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71.不法入国
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「せっかくアカシャにきたのにぃっ。なんで私を捕縛するのっ!私悪い事してないもんっ!ぷんぷん!」
まさかのリリアがいた。なぜかこのアカシャに。
「お前は通行証と身分証の提示なしでこの国に不正入国した。だから捕縛するのは当たり前だろう」
国境警備隊の上役としてトマスまでいる。リリアと遭遇して機嫌はよくなさそうだ。
「だってそんなの必要だなんて知らなかったんだもんっ。ねえ、みんな?」
どこから雇って来たのかガラの悪い男共は全員リリアに同調している。見るからにたちが悪そうで胡散臭そうだ。
おそらく、道中に色仕掛けで誘惑して仲間にした取り巻き達だろう。中には犯罪臭が漂う見た目の男もいて、この国の指名手配犯も中にいるんじゃないだろうか。
「見るからに怪しい奴らばっかじゃないの。類は友を呼ぶって言うしな。お前を筆頭に全部怪しい」
「リリア怪しくないもん!恋する乙女なんだからっ!」
「あーうるせえ!恋する乙女とか関係ねぇだろバカか!」
よりにもよってこんな奴らが国に不法入国とはトマスも頭が痛いだろう。身元が不確かな不法入国者達に、入国管理局の連中も頭を抱えている。
「この男の子達がぁ、私の力になってくれるって言うんだもんっ!みんないい人達なんだからっ」
そりゃあお前にとってはな。と、全員が心の中で突っ込む。
災い恐れて国外追放処分にしたと聞いていたが、まさかこのアカシャにまでこうして来るなんて嫌なものに執着されてしまった。おかしな連中まで国に入れられてしまい、本当にトラブルしか起こさない女である。もはやトラブルメーカーの粋を超えているのではないか。
「チッ……国外追放だけとは逃げたな……ヴァユ王め」
よくも厄介者をこちらに押し付けてくれたものだとヴァユ王を罵りたいメル。この女と他いろいろに対する仕事が増えてしまって、せっかくのデートもこれでお預けになりそうだ。
(すべてあのバカ女のせいではないか)
パスカルにとってもメルにとっても、あのバカヒロインとはいずれ対峙する事になっていただろうが、こう早くも再会しそうになるなんてツイてなさすぎる。前世ではロクな女と出会った事がなく、元嫁に殺され、今生ではこの女に執着され、女運はよくないらしい。
リリアといい、元嫁といい、この手の女の呪いにでもかかっているんじゃなかろうか。
そう思ったメルであった。
「てことでぇ、リリアは~ただ愛する人に逢いに来ただけなんだから許してほしいな。えへへ」
うるうる目の上目遣いでトマスを見上げる。普通のバカな男はこれで落ちるのだろう。野次馬根性で見ていた男の町人達は頬を赤らめてリリアに見惚れている。
「そんなキモイぴえん顔してんじゃねーよ。バカだろてめえ」
当然ながらトマスに効くはずがない。ヒロインのサイコパスぶりはトマスも知っているので、一気に吐きそうな顔をして扱き下ろす。
「バカとはひどぉおおい!ひどぉおおい!私はたしかにお馬鹿だけどキモイとかひどいよっ!」
「あー甲高い声で喚くなうるせえ。お前自分の立場わかってんの?国外追放されたらしいけどそんな奴が不法入国とはいい度胸してんな。しかも変な奴らをいつの間にか仲間にしやがって。とりあえず話は憲兵詰所で聞いてあげる」
「あんっ!だからぁ~私悪い事してないって言ってるもん!ただ、愛するメルキオール君に逢いにこのアカシャに来ただけなのにっ!それに通行証いるなんて教えてくれないのが悪いんだからぁっ」
「国外追放された女に教えるバカがいると思う?つーかメルキオール様をお前如きが気安く呼ぶんじゃねーよ!メルキオール様が穢れるっつうの!」
「きゃんっ。みんな助けてっ!この人が怖い顔して睨んでくるのぉっ!」
うるうる目がさらにうるうるになって同情を引こうとするリリア。取り巻き共がいきり立って怒り出した。
「おい!リリアたんに何してくれちゃってんだよ!」
「リリアたんが怖がってるだろぉ!」
この男共は洗脳完了済みのようで、すっかりリリアの使い魔に成り下がっているようだ。オタサーの姫のような立場は相変わらずである。悪意のない天然もここまでくるとリリアという存在を作った製作者を恨みたくなってくる。もはや元凶そのものとしか思えない。
「うわ、仲間まで洗脳完了かよ。オタサーの姫気取りマジキモイんだけど」
「おたさーのひめ?なにそれ。お姫様って言われて嬉しいな」
斜め上に捉えているらしい。
「阿保か。バカな男共にチヤホヤされて喜んでるバカな女って意味だよバカ姫!とにかく詰所に来てもらうからな!」
「きゃっ、やだぁっ!メルキオール君に逢うまでは捕まりたくないのにぃっ!やぁあんっ!」
「何がいやぁん、だ。きめえ声出すな恥ずかしい。不法入国っていう犯罪犯したんだから捕まれや」
トマスが捕縛するよう部下に命令を出すと、その前に第三勢力のガラの悪い連中が躍り出てトマス達に大きめの石を投げつけてきた。
「うわ!」
「いってぇ!」
いきなりだったので避ける事も出来ずに部下達に被弾する。トマスも肩に大き目な石が被弾したので痛そうだ。
まさかのリリアがいた。なぜかこのアカシャに。
「お前は通行証と身分証の提示なしでこの国に不正入国した。だから捕縛するのは当たり前だろう」
国境警備隊の上役としてトマスまでいる。リリアと遭遇して機嫌はよくなさそうだ。
「だってそんなの必要だなんて知らなかったんだもんっ。ねえ、みんな?」
どこから雇って来たのかガラの悪い男共は全員リリアに同調している。見るからにたちが悪そうで胡散臭そうだ。
おそらく、道中に色仕掛けで誘惑して仲間にした取り巻き達だろう。中には犯罪臭が漂う見た目の男もいて、この国の指名手配犯も中にいるんじゃないだろうか。
「見るからに怪しい奴らばっかじゃないの。類は友を呼ぶって言うしな。お前を筆頭に全部怪しい」
「リリア怪しくないもん!恋する乙女なんだからっ!」
「あーうるせえ!恋する乙女とか関係ねぇだろバカか!」
よりにもよってこんな奴らが国に不法入国とはトマスも頭が痛いだろう。身元が不確かな不法入国者達に、入国管理局の連中も頭を抱えている。
「この男の子達がぁ、私の力になってくれるって言うんだもんっ!みんないい人達なんだからっ」
そりゃあお前にとってはな。と、全員が心の中で突っ込む。
災い恐れて国外追放処分にしたと聞いていたが、まさかこのアカシャにまでこうして来るなんて嫌なものに執着されてしまった。おかしな連中まで国に入れられてしまい、本当にトラブルしか起こさない女である。もはやトラブルメーカーの粋を超えているのではないか。
「チッ……国外追放だけとは逃げたな……ヴァユ王め」
よくも厄介者をこちらに押し付けてくれたものだとヴァユ王を罵りたいメル。この女と他いろいろに対する仕事が増えてしまって、せっかくのデートもこれでお預けになりそうだ。
(すべてあのバカ女のせいではないか)
パスカルにとってもメルにとっても、あのバカヒロインとはいずれ対峙する事になっていただろうが、こう早くも再会しそうになるなんてツイてなさすぎる。前世ではロクな女と出会った事がなく、元嫁に殺され、今生ではこの女に執着され、女運はよくないらしい。
リリアといい、元嫁といい、この手の女の呪いにでもかかっているんじゃなかろうか。
そう思ったメルであった。
「てことでぇ、リリアは~ただ愛する人に逢いに来ただけなんだから許してほしいな。えへへ」
うるうる目の上目遣いでトマスを見上げる。普通のバカな男はこれで落ちるのだろう。野次馬根性で見ていた男の町人達は頬を赤らめてリリアに見惚れている。
「そんなキモイぴえん顔してんじゃねーよ。バカだろてめえ」
当然ながらトマスに効くはずがない。ヒロインのサイコパスぶりはトマスも知っているので、一気に吐きそうな顔をして扱き下ろす。
「バカとはひどぉおおい!ひどぉおおい!私はたしかにお馬鹿だけどキモイとかひどいよっ!」
「あー甲高い声で喚くなうるせえ。お前自分の立場わかってんの?国外追放されたらしいけどそんな奴が不法入国とはいい度胸してんな。しかも変な奴らをいつの間にか仲間にしやがって。とりあえず話は憲兵詰所で聞いてあげる」
「あんっ!だからぁ~私悪い事してないって言ってるもん!ただ、愛するメルキオール君に逢いにこのアカシャに来ただけなのにっ!それに通行証いるなんて教えてくれないのが悪いんだからぁっ」
「国外追放された女に教えるバカがいると思う?つーかメルキオール様をお前如きが気安く呼ぶんじゃねーよ!メルキオール様が穢れるっつうの!」
「きゃんっ。みんな助けてっ!この人が怖い顔して睨んでくるのぉっ!」
うるうる目がさらにうるうるになって同情を引こうとするリリア。取り巻き共がいきり立って怒り出した。
「おい!リリアたんに何してくれちゃってんだよ!」
「リリアたんが怖がってるだろぉ!」
この男共は洗脳完了済みのようで、すっかりリリアの使い魔に成り下がっているようだ。オタサーの姫のような立場は相変わらずである。悪意のない天然もここまでくるとリリアという存在を作った製作者を恨みたくなってくる。もはや元凶そのものとしか思えない。
「うわ、仲間まで洗脳完了かよ。オタサーの姫気取りマジキモイんだけど」
「おたさーのひめ?なにそれ。お姫様って言われて嬉しいな」
斜め上に捉えているらしい。
「阿保か。バカな男共にチヤホヤされて喜んでるバカな女って意味だよバカ姫!とにかく詰所に来てもらうからな!」
「きゃっ、やだぁっ!メルキオール君に逢うまでは捕まりたくないのにぃっ!やぁあんっ!」
「何がいやぁん、だ。きめえ声出すな恥ずかしい。不法入国っていう犯罪犯したんだから捕まれや」
トマスが捕縛するよう部下に命令を出すと、その前に第三勢力のガラの悪い連中が躍り出てトマス達に大きめの石を投げつけてきた。
「うわ!」
「いってぇ!」
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