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夏休みを迎えるための踏ん張りどころ 5
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「真―、今夜空いてる?」
「今夜ですか?用事が入っているように思えるか?」
「ネトゲのイベとか?」
「ネトゲは今やってませんねー」
「おま、その年で夜何やってるんだよ」
「普段は久しぶりに書道を始めたのでその練習ですね。
今は先輩から仕事が来てるのでそっちを片付けてます」
「真よ、二十代半ばでそんな生活をしててどうする……」
「因みに遠藤さんは?」
「俺はその時はパチにすべてを賭けてた!」
「俺の方がましっすね」
「因みに今は師匠の所でいろいろ勉強中です」
「どうしてそこまで変わった?!」
いやあ、いろいろあってと照れながら笑う遠藤さんは本来なら小学生ぐらいのお子様がいてもおかしくないお年頃。
なんだかんだと言ってここで出会った人皆さん年上なので弟とか浩太さんに至っては同じ年頃の息子さんがいるくらいの年齢差の人とおつきあいさせてもらっている。
最初こそ緊張したものの、元の職場でも祐樹先輩は俺を連れまわして室長とかと一緒に飲みに行ったりしてくれたから年上の人との付き合いは苦ではなくなった。
連れまわされている時に先輩は目上の人とか年上の人とかの付き合いが上手いななんて思ったけど、ここに来て分かった。
先生の家の隣の工場で集まった時に誰もが先輩の事を知っていた。
一見強面の長沢さんや浩太さんのお父さんでさえ東京で頑張っている話やお世話になった話をすれば目を細めて話を聞いてくれたのだから人付き合いが上手なんだなと少しだけ尊敬した瞬間
「東京でもあの調子のよさは変わらんか」
なんてみんなで大笑いされたところに俺の知らない祐樹先輩がいると驚きの発見にどれだけ俺は先輩を神聖視していたか少し反省をした。
「ところで、今夜何かあるのですか?」
話がそれたので慌てて軌道修正をすれば
「ああ、そうだった。
綾っさんやっと京都から帰ってくるんだって。
長い間留守にしたからみんなで一緒に食べようか、だったら火事の件もあるから真を呼んで来いっていう事になったんだ」
強制参加だったかと思う前に
「やっと帰ってこれるんですね」
「俺もしゃちょーから話を聞いただけだから詳しい事聞いてないけど、なんか大変だったみたいだったよ」
「まあ、大変だろうね……」
俺も暁さんから少し話を聞いていた。
どうも向こうで玄さん達を空で遊ばせたのが他の能力者さん達の目に留まり、挙句に岩さんは偵察として放たれた式神をほとんどあの追いかけっこで破壊しまくった挙句に各所の縄張りではないが守りの結界もついでに壊してしまって大忙してさあ大変。飼い主に一言文句を言ってやりたいって言うのを飯田さんの料亭のお座敷で迎え撃つというカウンターに穏便に話は進んだはずなんだけどなと言う歯切れの悪さは大家さんの性格が災いしたのだろうという事までは言わなかった。
俺が勝手に想像しているだけだしね。
「お土産何買ってくるかなー?」
「あー、お土産買うくらいなら飯田さんがお土産を作って持たせてくれるんじゃないかな?」
「だよねー。ほんと飯田さん料理のこだわり強いから。
だから美味しいんだろうけどねー」
そこは否定できない。
「じゃあ、仕事が終わったぐらいの時間に工場に集合な」
なんて今日の朝の仕事は終わりというように帰って行くが
「その時間先生の家にいるんだけど……」
言いかけて、その後どうせしこたま飲まされるのだろうからその前に家に荷物だけは運ぶようにしようと今日の買い物はお休みを決めた。
ありがたい事に冷蔵庫が来たので明日の朝の朝食もお風呂の後のお楽しみのアイスもしっかり準備はしてある。
そうとなれば……
「みんなー、今日大家さんが帰ってくるって」
「「「「「主帰ってくるの?!」」」」」
嬉しそうな声が綺麗にハモった。
お池の方や畑の方、四阿の方から声が聞こえてきたがすぐさま池の側の何気なく座り心地の良い岩に座る俺の足元にみんな駆け寄ってくれた。
「今遠藤さんが圭斗さんの所に入った連絡を教えてくれたんだ」
「主はいつ帰ってくるの?」
「主は無事帰ってくるの?」
「主はお土産買ってきてくれるかな?」
「主はお土産沢山持って来てくれるかな?」
「主のお家にお泊りしたいって言ったらいいよって言ってくれるかな?」
みんな主不足で小さなお目目がきらきらして居て待ちきれないという表情。
「うーん。いつ帰ってくるか聞いてないけど今日は仕事が終わったら工場の方でみんなと一緒に大家さんをお迎えするんだって言う予定になってるから」
「「「「「きゃーっ!」」」」」
これは何に対する悲鳴だろうか。
みんなとの宴会か大家さんのお帰りパーティだろうか。
相変わらず主ラブがあふれていているけどこういった事も楽しいと思えるようになったちみっこも大きくなったなと思ったものの
『主のお家にお泊りしたいって言ったらいいよって言ってくれるかな?』
そう言ったのは緑青。
攫われて寂しい思いをしたのに今は笑顔いっぱいで遊びまわっているけどあの出来事はやっぱり緑青に影を落としているような気がした。
肩にちょこんと座る緑青に
「もうすぐ夏休みだから。
夏休みって言うのは……」
ちょっと考えて
「大好きな主の家に遊びに行って思いっきり遊ぶ事だよ。十二日から十五日の間に一晩ぐらい泊れるか今夜大家さんに相談しような」
なんて言えばそんな初のイベントの説明にちみっこは目をきらきらとして
「じゃあ、朱華は主に美味しいお野菜食べてもらえるように良いのを探してくるね!」
「緑青は綺麗などんぐりさんを探してくる!」
「玄はー、甲羅を綺麗にして待ってるね?」
「岩は玄さんが綺麗になるのをお手伝いする!」
「真白はセミの抜け殻いっぱい見つけたから集めてくる!」
なんて喜びまくっていた。
いや、真白よ。セミの抜け殻はプレゼントか?
なんとも言えないプレゼントだけど尻尾をぐるぐる回して気合入れている様子にそんな事は言えなかった。
大家さん、こんなにも喜んでしまっているので事後報告になりますがどうかちみっこ達のお願いを聞いてあげてください。
心の中で祈りながら
「さあ、ご飯の準備するから。
みんなはお部屋のお片付けをしておいで」
「「「「「はーい!」」」」」
ものすごくよいお返事に大家さんお願いしますよと心の中で訴えるのだった。
「今夜ですか?用事が入っているように思えるか?」
「ネトゲのイベとか?」
「ネトゲは今やってませんねー」
「おま、その年で夜何やってるんだよ」
「普段は久しぶりに書道を始めたのでその練習ですね。
今は先輩から仕事が来てるのでそっちを片付けてます」
「真よ、二十代半ばでそんな生活をしててどうする……」
「因みに遠藤さんは?」
「俺はその時はパチにすべてを賭けてた!」
「俺の方がましっすね」
「因みに今は師匠の所でいろいろ勉強中です」
「どうしてそこまで変わった?!」
いやあ、いろいろあってと照れながら笑う遠藤さんは本来なら小学生ぐらいのお子様がいてもおかしくないお年頃。
なんだかんだと言ってここで出会った人皆さん年上なので弟とか浩太さんに至っては同じ年頃の息子さんがいるくらいの年齢差の人とおつきあいさせてもらっている。
最初こそ緊張したものの、元の職場でも祐樹先輩は俺を連れまわして室長とかと一緒に飲みに行ったりしてくれたから年上の人との付き合いは苦ではなくなった。
連れまわされている時に先輩は目上の人とか年上の人とかの付き合いが上手いななんて思ったけど、ここに来て分かった。
先生の家の隣の工場で集まった時に誰もが先輩の事を知っていた。
一見強面の長沢さんや浩太さんのお父さんでさえ東京で頑張っている話やお世話になった話をすれば目を細めて話を聞いてくれたのだから人付き合いが上手なんだなと少しだけ尊敬した瞬間
「東京でもあの調子のよさは変わらんか」
なんてみんなで大笑いされたところに俺の知らない祐樹先輩がいると驚きの発見にどれだけ俺は先輩を神聖視していたか少し反省をした。
「ところで、今夜何かあるのですか?」
話がそれたので慌てて軌道修正をすれば
「ああ、そうだった。
綾っさんやっと京都から帰ってくるんだって。
長い間留守にしたからみんなで一緒に食べようか、だったら火事の件もあるから真を呼んで来いっていう事になったんだ」
強制参加だったかと思う前に
「やっと帰ってこれるんですね」
「俺もしゃちょーから話を聞いただけだから詳しい事聞いてないけど、なんか大変だったみたいだったよ」
「まあ、大変だろうね……」
俺も暁さんから少し話を聞いていた。
どうも向こうで玄さん達を空で遊ばせたのが他の能力者さん達の目に留まり、挙句に岩さんは偵察として放たれた式神をほとんどあの追いかけっこで破壊しまくった挙句に各所の縄張りではないが守りの結界もついでに壊してしまって大忙してさあ大変。飼い主に一言文句を言ってやりたいって言うのを飯田さんの料亭のお座敷で迎え撃つというカウンターに穏便に話は進んだはずなんだけどなと言う歯切れの悪さは大家さんの性格が災いしたのだろうという事までは言わなかった。
俺が勝手に想像しているだけだしね。
「お土産何買ってくるかなー?」
「あー、お土産買うくらいなら飯田さんがお土産を作って持たせてくれるんじゃないかな?」
「だよねー。ほんと飯田さん料理のこだわり強いから。
だから美味しいんだろうけどねー」
そこは否定できない。
「じゃあ、仕事が終わったぐらいの時間に工場に集合な」
なんて今日の朝の仕事は終わりというように帰って行くが
「その時間先生の家にいるんだけど……」
言いかけて、その後どうせしこたま飲まされるのだろうからその前に家に荷物だけは運ぶようにしようと今日の買い物はお休みを決めた。
ありがたい事に冷蔵庫が来たので明日の朝の朝食もお風呂の後のお楽しみのアイスもしっかり準備はしてある。
そうとなれば……
「みんなー、今日大家さんが帰ってくるって」
「「「「「主帰ってくるの?!」」」」」
嬉しそうな声が綺麗にハモった。
お池の方や畑の方、四阿の方から声が聞こえてきたがすぐさま池の側の何気なく座り心地の良い岩に座る俺の足元にみんな駆け寄ってくれた。
「今遠藤さんが圭斗さんの所に入った連絡を教えてくれたんだ」
「主はいつ帰ってくるの?」
「主は無事帰ってくるの?」
「主はお土産買ってきてくれるかな?」
「主はお土産沢山持って来てくれるかな?」
「主のお家にお泊りしたいって言ったらいいよって言ってくれるかな?」
みんな主不足で小さなお目目がきらきらして居て待ちきれないという表情。
「うーん。いつ帰ってくるか聞いてないけど今日は仕事が終わったら工場の方でみんなと一緒に大家さんをお迎えするんだって言う予定になってるから」
「「「「「きゃーっ!」」」」」
これは何に対する悲鳴だろうか。
みんなとの宴会か大家さんのお帰りパーティだろうか。
相変わらず主ラブがあふれていているけどこういった事も楽しいと思えるようになったちみっこも大きくなったなと思ったものの
『主のお家にお泊りしたいって言ったらいいよって言ってくれるかな?』
そう言ったのは緑青。
攫われて寂しい思いをしたのに今は笑顔いっぱいで遊びまわっているけどあの出来事はやっぱり緑青に影を落としているような気がした。
肩にちょこんと座る緑青に
「もうすぐ夏休みだから。
夏休みって言うのは……」
ちょっと考えて
「大好きな主の家に遊びに行って思いっきり遊ぶ事だよ。十二日から十五日の間に一晩ぐらい泊れるか今夜大家さんに相談しような」
なんて言えばそんな初のイベントの説明にちみっこは目をきらきらとして
「じゃあ、朱華は主に美味しいお野菜食べてもらえるように良いのを探してくるね!」
「緑青は綺麗などんぐりさんを探してくる!」
「玄はー、甲羅を綺麗にして待ってるね?」
「岩は玄さんが綺麗になるのをお手伝いする!」
「真白はセミの抜け殻いっぱい見つけたから集めてくる!」
なんて喜びまくっていた。
いや、真白よ。セミの抜け殻はプレゼントか?
なんとも言えないプレゼントだけど尻尾をぐるぐる回して気合入れている様子にそんな事は言えなかった。
大家さん、こんなにも喜んでしまっているので事後報告になりますがどうかちみっこ達のお願いを聞いてあげてください。
心の中で祈りながら
「さあ、ご飯の準備するから。
みんなはお部屋のお片付けをしておいで」
「「「「「はーい!」」」」」
ものすごくよいお返事に大家さんお願いしますよと心の中で訴えるのだった。
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