし」
「もう結婚したようなものだろ。オレ的に甲斐は専業主婦になってほしいんだけど。甲斐にもやりたい事があるのはわかるんだけど、でも家に帰ってきて可愛い奥さんがお帰りって言ってくれるのが好きだから」
「直……でも俺は体を動かすの好きだから働きたいんだけど」
「午前中だけのパートとかならいいよ」
「午前中だけって……」
甲斐は働く気だったらしい。ったく、オレが全部(料理と家事以外)面倒見るのに頑張り屋すぎるんだよ。あと甲斐が仕事をすると悪い虫がつかないか心配なのもある。できれば家にいてほしい。
「甲斐と少しでも離れたくないから家にいろよ」
「直……」
「休みの日とかずっと一緒に過ごしたいから。イチャイチャしたいんだ」
そうして寂しげにおねだり攻撃をすれば、甲斐は大体は折れてくれる。
オレの寂しがり屋で依存心が強い性格をとてもわかっているから。前世で悲しい思いをさせた分もっともっと一緒にいたい欲求を甲斐に訴える。
「……じゃあ、赤ちゃんできたら……ちゃんと父親になってくれる?」
甲斐が恥ずかしげに訊ねる。なにこれ。可愛いすぎなんだけど。
「っ、愚問だよ。父親としてもお前の夫としてもちゃんといい旦那様でいてやる。オレと甲斐の子供だから絶対可愛い」
「そうなったら、直に似た子がいい」
「オレは甲斐に似た女の子がいい」
「はは。もし女の子だと嫁にやらんとかいいそう」
「そりゃあ言うだろ。甲斐とオレの子供だからな。まあ、男だろうが女だろうが嬉しい事には変わりないよ」
「直……そこまで言うならパート主婦でいいよ」
オレのために仕事をセーブしてくれる甲斐。優しくて可愛い空気の読める嫁に嬉しくなる。
「あーマジ好き」
「俺も……好き」
*
「その後の経過を知りたい」
オレは反社の者と秘密裏に電話で話していた。
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あの糞妹婚約者はもちろんの事、糞親子には徹底的に地獄を見せてやると決めたのだ。
『新薬の実験台に丁度いいモルモットが手に入ったと先方は喜んでおりました』
「……そうか。その後の処理は頼む。先方には金を多めに包ませておけよ」
『畏まりました』
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表向きは事故に見せかけて亡くなった事にするが、裏では新薬の実験台になってもらった。
糞は薬漬けの廃人となり、裏ルートでしか販売できない裏AVに出て稼いでいるとの事。元々がビッチだから快楽には従順らしく、使い物にならないくらい壊されて捨てられる末路だろう。その後は臓器売買ルートだな。
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