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第一章『呪われた忌み子』
9.呪いへの叛逆
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「ふはははは! 平民ども! 俺との身分の差を思い知れ! 敢えてスピードは遅めにしてやる!」
「なぁ、アーシェ。どうする? あれ」
「どうするって、どうしようもできないでしょう?」
ゆっくりと迫りくる隕石を指さして、アレスは私にどうにかしろというような視線を送る。
完全にあのエリート様を怒らせたせいか、容赦なく力の差を見せつけられた。
術式のスピードが遅いのは私たちに絶望を味わわせたいからだろう。いい趣味をしているわね……。
「いや、あの爺さんが教えられたこと全部出せって言っていただろう? アーシェの氷属性の魔法。めちゃめちゃ凄くなっているんじゃないかなって」
「ああ、そういえば言っていたような……。凍らせてもいい屋敷はないかっていう冗談」
普通なら老人の戯言だと聞き流すような冗談。
でも、歴史に残る英雄たちの師匠であり世界中の要人たちから尊敬されている大賢者の言葉なら別だ。
氷系統の魔法。唯一、そのまま邪魔されずに使うことができるから好んで使っていた得意な魔法ではあるけど、威力はもちろん巨大隕石とは比較にならないくらい弱い。
でも、この“属性の限界突破”とやらの影響で威力が本当に上がっているのだとすれば、ちょっとくらいは対抗できるかもしれない。
「氷結の槍……! お、重い!?」
白く輝く氷の右腕を掲げて、私は最も得意な氷系統の魔法を使う。
右腕にズンッと重くのしかかる負荷が思った以上で、私は思わず膝をつきそうになった。
「すげーな、アーシェ。あのデカイのに全然負けてないぞ」
「そう? 上を見る余裕がないからよく分からないけど。それなら希望はあるわね」
汗が滴り落ちる。全部の魔力が持っていかれそうだ。
本能で感じ取った。これを外せば確実に負ける、と。
目を向けるのはあの巨大隕石のみ。あれを打ち砕いて、そうしたら……。
「あなたが決めてくれんでしょうね?」
「ああ、任せておけ。作戦はある……!」
任せろときたか。あなたはずっと前向きなのね。
それなら信じるわ。時間もあまりないし、躊躇っていられない。あとは任せたわよ。
「穿て! 氷の槍よ!」
最後の魔力を振り絞って槍を放つ。
へぇ、本当ね。確かにあの隕石に負けていない大きさかもしれないわ。
……って、なんでアレスが私の氷の槍の上に乗っているの?
「なっ!? 平民! なぜ、俺のところまで上がってくる! ぐ、巨大隕石は!? ば、バカな!」
巨大隕石は氷結の槍によって粉々に砕け散り、周囲の温度が急激に下がる。
まるで冬が来たみたいに寒いわね。これは私の魔法の影響?
「よそ見してんじゃねぇ!」
「うるさい! 地に落ちよ! 平民!」
氷結の槍に乗って空へと向かったアレスは巨大隕石との衝突の瞬間にジャンプして、カインを上から殴ろうと右手を燃やす。
「炎剣ッ!」
「ぬぅぅぅぅっ! この馬鹿力めぇ!」
殴らずに刃状に腕の形状を変化させた!?
カインもまさか自分の剣がアレスの刃状に変化した炎に受け止められるとは思っていなかったのだろう。そのまま成す術もなく押されたまま落下する。
「あっ! そこ、場外……」
ということは、カインが先に場外に落ちたから勝ったのは……。
「そこまで! 勝者はアーシェさん、アレスくんペア!」
いつの間にか審判員みたいなポジションを担っていたクラウスさんが私たちの勝利を宣言する。
まさか二人がかりとはいえ、神童とまで言われた宮廷ギルド員に勝てるとは思わなかったわ。
「し、信じられん。カインは将来有望な子爵家のホープだぞ。それを二人がかりとはいえ、あの見るからにみすぼらしい平民の子が打ち破るなんて」
「ほっほっほ、ワシが目をつけた少年少女の才能。恐れ入ったかのう?」
「は、はい。おみそれしました。これまでの無礼は謝らせていただきます。無論、あの子たちにも謝罪します」
公爵様が素直に私たちを認めてくれた。
信じられないわ。貴族が私たちのような人未満の扱いを受けていた者に謝りたいだなんて。
そもそも今こうして勝者として立っていること自体がびっくりなんだけど……。
「アーシェ、すごい魔法だったな。ほら足が凍ってしまった。ジャンプするとき困ったぞ」
「バカ! なんて無茶するの? 腕の炎で温めていたのかもしれないけど、下手したら凍って動けなくなっていたかもしれないのよ」
自らの身体を犠牲にしながらも、カインに突っ込んで行ったアレス。
おそらく彼は私以上に満身創痍だろう。
私は魔力をほとんど使ってしまってヘトヘトになったこと以外は大した外傷もない。でもアレスは足が凍傷になっているし、何よりもカインとともに空中から地面へと激突していた。
そのダメージは計り知れないものがある。
「インチキだ~! あいつらはズルをした~! なんだその魔物のような不気味な腕は!? インチキ! インチキだ~! じゃないとこのエリートが負けるはずがない!」
アレスとそんな会話をしていると、カインが立ち上がりこちらを指さして抗議してきた。
おそらく彼は自分が負けるなどつゆ程も考えてなかったのだろう。
それにしても、あの物言いは見苦しさを感じる……。
「まだ負けてない! 俺はまだ元気だ! 戦える! 勝負はまだだ!」
サーベルを構えた彼はこちらに向かって一直線に突っ込んできた。
こっちはもうすでにボロボロなのになんて元気なのだろうか。ピンピンしている。
どうしよう。とにかくアレスだけは守らなきゃ……。
「ぐっ! ううっ! 剣が動かない……!」
「カイン様、これ以上の醜態は家名に傷を残しますよ」
「うるさい! 俺に指図するな! クラウス!」
そんな中、いつの間にか私とカインの間に割って入ったクラウスさんが指二本で彼のサーベルを摘んで止めた。
嘘でしょ? こんなの人間業じゃない。
あのカインの剣技は一流と言っていいほど強く、そして速かった。
クラウスさんって、もしかしてとんでもない達人なの?
「剣を止めても俺には魔法がある。お前なんか……!」
「やれやれ、聞き分けがない子ですね。少しだけ頭を冷やしたほうが良さそうだ」
「んがっ!!」
右手の人差し指一本でカインの額を小突く。たったこれだけの動作で彼はドームの端っこまで飛ばされて壁に激突して失神してしまった。
穏やかな笑顔だけどやっていることがえげつないわ。
考えてみればエドモンドさんの護衛に任命されるほどの人だもんね。並大抵の実力者なはずがなかった。
「“疾風”の剣士クラウス。この国で三本の指に入る達人だと聞いておったが見事な手腕じゃのう」
「恐縮です。アーシェさんやアレスくんの頑張りが踏みにじられるのを見ていられず、大人げないことをしてしまいました」
はにかみながらエドモンドさんの言葉に返事をするクラウスさん。
この国で三本の指に入る達人かぁ。さっきの身のこなしから見て取れるのは、底知れない実力ってことだけだった。
でも、まさか私たちのために怒ってくれたなんて……。そのセリフもまた今までの私たちにとって新鮮すぎて飲み込むのに時間がかかってしまった。
「ときにクラウスくん。この二人の実力、どう見る?」
「非常に優秀なのは疑いようがありません。僕などいつか追い越されてしまいそうで、肝が冷えましたよ」
そんなバカな。あれだけの実力者のクラウスさんが追いつかれるだなんて、それは流石に褒めすぎだと思う……。
「では、来月に開催される宮廷ギルド員の選抜試験。この二人は通る見込みはあるかね?」
「「――っ!?」」
宮廷ギルド員の選抜試験? なんでいきなりそんなことを?
エドモンドさんの思わぬ発言により私は戦慄してしまった。
だが、この試験こそが私たちの今後を最も大きく変える重大なイベントだったのである。
「なぁ、アーシェ。どうする? あれ」
「どうするって、どうしようもできないでしょう?」
ゆっくりと迫りくる隕石を指さして、アレスは私にどうにかしろというような視線を送る。
完全にあのエリート様を怒らせたせいか、容赦なく力の差を見せつけられた。
術式のスピードが遅いのは私たちに絶望を味わわせたいからだろう。いい趣味をしているわね……。
「いや、あの爺さんが教えられたこと全部出せって言っていただろう? アーシェの氷属性の魔法。めちゃめちゃ凄くなっているんじゃないかなって」
「ああ、そういえば言っていたような……。凍らせてもいい屋敷はないかっていう冗談」
普通なら老人の戯言だと聞き流すような冗談。
でも、歴史に残る英雄たちの師匠であり世界中の要人たちから尊敬されている大賢者の言葉なら別だ。
氷系統の魔法。唯一、そのまま邪魔されずに使うことができるから好んで使っていた得意な魔法ではあるけど、威力はもちろん巨大隕石とは比較にならないくらい弱い。
でも、この“属性の限界突破”とやらの影響で威力が本当に上がっているのだとすれば、ちょっとくらいは対抗できるかもしれない。
「氷結の槍……! お、重い!?」
白く輝く氷の右腕を掲げて、私は最も得意な氷系統の魔法を使う。
右腕にズンッと重くのしかかる負荷が思った以上で、私は思わず膝をつきそうになった。
「すげーな、アーシェ。あのデカイのに全然負けてないぞ」
「そう? 上を見る余裕がないからよく分からないけど。それなら希望はあるわね」
汗が滴り落ちる。全部の魔力が持っていかれそうだ。
本能で感じ取った。これを外せば確実に負ける、と。
目を向けるのはあの巨大隕石のみ。あれを打ち砕いて、そうしたら……。
「あなたが決めてくれんでしょうね?」
「ああ、任せておけ。作戦はある……!」
任せろときたか。あなたはずっと前向きなのね。
それなら信じるわ。時間もあまりないし、躊躇っていられない。あとは任せたわよ。
「穿て! 氷の槍よ!」
最後の魔力を振り絞って槍を放つ。
へぇ、本当ね。確かにあの隕石に負けていない大きさかもしれないわ。
……って、なんでアレスが私の氷の槍の上に乗っているの?
「なっ!? 平民! なぜ、俺のところまで上がってくる! ぐ、巨大隕石は!? ば、バカな!」
巨大隕石は氷結の槍によって粉々に砕け散り、周囲の温度が急激に下がる。
まるで冬が来たみたいに寒いわね。これは私の魔法の影響?
「よそ見してんじゃねぇ!」
「うるさい! 地に落ちよ! 平民!」
氷結の槍に乗って空へと向かったアレスは巨大隕石との衝突の瞬間にジャンプして、カインを上から殴ろうと右手を燃やす。
「炎剣ッ!」
「ぬぅぅぅぅっ! この馬鹿力めぇ!」
殴らずに刃状に腕の形状を変化させた!?
カインもまさか自分の剣がアレスの刃状に変化した炎に受け止められるとは思っていなかったのだろう。そのまま成す術もなく押されたまま落下する。
「あっ! そこ、場外……」
ということは、カインが先に場外に落ちたから勝ったのは……。
「そこまで! 勝者はアーシェさん、アレスくんペア!」
いつの間にか審判員みたいなポジションを担っていたクラウスさんが私たちの勝利を宣言する。
まさか二人がかりとはいえ、神童とまで言われた宮廷ギルド員に勝てるとは思わなかったわ。
「し、信じられん。カインは将来有望な子爵家のホープだぞ。それを二人がかりとはいえ、あの見るからにみすぼらしい平民の子が打ち破るなんて」
「ほっほっほ、ワシが目をつけた少年少女の才能。恐れ入ったかのう?」
「は、はい。おみそれしました。これまでの無礼は謝らせていただきます。無論、あの子たちにも謝罪します」
公爵様が素直に私たちを認めてくれた。
信じられないわ。貴族が私たちのような人未満の扱いを受けていた者に謝りたいだなんて。
そもそも今こうして勝者として立っていること自体がびっくりなんだけど……。
「アーシェ、すごい魔法だったな。ほら足が凍ってしまった。ジャンプするとき困ったぞ」
「バカ! なんて無茶するの? 腕の炎で温めていたのかもしれないけど、下手したら凍って動けなくなっていたかもしれないのよ」
自らの身体を犠牲にしながらも、カインに突っ込んで行ったアレス。
おそらく彼は私以上に満身創痍だろう。
私は魔力をほとんど使ってしまってヘトヘトになったこと以外は大した外傷もない。でもアレスは足が凍傷になっているし、何よりもカインとともに空中から地面へと激突していた。
そのダメージは計り知れないものがある。
「インチキだ~! あいつらはズルをした~! なんだその魔物のような不気味な腕は!? インチキ! インチキだ~! じゃないとこのエリートが負けるはずがない!」
アレスとそんな会話をしていると、カインが立ち上がりこちらを指さして抗議してきた。
おそらく彼は自分が負けるなどつゆ程も考えてなかったのだろう。
それにしても、あの物言いは見苦しさを感じる……。
「まだ負けてない! 俺はまだ元気だ! 戦える! 勝負はまだだ!」
サーベルを構えた彼はこちらに向かって一直線に突っ込んできた。
こっちはもうすでにボロボロなのになんて元気なのだろうか。ピンピンしている。
どうしよう。とにかくアレスだけは守らなきゃ……。
「ぐっ! ううっ! 剣が動かない……!」
「カイン様、これ以上の醜態は家名に傷を残しますよ」
「うるさい! 俺に指図するな! クラウス!」
そんな中、いつの間にか私とカインの間に割って入ったクラウスさんが指二本で彼のサーベルを摘んで止めた。
嘘でしょ? こんなの人間業じゃない。
あのカインの剣技は一流と言っていいほど強く、そして速かった。
クラウスさんって、もしかしてとんでもない達人なの?
「剣を止めても俺には魔法がある。お前なんか……!」
「やれやれ、聞き分けがない子ですね。少しだけ頭を冷やしたほうが良さそうだ」
「んがっ!!」
右手の人差し指一本でカインの額を小突く。たったこれだけの動作で彼はドームの端っこまで飛ばされて壁に激突して失神してしまった。
穏やかな笑顔だけどやっていることがえげつないわ。
考えてみればエドモンドさんの護衛に任命されるほどの人だもんね。並大抵の実力者なはずがなかった。
「“疾風”の剣士クラウス。この国で三本の指に入る達人だと聞いておったが見事な手腕じゃのう」
「恐縮です。アーシェさんやアレスくんの頑張りが踏みにじられるのを見ていられず、大人げないことをしてしまいました」
はにかみながらエドモンドさんの言葉に返事をするクラウスさん。
この国で三本の指に入る達人かぁ。さっきの身のこなしから見て取れるのは、底知れない実力ってことだけだった。
でも、まさか私たちのために怒ってくれたなんて……。そのセリフもまた今までの私たちにとって新鮮すぎて飲み込むのに時間がかかってしまった。
「ときにクラウスくん。この二人の実力、どう見る?」
「非常に優秀なのは疑いようがありません。僕などいつか追い越されてしまいそうで、肝が冷えましたよ」
そんなバカな。あれだけの実力者のクラウスさんが追いつかれるだなんて、それは流石に褒めすぎだと思う……。
「では、来月に開催される宮廷ギルド員の選抜試験。この二人は通る見込みはあるかね?」
「「――っ!?」」
宮廷ギルド員の選抜試験? なんでいきなりそんなことを?
エドモンドさんの思わぬ発言により私は戦慄してしまった。
だが、この試験こそが私たちの今後を最も大きく変える重大なイベントだったのである。
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