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星屑物語 64
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なんて眩しい朝なのだろうと思った。
そして少し寒くて毛布の中に潜り込むも少し慣れた、けどいつもと違う温もりが傍らにあった。
この暖かさは何だろうと気づけば普段使っている枕とも硬さが違う。
眩しさを堪えてゆっくりと目を開ければそこには朝日を浴びたきらきらとした……何て生易しい輝きのエル様のまつ毛がすぐ側に在った。
一瞬あまりの近さになんだろう?なんて思うもゆっくりと開いた湖面のような瞳に映し出された自分の顔と、少しだけ覗くその姿に一気に昨夜の事を思い出した。
そうだっ!私っ!!私っっっ!!!
っんあーーーーーっっっ!!!
声にならない絶叫を脳内に響かせて慌てて距離を取ろうとするもこれを世は腕枕と言う腕で引き戻されて
「おはようアリー」
どこか楽しげな瞳はゆっくりと細められていっておでこに朝の挨拶のキスをしてくれた。
「お、おは、おはっ!」
ぼふんっ!!!
まるで魔術が暴発したかのように頭の中が真っ白に爆発してしまったものの、目の前の世界は迷う事無き昨夜の余韻が色濃く残る夫婦の寝室の姿だった。
何も言えずにぱくぱくと魚のように開けたり閉ざしたりを繰り返す私にエル様は吹きだしそうになるのを堪えて
「とりあえずガウンを着よう。
たぶん少し落ち着くよ」
手渡されたガウンに袖を通すもそれでも色々と心細い装備に枕を抱きしめていれば今度こそエル様は声を出して笑っていた。
「何も笑わなくても……」
つい恨めしいと言う様に睨み上げてしまうが
「怒らないで。
これでも可愛くてどうしようって戸惑ってるんだから」
再びの脳内の暴発に毛布を引き寄せれば代わりにそこには全裸のエル様が居た。
これはなかなか見事に鍛え抜いた筋肉……ではなくっ!!!
とりあえず枕を渡しておいた。
くつくつと楽しげな笑いが響く中で
「お風呂入れるけどどうする?」
聞いて布団を頭からかぶって入りたいと言うかこの場から逃げたいと移動をしようとするも
「あ……」
しゃがみこんでしまう。
だって、だって……
もう毛布で頭から全身隠してもエル様が笑っている声が聞こえる。
実際笑ってはないのだけど、羞恥心がすべてそう聞かせる。
だってベットを降りようとした瞬間……
昨夜のエル様のアレとかがね、うち腿を伝ってね……
実家では馬の繁殖とか手伝ったし交尾も良く目にしたよ。
だけどそれた自分の身に降りかかるとね……
羞恥しかなくってどうすればいいの?!
と声を大にして叫びたい。
そんな風にどうすればいいのかとか考えているうちにエル様はガウンを羽織って私を布団事抱き上げる。
エル様力持ちー!なんて思う間もなく布団事でごめんなさいと思いながらバスへと案内される。
何で隣の部屋に続きで風呂場があるのかと思ったけどこういう時の為なのねとしみじみ思いながら少しぬるくなってしまったバスタブに……当然だが私の攻防なんて全くの効果はなく布団とガウンを剥がされて、そっと沈めてもらうのだった。
恥ずかしくて死にそうとはこう言うのかと口元まで沈んでしまうも、エル様は気を使ってか背中を向けたまま
「ごめんね。
本当なら学園を卒業するまではこう言うのはしないつもりだったんだけど」
静かな二人きりのバスルーム。
白いタイルで朝の光を浴びて明るくて暖かくて夜に見る様子とは全く印象が違う。
「アリーは俺の事をどう思ってるか、まあ、昨日で判ったけど。
判らない間はいろいろ俺なりに不安だったんだ。
初めこそ可愛いお嬢さんだったアリーだけど、アリーを知って行くうちにのめり込んでいく俺が居て、ルードは関係ない事は理解していても自分より格上が来てやっと誰にも渡したくない感情が芽生えた。
約束したはずなのに、ごめんね」
背中に広がる濡れた髪を救い上げて毛先にキスをしていた。
こう言うのが様になるのねとやんちゃなお子様しか居なかったクレヴィングの男共のせいで男性に優しくされる免疫は全くない。
寧ろ男より男らしいと言われて来たアリーだったが、初めて女性として扱われて戸惑うのも周りの策略かと思いな口元まで潜ってしまう。
「じゃあ、ナタリーか誰か呼んでくるからまっててね」
離れようとするエル様のガウンの裾を思わずと言う様に掴んでしまった。
「ええと……」
何?と言う様に小首かしげるエル様のいつみても爽やかな顔に自分だけがいつまでも子供のように思えて視線をそらしそうになるも、言わなくてはならない事はある。
昨日の夜受け入れたのは私で、それなのに朝になってこんなにも気遣われて……
「これからもよろしくお願いします」
ごめんなさいともご迷惑おかけしましたとも違うと思い選んだ言葉を言ってからよく考えて赤面してしまう。
気のせいだけどお湯の温度が一度上がった気がした。
だってエル様が嬉しそうに、そして何処か照れた様に笑うのだから……
扉を閉ざして離れて行く気配が部屋を出た頃やっと緊張が解けた。
「これが夫婦……
今夜からどうしよう……」
今迄みたいに寝れるのか、昨晩のような事が毎晩繰り広げられるのかとそれだけが頭の中がいっぱいで、暫くしてやってきたナタリーにかわいそうな子を見るように眺められるのだった。
そして私はまだ初夜を迎えた夫婦の儀式が終わってない事を朝食の場で知る。
真っ白のテーブルクロスの上に飾られたブーケ、いつもとは全く違う豪勢な朝食、向かい合って座る席はいつもと同じだが、ゆっくりと進む朝食の場はどこまでも時間をたっぷりとかけたどこか甘ったるさえ感じる空気が漂っている。
これは一体何なんだと思うってモデラーを見上げれば
「おめでとうございます。
今朝はどうぞごゆっくりお食事をお楽しみください」
思いっきり昨夜の事がばれていたようだ。
しかもこの様子なら全員に……
顔を真っ赤にして引き攣らせてしまうも
「お嬢様、この屋敷で起きた事は総て我ら使用人は熟知しております。
どうぞ我らの事など気に留めずにお心のままにお過ごしください」
深々とナタリーが頭を下げればいつ知ったのと叫びたかったものの
「ですが、昨日ルードから送られたブローチだけはこちらで厳重に管理させていただきます」
「ルードのブローチ?」
「はい。誘拐や迷子対策として色々な機能が付いております。
その中に誘拐を前提として会話が聞けるようになっているので」
しれっと言うナタリーだが、マリエルが赤面する所、昨日の夜の事も筒抜けの理由がそれだと気づいてしまった。
「ル、ルード!!!」
思わず名前を叫ぶも
「ルード様は既に登城されて留守にしております。
昼前にはお戻りになられるそうです」
思わずカトラリーを握りしめて逃げたなと机に突き刺してしまうものの
「お嬢様ひとつ宜しいでしょうか?」
ナタリーが座る私の横に立って少しだけ伏せた視線の顔からは感情は一切見当たらない。
「お嬢様はクレヴィングのアリアーネ様ではもうありません。
グレゴールの長として、時としてリンヴェル一族をお諫めにならなくてはならないお役目もある立場です。
常時我らが警護に当たり常時監視されている事を慣れてくださいませ」
「それは、判ってるよ。だけど……」
まさか寝室の中までその対象とは思わなかった。と言うか普通に考えれば一番無防備な時こそ警護は厚くしなくてはならない。
「でもまさかルードがって思うと……」
「クレヴィング様がこの時期ぐらいが王都の生活にも慣れて一番気が抜ける頃だからとルードをよこしたのです。
ルードの事情を知っての通りあの子も監視生活で育ちましたからこそ必要な時必要な警備をアリアーネ様を守る為に施せます。
ファウエル様を信じないのも我々を信じ切らないのもあの子の務め。
ましてやご学友の友人達もルードにとっては危険人物の集団。
随分と立派に性格がねじまがって育ってしまいましたがそうなるしかない環境で育ったルードはこの屋敷の誰よりも危機感を持っております」
「何気に今すごくルードを貶したね」
説教の最中だと言うのに思わず突っ込んでしまうほどの言葉をスルー出来なくて言えば背後のモデラーも深く頷いていた。
「ルードの事はさて置き、明日から議会も始まります。
学校は当面お休みになります。
それなのにそんな浮ついてお腹周りに脂肪も付いたたるんだ様子ではグレゴールは舐められるという物。
運よく昨夜中に初夜を迎えた今もう他に気にする事は何もなのでもう一度最初からお勉強をしましょう」
「え?やだよナタリーさん。って言うか、このおなかの理由はソナーのせいだと思う、いや、先日のルードのカラアゲ攻撃のたまもの?
って言うか目つきがほんと怖いんですけど?!
何か気に障る事でもした?私何か変な事やった?!」
何故か朝からご立腹で説教モードを始めたナタリーを他所にエル様にケイトが何か囁いていて……ナタリーを哀れむ視線を向けて納得をしていた。
声は全く聞こえなかったけど、何か絶大な地雷を踏んだらしい。
「さあ、本来ゆっくりとブランチとする予定でしたがちゃっちゃと食べてお礼状を書きましょう。
ええ、たかだか100件に満たない数です。
さあ、早くお召し上がりください。
この後明日の議会の議題を頭に叩き込んでいただかなくてはならないのですから。
ここはもう戦場の食事の場なのですから!」
「ええ?!何かよくわからないけどごめんなさーい!!!」
まるで八つ当たりのようなナタリーの気配にとりあえず謝っておいて監視下の元本日のノルマをこなし、その夜やっと寝る頃になってエル様から事情を聞かされたのだ。
私達が屋敷に戻ってきた頃ナタリーが何とかしてルードを寝室に連れ込んでやっとその気にさせていざとこれからという所を邪魔されたと言う……愛の為なら平気で戦争を仕掛ける事で有名なノヴァエスの気性を確かに彼女も受けついでいるなとやっとあの苛立ちようと朝からルードが居ない事を理解すればそれでいいのかと呆れるエル様は私を抱き寄せて……
ナタリーの拷問に耐え続けた私を今夜も甘やかすのだった。
そして少し寒くて毛布の中に潜り込むも少し慣れた、けどいつもと違う温もりが傍らにあった。
この暖かさは何だろうと気づけば普段使っている枕とも硬さが違う。
眩しさを堪えてゆっくりと目を開ければそこには朝日を浴びたきらきらとした……何て生易しい輝きのエル様のまつ毛がすぐ側に在った。
一瞬あまりの近さになんだろう?なんて思うもゆっくりと開いた湖面のような瞳に映し出された自分の顔と、少しだけ覗くその姿に一気に昨夜の事を思い出した。
そうだっ!私っ!!私っっっ!!!
っんあーーーーーっっっ!!!
声にならない絶叫を脳内に響かせて慌てて距離を取ろうとするもこれを世は腕枕と言う腕で引き戻されて
「おはようアリー」
どこか楽しげな瞳はゆっくりと細められていっておでこに朝の挨拶のキスをしてくれた。
「お、おは、おはっ!」
ぼふんっ!!!
まるで魔術が暴発したかのように頭の中が真っ白に爆発してしまったものの、目の前の世界は迷う事無き昨夜の余韻が色濃く残る夫婦の寝室の姿だった。
何も言えずにぱくぱくと魚のように開けたり閉ざしたりを繰り返す私にエル様は吹きだしそうになるのを堪えて
「とりあえずガウンを着よう。
たぶん少し落ち着くよ」
手渡されたガウンに袖を通すもそれでも色々と心細い装備に枕を抱きしめていれば今度こそエル様は声を出して笑っていた。
「何も笑わなくても……」
つい恨めしいと言う様に睨み上げてしまうが
「怒らないで。
これでも可愛くてどうしようって戸惑ってるんだから」
再びの脳内の暴発に毛布を引き寄せれば代わりにそこには全裸のエル様が居た。
これはなかなか見事に鍛え抜いた筋肉……ではなくっ!!!
とりあえず枕を渡しておいた。
くつくつと楽しげな笑いが響く中で
「お風呂入れるけどどうする?」
聞いて布団を頭からかぶって入りたいと言うかこの場から逃げたいと移動をしようとするも
「あ……」
しゃがみこんでしまう。
だって、だって……
もう毛布で頭から全身隠してもエル様が笑っている声が聞こえる。
実際笑ってはないのだけど、羞恥心がすべてそう聞かせる。
だってベットを降りようとした瞬間……
昨夜のエル様のアレとかがね、うち腿を伝ってね……
実家では馬の繁殖とか手伝ったし交尾も良く目にしたよ。
だけどそれた自分の身に降りかかるとね……
羞恥しかなくってどうすればいいの?!
と声を大にして叫びたい。
そんな風にどうすればいいのかとか考えているうちにエル様はガウンを羽織って私を布団事抱き上げる。
エル様力持ちー!なんて思う間もなく布団事でごめんなさいと思いながらバスへと案内される。
何で隣の部屋に続きで風呂場があるのかと思ったけどこういう時の為なのねとしみじみ思いながら少しぬるくなってしまったバスタブに……当然だが私の攻防なんて全くの効果はなく布団とガウンを剥がされて、そっと沈めてもらうのだった。
恥ずかしくて死にそうとはこう言うのかと口元まで沈んでしまうも、エル様は気を使ってか背中を向けたまま
「ごめんね。
本当なら学園を卒業するまではこう言うのはしないつもりだったんだけど」
静かな二人きりのバスルーム。
白いタイルで朝の光を浴びて明るくて暖かくて夜に見る様子とは全く印象が違う。
「アリーは俺の事をどう思ってるか、まあ、昨日で判ったけど。
判らない間はいろいろ俺なりに不安だったんだ。
初めこそ可愛いお嬢さんだったアリーだけど、アリーを知って行くうちにのめり込んでいく俺が居て、ルードは関係ない事は理解していても自分より格上が来てやっと誰にも渡したくない感情が芽生えた。
約束したはずなのに、ごめんね」
背中に広がる濡れた髪を救い上げて毛先にキスをしていた。
こう言うのが様になるのねとやんちゃなお子様しか居なかったクレヴィングの男共のせいで男性に優しくされる免疫は全くない。
寧ろ男より男らしいと言われて来たアリーだったが、初めて女性として扱われて戸惑うのも周りの策略かと思いな口元まで潜ってしまう。
「じゃあ、ナタリーか誰か呼んでくるからまっててね」
離れようとするエル様のガウンの裾を思わずと言う様に掴んでしまった。
「ええと……」
何?と言う様に小首かしげるエル様のいつみても爽やかな顔に自分だけがいつまでも子供のように思えて視線をそらしそうになるも、言わなくてはならない事はある。
昨日の夜受け入れたのは私で、それなのに朝になってこんなにも気遣われて……
「これからもよろしくお願いします」
ごめんなさいともご迷惑おかけしましたとも違うと思い選んだ言葉を言ってからよく考えて赤面してしまう。
気のせいだけどお湯の温度が一度上がった気がした。
だってエル様が嬉しそうに、そして何処か照れた様に笑うのだから……
扉を閉ざして離れて行く気配が部屋を出た頃やっと緊張が解けた。
「これが夫婦……
今夜からどうしよう……」
今迄みたいに寝れるのか、昨晩のような事が毎晩繰り広げられるのかとそれだけが頭の中がいっぱいで、暫くしてやってきたナタリーにかわいそうな子を見るように眺められるのだった。
そして私はまだ初夜を迎えた夫婦の儀式が終わってない事を朝食の場で知る。
真っ白のテーブルクロスの上に飾られたブーケ、いつもとは全く違う豪勢な朝食、向かい合って座る席はいつもと同じだが、ゆっくりと進む朝食の場はどこまでも時間をたっぷりとかけたどこか甘ったるさえ感じる空気が漂っている。
これは一体何なんだと思うってモデラーを見上げれば
「おめでとうございます。
今朝はどうぞごゆっくりお食事をお楽しみください」
思いっきり昨夜の事がばれていたようだ。
しかもこの様子なら全員に……
顔を真っ赤にして引き攣らせてしまうも
「お嬢様、この屋敷で起きた事は総て我ら使用人は熟知しております。
どうぞ我らの事など気に留めずにお心のままにお過ごしください」
深々とナタリーが頭を下げればいつ知ったのと叫びたかったものの
「ですが、昨日ルードから送られたブローチだけはこちらで厳重に管理させていただきます」
「ルードのブローチ?」
「はい。誘拐や迷子対策として色々な機能が付いております。
その中に誘拐を前提として会話が聞けるようになっているので」
しれっと言うナタリーだが、マリエルが赤面する所、昨日の夜の事も筒抜けの理由がそれだと気づいてしまった。
「ル、ルード!!!」
思わず名前を叫ぶも
「ルード様は既に登城されて留守にしております。
昼前にはお戻りになられるそうです」
思わずカトラリーを握りしめて逃げたなと机に突き刺してしまうものの
「お嬢様ひとつ宜しいでしょうか?」
ナタリーが座る私の横に立って少しだけ伏せた視線の顔からは感情は一切見当たらない。
「お嬢様はクレヴィングのアリアーネ様ではもうありません。
グレゴールの長として、時としてリンヴェル一族をお諫めにならなくてはならないお役目もある立場です。
常時我らが警護に当たり常時監視されている事を慣れてくださいませ」
「それは、判ってるよ。だけど……」
まさか寝室の中までその対象とは思わなかった。と言うか普通に考えれば一番無防備な時こそ警護は厚くしなくてはならない。
「でもまさかルードがって思うと……」
「クレヴィング様がこの時期ぐらいが王都の生活にも慣れて一番気が抜ける頃だからとルードをよこしたのです。
ルードの事情を知っての通りあの子も監視生活で育ちましたからこそ必要な時必要な警備をアリアーネ様を守る為に施せます。
ファウエル様を信じないのも我々を信じ切らないのもあの子の務め。
ましてやご学友の友人達もルードにとっては危険人物の集団。
随分と立派に性格がねじまがって育ってしまいましたがそうなるしかない環境で育ったルードはこの屋敷の誰よりも危機感を持っております」
「何気に今すごくルードを貶したね」
説教の最中だと言うのに思わず突っ込んでしまうほどの言葉をスルー出来なくて言えば背後のモデラーも深く頷いていた。
「ルードの事はさて置き、明日から議会も始まります。
学校は当面お休みになります。
それなのにそんな浮ついてお腹周りに脂肪も付いたたるんだ様子ではグレゴールは舐められるという物。
運よく昨夜中に初夜を迎えた今もう他に気にする事は何もなのでもう一度最初からお勉強をしましょう」
「え?やだよナタリーさん。って言うか、このおなかの理由はソナーのせいだと思う、いや、先日のルードのカラアゲ攻撃のたまもの?
って言うか目つきがほんと怖いんですけど?!
何か気に障る事でもした?私何か変な事やった?!」
何故か朝からご立腹で説教モードを始めたナタリーを他所にエル様にケイトが何か囁いていて……ナタリーを哀れむ視線を向けて納得をしていた。
声は全く聞こえなかったけど、何か絶大な地雷を踏んだらしい。
「さあ、本来ゆっくりとブランチとする予定でしたがちゃっちゃと食べてお礼状を書きましょう。
ええ、たかだか100件に満たない数です。
さあ、早くお召し上がりください。
この後明日の議会の議題を頭に叩き込んでいただかなくてはならないのですから。
ここはもう戦場の食事の場なのですから!」
「ええ?!何かよくわからないけどごめんなさーい!!!」
まるで八つ当たりのようなナタリーの気配にとりあえず謝っておいて監視下の元本日のノルマをこなし、その夜やっと寝る頃になってエル様から事情を聞かされたのだ。
私達が屋敷に戻ってきた頃ナタリーが何とかしてルードを寝室に連れ込んでやっとその気にさせていざとこれからという所を邪魔されたと言う……愛の為なら平気で戦争を仕掛ける事で有名なノヴァエスの気性を確かに彼女も受けついでいるなとやっとあの苛立ちようと朝からルードが居ない事を理解すればそれでいいのかと呆れるエル様は私を抱き寄せて……
ナタリーの拷問に耐え続けた私を今夜も甘やかすのだった。
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