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赤いお屋根の下で踊ろうか 6

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 本日のお昼ご飯はそうめんです。
 被害を最小限に抑えるために薄めためんつゆにつけてお皿の上にお出しします。
 そうめんはみんな好きだけど麺が長いと食べにくそうなので短く切って食べやすくしてから出します。
 もちろんおそうめんにトッピングは必須です。
 トマト、キュウリ、サラダチキンなどなどその時ごとにあるものを飾ります。もちろんスイカやパイナップルなども飾ったりすると大変喜ばれます。
 寧ろそうめんよりそちらの方がメインの様な気がするけどそこは気にしないようにいろいろな物を食べさせるように心がけています。
 たとえ……

「朱華、そうめんを振り回して食べないの!
 ああ、真白もお皿を押しながら食べると机から落ちちゃう、って緑青もおそうめん持ったままふらふらしないの!」

 食卓はこのような戦場となっていても俺も一緒に食べないと後からちみっこ達の物ほしそうな視線での無言の訴えに負けてトッピングを分けてそうめんだけという昼食だけは避けたいのでお世話をしながらでも一緒に食べます。
 その点玄さんと岩さんは二人でお行儀よく食べています。
 なんてったって朱華は麺類を食べるのがちょっと苦手なので時間がかかります。いえ、苦手と言っても好き嫌いではなく麺類はなぜか振り回して叩きつけて食べようとする謎の行動をするために時間がかかるという……カワセミじゃないんだからやめてよと本当は嬉しくって狂乱状態じゃないよなと不安になりながらもじっと見守っています。
 なので麺類の日はゆっくりと玄さんに話しかけながらご飯を食べる岩さんですが、基本はやっぱり丸呑みです。いつもは一気に全部ですが、今日はトッピングごとに食べるあたり普段の食事はこれぐらいゆっくり食べてもらいたいと思うものの赤い悪魔の防衛の為に優雅な食事はまだまだ夢の話しのようです。
 はらはらしながらもご飯を食べ終えれば流しに置いたボールで手や顔を洗ったりする緑青や玄さんと岩さんは置いておいたタオルで自分でちゃんと拭けるようになり、そして真白や朱華は満足げに毛づくろいをします。
 濡れるのが嫌なのでぬれたタオルで拭くぐらいは妥協するようになったけど、その後の毛づくろいはまるで汚してくれたなと言わんばかりに丹念に毛づくろいをします。
 決してめんつゆの残り香に名残惜しんでいるとは思いたくありません。

「真ー、ご飯食べたからお昼寝していーい?」

 食後のお昼寝を求めるのは緑青です。
 もちろん

「真ー、お昼寝の座布団は?」
「真ー、主が用意してくれた土鍋がないねー?」
「真ー、玄は温かい場所ならどこでもいいよ?」
「真ー、玄さんが温かい場所がいいんだって」

 みんな午前中めいっぱい遊んだのでお腹が満たされた後はお昼寝タイムに突入です。
 なんとも言えない平和な時間です!
 俺は台所を漁って
「土鍋発見!」
「「「「新しい土鍋だー!」」」」
「だけど主が買ってくれた土鍋と一緒だねー?」
「玄さん。そこは土鍋を買ったのが主だからそう言うものなんだよ」
「うーん。玄にはちょっと難しいかな?」
 まさか購入先のスーパーで複数買っただけという真実をまだ教える必要はなかろうと誤魔化せば何かを察してくれた玄さんは深く踏み込まずに聞かないでくれた良く出来た子だ。
「じゃあ、一回洗ってよくふくからちょっと待っててね」
 言えば皆さんもうおねむの状態でエアコンが利いた室内の日当たりのいい場所を探して移動していた。
 急がねばと水けを綺麗に拭い去った所でふと思い出す。
 庭に降りて洗濯物を家の中に取り込み、その中からタオルを土鍋の中に敷き詰める。
 その様子を見ていた真白が
「真ー、おひさまの匂いがするね?」
「さっきまで干してたからな。暑かったら日が当たらない所に移動するんだぞ?」
「うん!」
 そうです。
 いくらエアコンが効いているからと言って玄さんや岩さんが好む日当たりの良い場所は真白や朱華、緑青にとっては俺と同じく危険なスポットなのです。
 そうやって考えると緑青は爬虫類や両生類じゃなく龍と言う生き物は別なんだと考えるもそもそも論で付喪神はその枠にはまるのかどうなのかまずそこから考えてしまう。
 だけどそれからどう考えても俺にとっては未知の世界。
 考えてもわかるわけなかろうの話しだ。
 そしてちみっこは土鍋があれば潜り込む。
 そんな習性聞いたことないよと思いつつも大家さんが躾てくれたこのありがたい習慣に感謝して土鍋に入ったらすぐ丸まって眠る様子にほっとしながら仕事の再開を始めた。
 仕事部屋でもお昼寝をするちみっこなのでキーボードの音さえ気にせず眠る逞しさ。むしろ

「主がいつもやってたから気にならないんだ!」

 なんて説明をしてくれた真白にむしろれが子守唄って事無いだろうなと不安になってしまう。
 まあ、当然ながら

「真?朱華達だって音楽は聴くんだよ?
 主は音楽も勉強だからちゃんと聞きなさいってアニメのオープニングとエンディングはスキップしてくれないんだよ」

 それは大家さんが面倒臭がっているのでは……
 なんて考えてやめた。
 
 静かな寝息のこぼれる室内で、すぐに土鍋からはい出した真白と朱華と緑青はエアコンの当たる涼しい場所を寝ぼけ眼で移動しているのに気づけば折りたたんだバスタオルをそっと近くに置いておくと黙ってその上でコロンと心地よさそうに大の字になる。

「野生の本能のかけらもない」

 なんて思うも気持ちよさそうに昼寝をする姿に俺も思わず欠伸を落とした。


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