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私は敵国の彼に愛されて~敗北した私に出来ること~

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「お逃げ下さい、ディアラ姫様、皇帝、リユーズの軍がすぐそこまで」
魔法により城は一気に業火に包まれた。
あんなに美しかったのに……、今は見るに堪えない有様である。
「兄様は?」
「城の外で姫様をお待ちです」
「……、ありがとう」
私は愛馬に跨ると、城の外の森へと走り出した。
もうじき追手がここへやって来るだろう。
その前に少しでも遠くへ逃げなければ……。
(私は捕まる訳にはいかない)
追っ手が来るまでまだ時間があるだろう。
その間に少しでも遠くへ……、
馬を走らせること数時間……、
遠くから馬の嘶きが聞こえてくる。
「兄様の声だ!」
遠目に一頭の馬が見える。
私の大好きなお兄様、そう思い、馬の足を早めれば次第に見えて来る。
しかし、そこに居たのは最愛のお兄様ではなかった。
「これは、これは、ディアラ王女、随分と遅いお着きで」
その声、その仕草、全てあの時のままだ。
彼こそ敵国エトワール帝国の皇帝、リューズ・エトワール。
私と兄様の故郷の国からは忌まわしき黒騎士として伝えられていた。
私が15年間、ずっと忘れられなかった。
その彼が今、目の前にいるのだ。
燃え盛る城の中、彼と初めて出会った時とまるで、
変わらない姿で……、
いや、更に凛々しくなられ……。
私はその姿を見て、何故か顔が熱くなるのを感じていた。
けれど、今はそんなことを言ってられない状況だ。
何とか逃げないと……。
けど、彼は馬に跨ったまま動こうとはしなかった。
いや、違う、この雰囲気は何かを考えている?
(何を考えているの?)
(私に絶望を植え付けようとしている)
(このまま捕まえて奴隷にでもするのかしら?)
(でも、それならどうして私を待っていたのかしら)
すると彼が口を開く。
「可愛くなられたのですね」
年下の彼からこんな言葉を聞く日がするなんて、誰が想像しただろう。
私は彼からの言葉に戸惑ってしまう。
彼の顔が見られない……、恥ずかしいのか、照れているのか分からなかったから……。
しかし、彼は話を続ける。
「水分と探しました、この国の誰にどう聞いても、貴女の事を喋ろうとしませんでしたから」
その手にはお兄様の服がに着られている。
体がボロボロでどう見てもムチ打ちをされた。
あとが生々しい。
「それで、どうされたいのです?」
彼が私に問いかけてくる。
「お逃げになられては?、そしてこの私めを捕まえますか?」
彼は馬を下りて、私の近くにやって来る。
(やめて……)
(それ以上来ないで)
その私の願いも虚しく、彼は私の前で止まり、
片膝をつくと私を見上げてきた。
(あぁ、本当に15年前に出会った彼なのだわ……)
彼の顔を見るとあの時を思い出したのか、
胸の鼓動が更に早くなる。
そのままフッと微笑むとこう言われる。
「貴女を匿い、こちらに渡さなかったので母国には、滅んでいただきました、そして次は貴女の番です」
そう言い終わると彼は私の手を取る。
(な、何を!?)
その行為にビックリして、私は手を引っ込めようとするが彼は放さない。
むしろ、自分の手に私の頭を押し付けてくる。
まるで可愛がっているかのように……。
私の顔は一気に熱くなるのを感じる。
きっと彼から見ても耳まで真っ赤になっているだろう。
(いやっ!)
そんな私を無視するかのように彼は私の手を撫で、指を一本一本を触ってくる。
そして彼の視線は私の目を捉えて離さない。
「これはもう必要ないな」
そういうと放り投げると思いっきり蹴飛ばしたのはお兄様だった。
彼はそのままお兄様の首根っこを掴むとこちらに歩いてくる。
そして私の目の前にお兄様を放り投げた。
(兄様っ!)
私は急いで、彼に投げ捨てられたお兄様の所に駆け寄る。
抱き抱えると気を失っているのか何も反応がない。
いや、そんな事より……。
(どうして!?)
兄様は私を守ろうとしてくれていたのだ……、なのに何故?
すると、彼は笑いながら話す。
「この男はもう要らない、連れて行け」
そう
、彼が言うと二人の部下がお兄様を担ぐ。
お兄様を助け出そうと手を伸ばせばその手を取られた。
「リユーズ、離して」
しかし、彼は離さない。
それどころか私を後ろから抱き締めてきたのだ。
(え?)
(え!?)
すると耳元で彼はこう囁いてきたのだ。
「私は貴女が気に入った、だから俺の側にいてくれ……」
そう言い終えると彼は私から離れた。
(一体、何が起こっているの?)
彼が何を考えているのか分からない。
けど、このままでは本当に兄様が殺されてしまう……。
(このままではダメだわ)
(何とかして逃げないと……)
(けれどどうやって?)
今の私には何も出来ない。
それに武器だって持っていないのだ。
そんな私を後ろから抱き締められるとそのまま馬に乗せられる。
「さぁ、行こう」
そして彼の後ろに私も座らされると馬に跨る。
彼が手綱を握ると、ゆっくりと馬が歩き出す。
(待って、兄様が……)
彼と一緒に馬に乗るのはやぶさかではない。
でも今は違うのだ……。
(兄様を助けないと)
そう思っていると突然彼は馬を止める。
私もその動きに合わせて馬を止まらせると彼に体を引かれた。
そして彼の胸に飛び込む形になってしまう。
そのまま彼は私の腰に手を回すと力強く抱き締めてきた。
(なっ!?)
そのまま耳元で囁かれる。
「悪い子、そんな余裕があるのだな?」
彼の囁き声が私の耳をくすぐる。
(ち、近い……)
彼の息遣いが分かってしまう距離。
私の心臓は破裂しそうな勢いでバクバクと音を立てる。
そして彼はそのまま顔を離すと私の目を見ながら話し出したのだ。
「少し気が変わった、おい、城の制圧は終わっているんだったな?」
「はっ、城は陥落させましたから我が軍しかおりません」
そう言われてリューズは、私を見ると
「お仕置してから帰ろうか? 今後、逆らわれては困るからね」
そのままフッと微笑むとこう言われる。
「貴女を匿い、こちらに渡さなかったので母国には、滅んでいただきました、そして次は貴女の番です」
そう言い終わると彼は私の手を取る。
(な、何を!?)
その行為にビックリして、私は手を引っ込めようとするが彼は放さない。
むしろ、自分の手に私の頭を押し付けてくる。まるで可愛がっているかのように……。
私の顔は一気に熱くなるのを感じる。
きっと彼から見ても耳まで真っ赤になっているだろう。
(いやっ!)
そんな私を無視するかのように彼は私の手を撫で、指を一本一本を触ってくる。
そして彼の視線は私の目を捉えて離さない。
「これはもう必要ないな」
そういうと放り投げると思いっきり蹴飛ばしたのはお兄様だった。
彼はそのままお兄様の首根っこを掴むとこちらに歩いてくる。
そして私の目の前にお兄様を放り投げた。
(兄様っ!)
私は急いで、彼に投げ捨てられたお兄様の所に駆け寄る。
抱き抱えると気を失っているのか何も反応がない。
いや、そんな事より……。
(どうして!?)
兄様は私を守ろうとしてくれていたのだ……、なのに何故?
すると、彼は笑いながら話す。
「この男はもう要らない、連れて行け」
そう、彼が言うと二人の部下がお兄様を担ぐ。
お兄様を助け出そうと手を伸ばせばその手を取られた。
「リユーズ、離して」
しかし、彼は離さない。
それどころか私を後ろから抱き締めてきたのだ。
(え?)
(え!?)
すると耳元で彼はこう囁いてきたのだ。
「私は貴女が気に入った、だから俺の側にいてくれ……」
そう言い終えると彼は私から離れた。
(一体、何が起こっているの?)
彼が何を考えているのか分からない。
けど、このままでは本当に兄様が殺されてしまう……。
(このままではダメだわ)
(何とかして逃げないと……)
(けれどどうやって?)
今の私には何も出来ない。
それに武器だって持っていないのだ。
そんな私を後ろから抱き締められるとそのまま馬に乗せられる。
「さぁ、行こう」
そして彼の後ろに私も座らされると馬に跨る。
彼が手綱を握ると、ゆっくりと馬が歩き出す。
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