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するとまた頭を撫でられたと思ったら今度は唇にキスをされた。
突然だったのでびっくりしたけど悪い気はしなかったので寧ろ嬉しい
くらいだったのだから不思議なものである。
それから暫くしてから彼と話をする時間が増えたような気がする。
それもこれもきっと彼のおかげなのだろうと感謝の気持ちで
いっぱいになっていた。
そんな中で不意に思い出したことがあって聞いてみたくなったので
尋ねてみることにしたのだそうだ。
海と名乗った男との出会いを思い返す。
あれは確か数年前のことだったろうか?
「おい!あんた何してんだよ」
そういうなり胸ぐらを掴んできたのは見るからに粗暴そうな若い男だった。
年齢は恐らく十代半ば程度といったところだろう。
背丈はあるが体格は細く、髪は黒く無造作に伸ばされており
前髪の隙間から見える目つきの悪さだけが特徴的だ。
その瞳に宿るギラギラとした光がやけに眩しく思えた。
(随分と威勢の良い小僧だ、まあそれだけ気が強いならそれなりに
生き抜いて行けるだろうな)
そんなことを考えているうちに、男の拳が飛んできた。
反射的に避けようとするものの間に合わず頰に当たる感触があった。
その衝撃で口の中が切れたのだろうか、
鉄臭い味が広がっていくのが分かると同時に唇の端から流れ落ちる
感触がしたので指で拭うと赤い液体が付着するのが見えた。
それを見て男が勝ち誇ったような笑みを浮かべるのを見て
苛立ちが込み上げてくるのを感じたがそれをどうにか
抑え込むことに成功した私は努めて冷静な態度で対応することにした。
「なんのつもりだね、君は、いきなり暴力を振るうとはどういうつもりかね?」
あくまでも冷静に振る舞うつもりだったのだが上手くいかなかった
俺は魔王カミュに頭を撫でられる。
「お前みたいなガキには勿体ねえな」
と言いつつ俺の髪をわしゃわしゃとかき乱すように撫でる手は
優しかった。
だからもっと撫でて欲しいと思ってすり寄って行くと
苦笑しながら抱き締めてくれるのだ。
それが心地よくてついつい甘えたくなってしまう自分がいたことに驚きつつも、
悪くない気分だったのは確かだった。
そして耳元で囁かれる言葉にドキドキしてしまう自分はどうかしてると
思う一方で嬉しいと思ってしまう自分もいて複雑だった。
そんな気持ちを振り払うかのように首を振っていると
「ガキじゃないと言わないのか?」
「ガキじゃないって言えばカミュが喜ぶだけだろう? だから言うつもりは無いからな!」
そう言い返した後で睨みつけてやると一瞬怯んだ様子だったもののすぐに
持ち直したようで余裕の表情を見せるようになった
かと思えばニヤリと笑うので嫌な予感を感じた瞬間には既に手遅れであった。
何せ押し倒された後だったのだから抵抗しようにもどうにもならない
状態に追い込まれた結果なす術もなく受け入れることしか出来ずに
いる自分を呪いたくなったのは言うまでも無いことだった。
突然だったのでびっくりしたけど悪い気はしなかったので寧ろ嬉しい
くらいだったのだから不思議なものである。
それから暫くしてから彼と話をする時間が増えたような気がする。
それもこれもきっと彼のおかげなのだろうと感謝の気持ちで
いっぱいになっていた。
そんな中で不意に思い出したことがあって聞いてみたくなったので
尋ねてみることにしたのだそうだ。
海と名乗った男との出会いを思い返す。
あれは確か数年前のことだったろうか?
「おい!あんた何してんだよ」
そういうなり胸ぐらを掴んできたのは見るからに粗暴そうな若い男だった。
年齢は恐らく十代半ば程度といったところだろう。
背丈はあるが体格は細く、髪は黒く無造作に伸ばされており
前髪の隙間から見える目つきの悪さだけが特徴的だ。
その瞳に宿るギラギラとした光がやけに眩しく思えた。
(随分と威勢の良い小僧だ、まあそれだけ気が強いならそれなりに
生き抜いて行けるだろうな)
そんなことを考えているうちに、男の拳が飛んできた。
反射的に避けようとするものの間に合わず頰に当たる感触があった。
その衝撃で口の中が切れたのだろうか、
鉄臭い味が広がっていくのが分かると同時に唇の端から流れ落ちる
感触がしたので指で拭うと赤い液体が付着するのが見えた。
それを見て男が勝ち誇ったような笑みを浮かべるのを見て
苛立ちが込み上げてくるのを感じたがそれをどうにか
抑え込むことに成功した私は努めて冷静な態度で対応することにした。
「なんのつもりだね、君は、いきなり暴力を振るうとはどういうつもりかね?」
あくまでも冷静に振る舞うつもりだったのだが上手くいかなかった
俺は魔王カミュに頭を撫でられる。
「お前みたいなガキには勿体ねえな」
と言いつつ俺の髪をわしゃわしゃとかき乱すように撫でる手は
優しかった。
だからもっと撫でて欲しいと思ってすり寄って行くと
苦笑しながら抱き締めてくれるのだ。
それが心地よくてついつい甘えたくなってしまう自分がいたことに驚きつつも、
悪くない気分だったのは確かだった。
そして耳元で囁かれる言葉にドキドキしてしまう自分はどうかしてると
思う一方で嬉しいと思ってしまう自分もいて複雑だった。
そんな気持ちを振り払うかのように首を振っていると
「ガキじゃないと言わないのか?」
「ガキじゃないって言えばカミュが喜ぶだけだろう? だから言うつもりは無いからな!」
そう言い返した後で睨みつけてやると一瞬怯んだ様子だったもののすぐに
持ち直したようで余裕の表情を見せるようになった
かと思えばニヤリと笑うので嫌な予感を感じた瞬間には既に手遅れであった。
何せ押し倒された後だったのだから抵抗しようにもどうにもならない
状態に追い込まれた結果なす術もなく受け入れることしか出来ずに
いる自分を呪いたくなったのは言うまでも無いことだった。
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