バージョンアップLOVE

ザクロ

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バージョンアップlove

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海浜公園から車で十分。

私達は海辺のラブホにいた。

シャワーを浴びてバスローブに着替えた二人。

ベッドに座る私達には微妙な距離がある。

オドオドした弘樹が私の方を向くと、コクンと喉を鳴らし、上ずった声で言った。

「そ、・・それじゃあ、・」

「・・ウン・・」

震える手が、私の肩に・・
私もビクンと震えた。

「アハハ・・変だね・・もう・・二回目なのに・・」

二人で笑った。

(弘樹のせいだよ?・・伝染しちゃっ・・)


言い終わらないウチに唇を重ねられた。

ムフン、ムフン、と鼻息を荒くして、弘樹は私の唇を吸った。

(好きだ・・ッハ杏里・・)

次第に荒々しく猛るキス。私も貪った。

見つめ合って、またキスして、弘樹は私の肌を少しずつキスで露わにして行った。

耳・・首筋・・肩・・背中・・

そして静かに横になった。

激しいけれど、優しいキス。胸まで下りた時には全身に鳥肌が立った。

(そこ・・あんまり触っちゃダメ・・)

(ゴメンっ、痛かった?)

(ううん、・・そうじゃなくて・・)

甘い目が優しく問う。

(・・気持ち・・いい?)

私は小さく頷いた。

(じゃ・・いっぱい触ってあげるね?)

弘樹は指の腹で乳首をコリコリと転がした。

(はっ、いやん)

上半身を隈なくキスして、舐め回す弘樹。その愛撫はあまりにも優しくて、愛に満ちていた。 

荒々しく奪って欲しい。

そんな風に思っていた私は、焦ったくもあり、でも嬉し過ぎて、どうしていいかわからないほど切ない気持ちになる。

私は思わず泣いてしまった。

浮かべた涙にもキス。幸せだった。

バスローブの前合わせをゆっくりと開かれ、弘樹は指先で私の体の輪郭をなぞった。

ゾクゾクとお腹の芯から熱くなってゆく。

お尻・・太もも・・そして・・・

(あ、・・すごっ・・・)

思わず漏れた弘樹の言葉。私は猛烈に恥ずかしくなった。

(あ、新しい下着なんだよ?ちゃんと・・新しい下着着けて来たんだよ?)

私はもうシーツまで濡らしてしまってた。

(・・いつからこうなの?)

(・・弘樹が・・手を握ってくれた時から・・)

弘樹は切ない目をして言った。

(嬉しいよ・・すごく嬉しい・・)


優しい手捌きでショーツを脱がされた。
いよいよだ・・・

(・・ゴム・・つけた?)
(うん・・)

布団を被って、弘樹はその中で私の脚を少し広げた。

(・・行くよ?大丈夫?)

(んもぉ・・気を遣い過ぎだよ。)

笑ってしまった。

(まるで初めてみたいに緊張してんだ。)

(ンフフ、ホントだね・・緊張しちゃう。)

(じゃあそろそろ・・・アハハ・・じゃあだって)

ゆっくりと先端が入ってくる。

(っあ・・杏里・・)

そのまま・・そのまま・・茎が私の中へ・・

(・・なあに?)

奥まで入ったところで、弘樹は息をついた。

(・・ゆ・・夢みたいだ。)

(大袈裟ね・・)

(だってオレ・・全然余裕なくて・・)
クソ・・お前・・余裕だな・・)

余裕なんかない・・

(ちょっと動いたら・・ヤバいんだ・・)

中でしきりに脈打つのが分かる。私は下から弘樹の頰を撫でた。

(ンフ・・弘樹の顔・・見えた。)

(え?)

(シテる時の弘樹の顔・・ずっと見たかった・・)

何度思い出そうとしても思い出せなかった。

もう忘れない。

(そ、そんな可愛い声で言うなよ・・ヤ、ヤバいから・・)

私も・・・
中で満たされてるだけで・・かなりヤバい。
・こうやってヘラヘラ笑ってるけど・・

ホントは・・めっちゃ感じてるよ?

ジッと見つめると、弘樹は眉を寄せて唇を噛んだ。
ああその顔、好き!
思わずキュンと締まる。

(やめろって・・ああ、ヤバ・・)

(そのまま・・イッていいよ?)

(嫌だよ・・まだ・・お前を・・)

たまらない・・・切なくて泣きそう!
私は感極まって、とうとう言ってしまった。

(好きだよ?・・愛してるの!)

「うああっ、杏里!杏里!」

弘樹は突然猛烈にスパートし始めた。

来て!弘樹!私もイクから!

「お願い!私を見て!目を閉じちゃイヤ!」

見たいの!弘樹がイクとこ、目に焼き付けたい!

「杏里!杏里!イク!イクぞ!」

「ああああイクう!」

私達は、目を見開いたまま絶叫した!

「・・・っ、クソっ・・っうっ・・っうっ」

私はしゃくりあげていた。

「・・すごっ・・ぃ・・・嬉しい・・」





(んもぉ、杏里のせいだからな?)

弘樹は口を尖らせた。

(イキたくなかった?)

(もっと愛してやりたかった。)

(充分良かったよ?・・ホントに・・)

弘樹は私の顔を見つめて鼻頭にキスしてくれた。

(まだまだ・・オレ全然足りないから・・)

(いいよ・・何回でも・・)

またキス・・入ったまま、何度も舌を絡ませた。




弘樹の胸の中で私は子猫のように甘えた。

ずっとずっとこうしたかった。

(私も我慢してた、って言ったよな?
そう言う時・・どうしてたの?)

(そう言うこと、聞きたいんだ?) 

可愛く睨んでやる。

(弘樹はどうしてた?) 

(オレは・・そりゃ自家発電だよ。)

言い方が面白くて笑った。

(おんなじだよ・私も・・)

(へえ、・・杏里でも・そういうことするんだ?)

私は膨れっ面にして見せる。

(アンタがヤラせろヤラせろって言う度に・・私がどれだけ動揺したか知らないでしょ)

(アハハ、そうだったか。)

それに・・・

(加奈のセリフ・・あれ・・聴こえてたから・・)

私は彼女のモノマネで弘樹の耳元に囁いた。

(加奈とどんなエッチしたの?)

(どんなって・・普通・・だけどな。)

(普通なのに、たまんないって言う?)

正直に言わなきゃ許してやらない。

(あ・・道具使ったりした・・かな。でもそう言うの、ちょっと違うだろ?)

「じゃあ・・佳乃とは?・・奈緒とは?・・」

そんな中でも奈緒の話は衝撃だった。

多少誇張された捨て台詞には違いないが、あのクリスマスイブに私をダシにして燃え上がったと言うから、思い出すとムカつく。

もう心身ともに深く交わったと言うのに、私はまた拗ねてしまった。

「根っから浮気性なのね?」

「違う、あれはつまり・・」

「つまり?」
私は半べそをかいて甘えた。

「もうあの時から・・杏里のこと考えてシテた・・」

「あのデカパイに興奮したんじゃなくて?」

(ホントは・・ヤキモチ妬いてくれてる杏里を・・想像してた。・・奈緒には悪いけど・・誰でも良かったんだ・・頭の中は杏里で一杯。
だから・・めっちゃ興奮した。)

そういう心理ってあるのかな・・

上手く誤魔化されたみたいな気はしないでもないけど、私のことを考えてくれたって言うし、それならギリ、まぁ許してやろう。

(ホントに私が一番?)

(もちろんだよ。)

(だったら・・あの人達にしたこと全部して。あの人達より、ずっといっぱい愛して!)

この数ヶ月、私達は互いに翻弄され続けた。
運命の再会だと思ったけれど、神様は意地悪。
そんなに上手くはいかないよ、と笑いながら見てたような気がする。
でも、ちゃんとハッピーエンドにしてくれた。
今のところは、だけど。

私達は離れた時に恋して、再会した時に恋して、そして今また、新しい恋をしてる。

バージョンアップしてるって言うのかな、
私達二人はその度に、前よりずっと強く結ばれてる気がする。

「ああ杏里!すごく愛してる!」

「もっと名前呼んで!私のこと好きって言って!」

たまんないよ・・好きで好きでたまんない!

今は確信してる。
私は、加奈より、佳乃より、奈緒より、ずっとずっと愛されてる。



弘樹・・
今日は死ぬほどエッチしようね。
もう誰にも渡さないんだから。


           
             (完)













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