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「何故だ? もう既に其方は俺の物だろ?」
(えっ!?)
確かにそうだが、そういう意味では無いと思ったものの口には出せず押し黙ってしまったが彼は気にする様子もなく言葉を続けたのだった。
そしてこう続けるのだった。
「俺はな、気に入った物をそばに置きたがる、特に女子供はな」
(私ってそんなに気に入られるような事したかしら?)
と疑問に思っていると、彼はさらに続けてこう言ったのだ。
「だから俺はリラを手放したくないんだよ、分かるか?」
そう言われてもなお理解できずにいたが彼が満足げな表情を浮かべていたのでそれ以上追及するのは辞めたのだった。
皇帝ディオ・アレステルは少し変わっているかもしれない。
豪遊話は聞かないし、あまり話さない。
(何を考えているのかしら?)
それからも、彼は毎日のようにリラの元へやって来ては様々な所に連れて行ったり美味しい食事を食べたりとしていたある日の事だった。
彼女はある事に気が付いたのだ。
それは彼が常に傍にいる事である、寝る時ですら一緒だし風呂に入る時も何故か一緒なのだ。
「あの、どうして?」
と尋ねてみると彼はこう言ったのだ。
「其方の身体を洗えるのは俺だけだ」
(どういう意味かしら?)
と思うもそれ以上は聞かなかったのだった。
いや聞けなかったというのが正しいのかもしれないが……兎に角彼女はずっと皇帝の傍で過ごしてきたのである。
そんな日々を過ごしていたある日の事だった、
リラは皇帝ディオ・アレステルにある質問をしたのだ。
「私を抱かないのですか、それとも、兵士達に回させる気とか」
「其方は、まさか俺に抱かれたいと思っているのか?」
その言葉にリラは真っ赤になり動揺した。
(どうしよう、そんな事を考えているなんて、嫌われたら)
そう思って黙り込んでいると彼は言ったのだ。
「無いな、お前は俺のモノなのだからな、それに今更他の奴に渡せるわけないだろ」
その答えを聞いてリラはホッとした。
でもどうしてこの人が私を所有物扱いしているのか疑問だった。
「何故ですか?」
と、思わず聞いてしまった。
すると彼は答えてくれたのである。
それはリラを自分の物にした時点で既に決めていた事だったようで、他の者には絶対に渡さないという強い決意があったようだ。
(どうして私なんだろう?)
と思ったが聞けなかったのだった……だって怖かったから、
そんなある日の事、突然皇帝の様子がおかしくなったのだ。
何か考え事をしている様子で上の空のような感じだったのである。
「あの、どうかなさいましたか?」
と尋ねると彼はこう答えたのだ。
「いやなんでもない」
と言って誤魔化すようにキスをしてくるのだったがリラは何か悩みでもあるのではないかと思ったのである。
(心配だわ)
そんな日々が続いていたある日のこと突然皇帝が言ったのだ。
それは意外な言葉だった、
「リラ、俺と結婚してくれないか?」
そう言われた瞬間頭が真っ白になり固まってしまう。
だがすぐに我に返ると返事をしようとしたが声が出なかったのである。
すると彼は続けてこう言ったのだ。
「嫌か? 俺と結婚は出来ないか?」
(そうじゃない!)
と心の中で叫ぶが声にならない、代わりに涙が流れてきた、
そしてようやく出た声は掠れていたものだった。
(えっ!?)
確かにそうだが、そういう意味では無いと思ったものの口には出せず押し黙ってしまったが彼は気にする様子もなく言葉を続けたのだった。
そしてこう続けるのだった。
「俺はな、気に入った物をそばに置きたがる、特に女子供はな」
(私ってそんなに気に入られるような事したかしら?)
と疑問に思っていると、彼はさらに続けてこう言ったのだ。
「だから俺はリラを手放したくないんだよ、分かるか?」
そう言われてもなお理解できずにいたが彼が満足げな表情を浮かべていたのでそれ以上追及するのは辞めたのだった。
皇帝ディオ・アレステルは少し変わっているかもしれない。
豪遊話は聞かないし、あまり話さない。
(何を考えているのかしら?)
それからも、彼は毎日のようにリラの元へやって来ては様々な所に連れて行ったり美味しい食事を食べたりとしていたある日の事だった。
彼女はある事に気が付いたのだ。
それは彼が常に傍にいる事である、寝る時ですら一緒だし風呂に入る時も何故か一緒なのだ。
「あの、どうして?」
と尋ねてみると彼はこう言ったのだ。
「其方の身体を洗えるのは俺だけだ」
(どういう意味かしら?)
と思うもそれ以上は聞かなかったのだった。
いや聞けなかったというのが正しいのかもしれないが……兎に角彼女はずっと皇帝の傍で過ごしてきたのである。
そんな日々を過ごしていたある日の事だった、
リラは皇帝ディオ・アレステルにある質問をしたのだ。
「私を抱かないのですか、それとも、兵士達に回させる気とか」
「其方は、まさか俺に抱かれたいと思っているのか?」
その言葉にリラは真っ赤になり動揺した。
(どうしよう、そんな事を考えているなんて、嫌われたら)
そう思って黙り込んでいると彼は言ったのだ。
「無いな、お前は俺のモノなのだからな、それに今更他の奴に渡せるわけないだろ」
その答えを聞いてリラはホッとした。
でもどうしてこの人が私を所有物扱いしているのか疑問だった。
「何故ですか?」
と、思わず聞いてしまった。
すると彼は答えてくれたのである。
それはリラを自分の物にした時点で既に決めていた事だったようで、他の者には絶対に渡さないという強い決意があったようだ。
(どうして私なんだろう?)
と思ったが聞けなかったのだった……だって怖かったから、
そんなある日の事、突然皇帝の様子がおかしくなったのだ。
何か考え事をしている様子で上の空のような感じだったのである。
「あの、どうかなさいましたか?」
と尋ねると彼はこう答えたのだ。
「いやなんでもない」
と言って誤魔化すようにキスをしてくるのだったがリラは何か悩みでもあるのではないかと思ったのである。
(心配だわ)
そんな日々が続いていたある日のこと突然皇帝が言ったのだ。
それは意外な言葉だった、
「リラ、俺と結婚してくれないか?」
そう言われた瞬間頭が真っ白になり固まってしまう。
だがすぐに我に返ると返事をしようとしたが声が出なかったのである。
すると彼は続けてこう言ったのだ。
「嫌か? 俺と結婚は出来ないか?」
(そうじゃない!)
と心の中で叫ぶが声にならない、代わりに涙が流れてきた、
そしてようやく出た声は掠れていたものだった。
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