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84.無我夢中(2)※

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 続けて、メルが舌でちろちろと突起を愛でながら転がす。もう片方も指で強弱をつけて撫でまわしながら。

「んやぁ、める」

 二つの突起が指の腹と舌使いで可愛がられて、先ほどの長くて濃厚なキスもあってかお互いの芯は完全に隆起していた。パスカルは裸であったからほとんど先走りが垂れ流しだったし、メルに至っては下着を脱ぐまではずっと下半身の窮屈さを我慢し続けていたのだ。驚くほど濡れている双方の尾にドキドキして、先端からだらだらと蜜を溢れせているそれを互いに腰を動かし合って竿を擦り付け合った。

「は……パスカルの、いっぱい出てるね……かわいい……」
「っぁ、は……めるの、だって……あつくて、どくどく……してる……」

 それをメルが自らの陰茎とパスカルの陰茎とを握り込み、同時に上下に擦る。先走りの蜜を潤滑に利用して擦る度にパスカルが甲高い声で喘いだ。

「っ、あぁ、ぅあ」
「ぱす、かる……!」

 パスカルの前世は童貞だったし、先ほどのひどい強姦未遂は不快だったが、これはこの後が末恐ろしいほど気持ちがいいと震えが止まらない。こんな気持ちのいい事なんて感じたことがない。うっとりしてしまう。これが番同士のふれあいだから?

 そう思う程、あっという間にパスカルはメルの手淫で精を放った。その少し後にもメルもびゅっと吐き出す。当然ながら、それだけでヒートの衝動は止まらないどころか、さらなる欲求が募った。

 くたりと少し力の抜けたパスカルの足をもっと開かせて、メルは股間に顔を埋めてきた。

「っあ、あぅっ、やぁあ!」

 さすがにこの体勢は恥ずかしい。やめてほしい。だけど気持ちいい衝動も欲しい。触ってほしい。

 自分の尾を貪ろうとするメルに羞恥心の悲鳴をあげて、メルの髪や頭を掴んで弱弱しい抵抗を見せるが、躊躇いもなくメルは先端から竿にかけて舐めたりちゅうちゅうと吸ったり、パスカルの分身を丹念に可愛がる。

「っは……舐めても舐めてもいっぱい蜜が出て来ちゃうね……可愛いなぁ、パスカルのちんこ。こんなにも涎を垂らして嬉しそうだよ」

 意地悪な事を言いながらパスカルの陰茎を舌で弄ぶ。アイスを舐めるみたいに。

「っはぅ…あ、あっ、ん」

 自らの分身を可愛がられている光景になんと言ったらいいかわからない。だけど、メルの舌使いと吐息が当たる感覚を肌で感じ、こうして舌を通して可愛がられている感覚に胸がきゅうっと締め付けられる。恥ずかしいけれど気持ちよくて、ドキドキして、心が満たされていく。あんな場所すら愛してくれている。

「っは、ぁああっ」

 メルの舌が強く先端を擦った瞬間、喉奥にパスカルの白濁が広がった。

 精液など苦くて独特な異臭を放つものだと思っていたが、運命の番の蜜はその匂いも苦さも味覚が変わったのではないかと思う程甘くて、その匂いすら癖になってしまう。番効果は絶大だった。

「甘いね……。精液がこんなに甘く思えるなんて運命の番効果ってすごいよね」
「そう、なの……?甘い、の?」
「うん、甘いよ。パスカルのみるく。パスカルも飲んでみる?オレの」

 そうして自らの尾を目の前に差し出すと、パスカルは四つん這いになって流されるようにそれをそっと銜えた。大きくて質量がある。銜え込むのが大変だ。だけど、全然嫌とは思わない。むしろ逆だった。

「は、んぅ、んれろ……」
「っ……美味しい?」
「ん。ぅ……んちゅ、れろ」

 丹念に自分の尾を愛でてくれる可愛い存在にクラクラする。ヒートじゃなくてもこれはとても興奮する。気持ちいい上に四つん這いのパスカルがとても艶めかしい。動くたびに尻や自分より小さい性器が揺れてたまらない。

「可愛い、パスカル……。一生懸命に銜えて」
「んぅ……める……おちんちん……きもち、いい……?」
「ん……気持ちいいよ。可愛いパスカルが頑張って……舌とお口を動かしてる姿でさえ興奮できちゃうくらい……気持ちいい」

 うっとりするメルを見てさらに喉奥まで入れて貪った。舌先で先端をつついたり、竿や睾の方も念入りに舌を使ってメルをさらに満足させようとする。

「っ……出すよ、パスカル」
「んぅっ……!」
 
 絶頂する寸前にメルがそう言ったので口で受け止める。どくりと熱くてとろりとした液体が口の中に広がる。独特な匂いと味がすると身構えていたが、そうでもなかった。むしろ、その匂いも味も真逆だった。メルの言った通りだ。

 すごく甘い……。ミルクみたい……。

 本当にミルクみたいで美味しいと思えてしまうから不思議だった。精液なんて生臭くて好き嫌いが分かれる匂いと味だと聞く。前世は彼女いない歴年齢だったし、精液なんて気持ち悪くて飲みたいとも思わなかったけれど、メルのものなら嫌とは思わない。むしろ、実際に体験してみると考えが変わる。

「ほら、甘いでしょ?」
「うん……甘い」

 ぺろりと口周りを舐める。その甘さを共有したくて、メルから唇を重ねてきた。歯列を割り、奥に隠れていた舌先を擦りあったりつつきあったりして、貪るように味わう。

「は、っ、ぁ、んふ」

 精液が甘い。お互いの口の中も甘い。気持ちいい。柔らかい。いい匂い。

 腰の奥がきゅうっと疼く。すればするほど味が染みわたるように、キスも求めれば求めるほど甘くて蕩けそうだった。あまりにも濃厚に求めすぎて、酸欠になりかけているパスカルに気づいてやっと放すと、銀糸が互いの口から引いた。

 今のキスで互いに萎えていた尾はすっかり隆起していて、互いの腹や太ももに当たって主張している。
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