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袖擦り合った縁はどこまで許すべきかなんて考えてはいけない 6
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だけど散々俺に驚かされながらある程度の耐性をつけた沢村さん(父)は何とも恐ろしい笑顔を浮かべたまま沢仰った。
「裕貴、ちょうどいいから綾人君に甘えてこの懸案を無事綾人君の望みどおり処理してみなさい。
桜井君から学べる事は沢山あるからこのぼったくられ授業料に甘えさせてもらいなさい」
したたかに俺もけなされたけど気にせずに新たにお茶を頂いて啜っていた。
そこからはスマホ越しに沢村(父)も参加しながら事の経緯を聞き、余程買わせる気満々だったのか既に用意されていた書類にサインをして
「あ、お世話になります吉野です。
今回ちょっと大きい金額を動かそうと思いますが大丈夫ですか?」
何て大きい金額を動かす時には必ず連絡を入れる癖がついてしまった俺は当たり前のように連絡を入れて
「では……」
もっと大きな金額を動かす人達だけに手際よく、そしてビビる事もなく準備をした桜井さんを尊敬しながら庶民の俺はビビりながらも金額を指定してカードで一括払い。不備の書類は後日と言うか明日にも用意すると言う事で沢村(父)が動いてくれると言う流れになった。
「うわー、人生最高額の買い物しちゃったー」
何て棒読み。
「そうですね。個人の買い物でここまで動かす方はめったに見れませんので尊敬します」
あくまでも会社と個人の線分けをする桜井さんの言葉にそうだよなーと思いつつも
「イギリスに居た時アメリカとの時差が少なかったから向こうで株の取引き頑張って来たけどさすがにここまでの大きな金額は動かさなかったからなー。
総額的には越えてるけど一度にこれだけ動かすって勇気いるなー」
俺のお財布事情を知る沢村(父)だけがこめかみに血管を浮きだして頷いていたが
「所で吉野君。何で木下会長のご自宅を購入しようとしたんだい?」
今頃聞くかななんてと本末転倒な事を聞かれたが
「遺言を託されたと思えば老い先短い年寄りのお願いぐらい聞いてあげますよ。
叶える事の出来る金額でしたし、いろいろお世話にもなりましたし」
物ではない爺さんとの会話は社会の縮図を更に濃縮した俺がかかわる事のない世界の話し。少なくも儲けさせても貰えたし、社会に出てない俺には知る事が出来ないキラキラとした話に好奇心を満たしてくれたお礼、と言うと傲慢だと言われるだろうか。
「俺の心の問題ですね」
「まあな。綾人君は年寄りのお願いに弱いから」
「そしてこき使う事でも有名です。裕貴さんのフォローお願いしますね」
「言った傍からか!」
何て大声で笑われてしまった。
「もっともこの家の維持は数年の予定になると思います。その後は処分の方向で進みたいと思いますが、折角の家です。少し暮して見ようと思います」
ホテル替わり程度ですがと言うも住んでこその家。住まないと痛むぞと言う事は聞かなくても判っている大問題。
「当面は爺さんに住んでもらいながら管理してもらおうと思います。
使い勝手の慣れた家の方がぼけないだろうし、まだまだ整理しないといけない物は沢山あると思いますので……」
と言った所で俺は思い出す。
「購入した以上鍵だけは変えさせて下さい。スペアは渡しますので荷物込のお支払だから必要な物は後日相談に乗りますので」
そんなやり取りを桜井さんも裕貴さんも書類を作りながら約束事を書面化していく。
「だったら息子達が入れないようにと言う事も書いておこう。
この家を売り払う事しか頭にない奴に渡す物は一つもないからな」
この言葉通りかなりお怒りの事を理解した。
「あと馴染の不動産屋に連絡を入れておいたからもう来るだろう。
管理を任せるには信頼のおける相手だ」
「だといいのですけどね。爺さんだから信頼があっての話し。俺なんかをまともに相手してもらえるとは思ってないので俺の判断でお断りさせてもらうかも?」
「それはお前の判断でいい」
なんて話の分かるジジイだと感心しながらもこんな無茶ぶりをしてくるのも後になればいい思い出になるかと言う事で割愛しておく。
「裕貴、ちょうどいいから綾人君に甘えてこの懸案を無事綾人君の望みどおり処理してみなさい。
桜井君から学べる事は沢山あるからこのぼったくられ授業料に甘えさせてもらいなさい」
したたかに俺もけなされたけど気にせずに新たにお茶を頂いて啜っていた。
そこからはスマホ越しに沢村(父)も参加しながら事の経緯を聞き、余程買わせる気満々だったのか既に用意されていた書類にサインをして
「あ、お世話になります吉野です。
今回ちょっと大きい金額を動かそうと思いますが大丈夫ですか?」
何て大きい金額を動かす時には必ず連絡を入れる癖がついてしまった俺は当たり前のように連絡を入れて
「では……」
もっと大きな金額を動かす人達だけに手際よく、そしてビビる事もなく準備をした桜井さんを尊敬しながら庶民の俺はビビりながらも金額を指定してカードで一括払い。不備の書類は後日と言うか明日にも用意すると言う事で沢村(父)が動いてくれると言う流れになった。
「うわー、人生最高額の買い物しちゃったー」
何て棒読み。
「そうですね。個人の買い物でここまで動かす方はめったに見れませんので尊敬します」
あくまでも会社と個人の線分けをする桜井さんの言葉にそうだよなーと思いつつも
「イギリスに居た時アメリカとの時差が少なかったから向こうで株の取引き頑張って来たけどさすがにここまでの大きな金額は動かさなかったからなー。
総額的には越えてるけど一度にこれだけ動かすって勇気いるなー」
俺のお財布事情を知る沢村(父)だけがこめかみに血管を浮きだして頷いていたが
「所で吉野君。何で木下会長のご自宅を購入しようとしたんだい?」
今頃聞くかななんてと本末転倒な事を聞かれたが
「遺言を託されたと思えば老い先短い年寄りのお願いぐらい聞いてあげますよ。
叶える事の出来る金額でしたし、いろいろお世話にもなりましたし」
物ではない爺さんとの会話は社会の縮図を更に濃縮した俺がかかわる事のない世界の話し。少なくも儲けさせても貰えたし、社会に出てない俺には知る事が出来ないキラキラとした話に好奇心を満たしてくれたお礼、と言うと傲慢だと言われるだろうか。
「俺の心の問題ですね」
「まあな。綾人君は年寄りのお願いに弱いから」
「そしてこき使う事でも有名です。裕貴さんのフォローお願いしますね」
「言った傍からか!」
何て大声で笑われてしまった。
「もっともこの家の維持は数年の予定になると思います。その後は処分の方向で進みたいと思いますが、折角の家です。少し暮して見ようと思います」
ホテル替わり程度ですがと言うも住んでこその家。住まないと痛むぞと言う事は聞かなくても判っている大問題。
「当面は爺さんに住んでもらいながら管理してもらおうと思います。
使い勝手の慣れた家の方がぼけないだろうし、まだまだ整理しないといけない物は沢山あると思いますので……」
と言った所で俺は思い出す。
「購入した以上鍵だけは変えさせて下さい。スペアは渡しますので荷物込のお支払だから必要な物は後日相談に乗りますので」
そんなやり取りを桜井さんも裕貴さんも書類を作りながら約束事を書面化していく。
「だったら息子達が入れないようにと言う事も書いておこう。
この家を売り払う事しか頭にない奴に渡す物は一つもないからな」
この言葉通りかなりお怒りの事を理解した。
「あと馴染の不動産屋に連絡を入れておいたからもう来るだろう。
管理を任せるには信頼のおける相手だ」
「だといいのですけどね。爺さんだから信頼があっての話し。俺なんかをまともに相手してもらえるとは思ってないので俺の判断でお断りさせてもらうかも?」
「それはお前の判断でいい」
なんて話の分かるジジイだと感心しながらもこんな無茶ぶりをしてくるのも後になればいい思い出になるかと言う事で割愛しておく。
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――― 2024.12.1 再々公開 ――――
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